◆豊川駐屯地祭遅れながらの第一報
本日は今月4日に行われました豊川駐屯地祭の様子を。
豊川駐屯地は愛知県の静岡県境にほど近い豊川市、有名な豊川稲荷近くに駐屯地を構え、第10特科連隊、第10高射特科大隊、第49普通科連隊、第6施設群、などが駐屯しています。愛知静岡県境は同時に中部方面隊と東部方面隊の境界でもあり、災害派遣などを考えますと重要な駐屯地です。
第49普通科連隊の観閲行進、豊川駐屯地祭は名古屋の友人のお誘いがあり、その方とは小松基地航空祭にて合流に失敗したことから久々に並んで撮りましょう、と展開へ。豊川駅前にて集合し、3名にて撮影位置を考え、結果観閲行進を最も撮りやすいところにしよう、と。
第1中隊の高機動車、中隊は自動車化された機動力を以て狭隘地形の国土に特化した防衛戦闘を可能としています。第49普通科連隊は第10師団の師団改編に伴う2004年3月に編成完結し、これをもって師団は4個普通科連隊を基幹とした戦車4個中隊と特科5個大隊の即応近代化師団へと改編が成りました。
第2中隊の高機動車。連隊は即応予備自衛官を基幹としたコア化編成をとり長らく第10師団の一員として運用されてきましたが、今年3月の師団改編を以て中部方面混成団隷下に移動、同時に重装備の効率化へ旧式化する79式対舟艇対戦車誘導弾12基を有した対戦車中隊を廃止、今に至る。
第4中隊の軽装甲機動車、連隊は連隊本部及び本部管理中隊、第1中隊、第2中隊、第3中隊、第4中隊、重迫撃砲中隊、を基幹とし、4中隊のみ軽装甲機動車を運用中です。軽装甲機動車は四輪駆動、一個小銃班を2両に分乗させ、機銃と対戦車火器等を機動運用し、運動戦や進出掩護等に当たります。
中部方面混成団へ移管となった連隊ですが、即応予備自衛官基幹編成は維持し、教育団を拡大した方面混成団隷下に置くことで即応予備自衛官教育訓練を一括化し第一線師団へ現役人員のみを充当し即応性を増すと共に、隷下の中隊を豊川駐屯地に集約している運用を改め、師団管内の幾つかの駐屯地へ移駐させました。
重迫撃砲中隊の120mm迫撃砲RT及び牽引車。中隊の分散は集合運用を考えますと不利ではありますが、中隊単位にて師団普通科連隊駐屯地へ分散させることで、有事の際に普通科連隊が隊区を越えた機動運用を行う際、即応予備自衛官基幹中隊を方面混成団隷下にて召集し訓練態勢に移行することで、展開した普通科連隊は後詰めの部隊を持つことが出来、この視点から転換されたのでしょう。
第10特科連隊。こちらも三月の部隊愛編の際、5個大隊基幹から3個大隊基幹へと縮小改編されました。特科連隊は、普通科連隊の連隊戦闘団編成時に編入される2個中隊基幹の直掩特科大隊を3個乃至4個、そして師団の全般支援火力として4個中隊を基幹とする第5大隊から編制されていました。
対砲レーダ装置JTPS-P16、敵の砲弾を感知し弾道計算の上射撃位置を評定し確実に反撃する重要装備。情報中隊に装備されるもので、このほかに対迫レーダ装置JMPQ-P13を保有、更に無線探知標定による指揮所攻撃や観測ヘリコプターや前進観測部隊支援での施設や集積地攻撃など、自衛隊の野砲部隊は非常に優れた観測手段を以て高い打撃力を維持しています。
特科連隊の編成は連隊本部及び本部中隊
、情報中隊、第1大隊隷下に本部管理中隊及び第1中隊と第2中隊、第2大隊隷下に本部管理中隊及び第3中隊と第4中隊、第3大隊隷下に本部管理中隊及び第5中隊と第6中隊、となっており、従来編成の大隊には大隊本部が置かれているのみですが、現在は本部管理中隊を置き支援機能を強化しているとのこと。
特科連隊はFH-70榴弾砲30門を装備しています。改編前は60門を装備していましたので火力数としては半減していますが、欧州共同開発の長砲身砲は最大射程30kmを発揮、半自動装填装置により緊急時射撃能力毎分6発を投射可能で、補助動力装置による自走も可能な優秀砲、しかし遠くない将来に国産自走榴弾砲火力戦闘車に代替されるもよう。
高射特科大隊の観閲行進、情報小隊の対空レーダ装置 JTPS-P14、低空レーダ装置 JTPS-P9が行進しています、これら装備により師団は50kmから条件によっては100km先の目標を探知し警戒可能です。低空レーダ装置には新型のJTPS-P18の導入も計画されていましたが、民主党政権時代に他予算への転換もあり実現していません。
第1中隊の93式近距離地対空誘導弾、中隊には12両程度が装備されています。大隊の編成は大隊本部及び本部管理中隊、第1中隊、第2中隊、よりなり第2中隊は師団策源地等の戦術防空、第1中隊は小隊毎に第一線の連隊戦闘団などへの防空に当たります。射程は5km程度ですが、各種レーダ装置による脅威情報を師団防空システムが処理し対処するため、防空能力は部隊として非常に高い。
81式短距離地対空誘導弾、第2中隊の装備です。SAM-1Cという改良型に当たり、射程16kmのレーダー誘導型と従来装備の射程8kmである赤外線誘導型を併用します。四連装発射装置2基とレーダーを装備する射撃統制装置搭載車両により1セットを構成し、中隊には4セット程度が配備されているもよう。
第10後方支援連隊第2整備大隊特科直接支援中隊及び高射直接支援隊、重装備の後方支援に当たる部隊で春日井駐屯地の連隊本部から派遣され駐屯しています。豊川駐屯地にはこのほか、中部方面後方支援隊第306普通科直接支援中隊および第104施設直接支援大隊第1直接支援中隊が駐屯しています。後方支援部隊を第一線部隊に密接させることでより効率的な整備支援を行うことが狙い。
第6施設群、大久保駐屯地の第4施設団隷下の施設群です。編成は群本部及び本部管理中隊、第369施設中隊、第370施設中隊、第371施設中隊、第372施設中隊、という編制で豊川駐屯地に群本部、本部管理中隊、第370施設中隊、第371施設中隊が駐屯、このほかは鯖江駐屯地に第372施設中隊、岐阜分屯地に第369施設中隊が駐屯しています。もともとは地区施設隊として部外工事などを請け負っていた部隊が改編され現在の体制となりました。
群隷下の中隊は機能別編成を採っており、第369施設中隊は築城機能中隊、第370施設中隊は障害機能中隊、第371施設中隊は機動支援機能中隊、第372施設中隊は交通機能中隊、というかたちで、それぞれ野戦築城や補給路維持に地雷処理や防御障害構築等を担う分担です。
74式戦車、今津駐屯地の第10戦車大隊よりの参加です。戦車大隊も三月の部隊改編により4個戦車中隊基幹から2個戦車中隊基幹へと縮小改編されました。豊川駐屯地の車両ではありませんが、部隊行事ということで支援に今津駐屯地より展開しました。こうして観閲行進は終わり、訓練展示は当方一行、反対側から撮影することとし移動しました次第です。
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