北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

防衛省発表:平成23年度自衛隊統合演習(実動演習)、11月14日~18日に実施

2011-10-24 23:27:32 | 防衛・安全保障

◆島嶼部防衛軸に弾道弾対処と警備や展開を演練

ロシア艦艇情報が入り、加えて今年度上半期緊急発進状況が発表、最多はロシア機で西方重視という昨今の姿勢ではなく脅威の増大と多面化が認識されるべきでは、と考える今日この頃。

Img_0984こうした中で防衛省より今年度の自衛隊統合演習の実施が発表されました。

(お知らせ)2 3 . 1 0 . 2 1 統合幕僚監部 平成23年度自衛隊統合演習( 実動演習) について 自衛隊は、下記のとおり平成23年度自衛隊統合演習(実動演習)を実施します。

Img_70511 演習の目的武力攻撃事態に際しての自衛隊の運用について演練し、統合運用能力の維持・向上を図る。
2 実施時期 平成23年1 1 月1 4 日( 月) ~ 1 1 月1 8 日( 金)
3 実施場所 我が国周辺海域・空域及び基地等(主として九州南西・沖縄方面)
4 統裁官 統合幕僚長

Img_78625 演習参加部隊等 (1) 幕僚監部等統合幕僚監部、各幕僚監部、情報本部等(2) 陸上自衛隊西部方面隊、東部方面隊、中央即応集団等(3) 海上自衛隊自衛艦隊、佐世保地方隊等(4) 航空自衛隊航空総隊、航空支援集団
6 主要演練事項 島嶼部の防衛を含む各種行動(1) 海上・航空作戦(2) 弾道ミサイル対処(3) 基地警備(4) 統合輸送

http://www.mod.go.jp/jso/Press/press2011/press_pdf/p20111021.pdf

Img_3759 今年度の自衛隊統合演習もやはり西方重視、もしくは西方シフトと呼ばれる近年の方式を踏襲するようです。九州への北海道からの転地演習、というのは協同転地演習ではなく自衛隊統合演習の一環として北海道の部隊を九州へ展開させる統合輸送、ということでしょうか。特に東日本大震災を契機に展開能力というものの重要性が高まっている実情、能力と練度向上とともに問題点模索も期待したいところ。

Img_1516 南西諸島への脅威増大は第一に南西諸島の一部である尖閣諸島周辺における海底資源の可能性が指摘されたことにより突如中国が領有権を主張、第二に海外任務の増大と部隊規模削減などによる部隊巡回の範囲と頻度縮小に乗じる形で艦艇進出が顕著化し、現在の緊張状態が醸成されているという現状があります。

Img_1654つい先日に奄美諸島にも海底熱鉱床の可能性を指摘する報告が為され、現在は抑止力の均衡を維持できるか否かの非常に重要な時期にあるといって過言ではないでしょう。現在では、最近続報はないものの中国海軍の航空母艦に関する脅威も現出しており、軍事的脅威度は然程でも無いにしても政治的脅威や東南アジア地域に対する恫喝力として無視できるものではありません。

Img_9552 演習は島嶼部をめぐる各種行動とありますことから事前展開等の抑止を含めた訓練が行われ、その後の脅威接近を制圧する意味での航空優勢確保や制海権維持といった行動が7連動して行われ、この任務遂行上我が方の策源地である後方基地へ弾道弾やゲリラコマンドーによる無力化を阻止しつつ、同時に統合輸送として部隊の展開を行う、という一連の流れを実施するものと考えられます。

Img_7007昨年度は演習場を離島に見立て、占領された離島に対する対処要領という想定で部隊の揚陸による奪還までの一連の行動が行われたと記憶します。将来的には、実際に離島、かつて行ったように硫黄島でも良いのですが、輸送艦とヘリコプター、更には輸送機だけの展開能力を以て、特に演習実施地域を直前まで公開しないかたちで突発的な事態への対処能力を演練する演習が行われなければならないでしょう。

Img_0025 他方。F-15戦闘機、増槽破裂事故以来飛行訓練などが行われていないようですが、増槽なしの状態での訓練が予定されているとのこと。自衛隊統合演習へ参加するのかは個々の情報には興味のみを示す範囲内ですが、飛行ができない状態からの急激な無理な訓練は事故に繋がりますので、一つの留意事項、早い時期の再開を望みたいです。

Img_1716 参加部隊の規模ですが、平成21年度自衛隊統合演習には隊員4万1800名、車両1170両、艦艇6隻、航空機約300機が参加する演習規模となりました。無論、この数字は参加部隊が演習に参加しない人員をも含めた総数であり、あまり意味はないともいえるのですが参考までに提示。特にこうした演習をついて我が国はこの地域に重大な関心あり、と示すことが大きな抑止力になります。また、こうして培われた能力が東日本大震災災害派遣にも効果を発揮したわけで、更なる能力向上とともに次の有事に備え、問題点の模索にも寄与することを願いたいですね。

北大路機関:はるな

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コメント (5)
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