◆鉄道の日、官営鉄道横浜新橋間開業の日
本日は鉄道の日です。鉄道の日は官営鉄道横浜新橋間開業の日を記念し制定されました。
鉄道は陸上輸送網に大きな影響力をその発明以来維持し続けています通勤電車の通常定員は。概ね150名、首都圏では10両編成以上で乗車率によっては一編成で2000名を遙かに超える人員を数分おきに運航し輸送しており、他の交通機関では対応できません。
新幹線特急電車は東海道山陽新幹線で16両編成1322座席を定数として最大毎時12本上下24本を最高速度300km/hという高速で運行、500kmを隔てた首都圏2500万と京阪神中京圏2000万の人口新幹線と連動する在来線と共に運行し結んでいます。
2027年には中央新幹線としてリニア新幹線が開業し、首都圏と中京圏を40分で連絡、此処までの高速度は航空機でも旅客機ではなかなか競合出来ない水準で、文字どおり夢の技術の具現化がいよいよ現実味を帯びてきた近未来の現実化、と言えるでしょう。
日本の鉄道は運行システムとダイヤの面で世界最高の水準にある、と今日では言われるところですがその黎明期は決して優れたものでは無く、一から十までイギリスの技術を高い費用を要して導入、ダイヤグラム編制すら理解されていませんでした。
もとより我が国鉄道は地皺に富んだ狭隘地形、列島は細長く二千キロにおよぶと共に中央部には3000m級山岳地帯が聳え立つ、河川は急流で山岳は岩盤と地下水脈の連続、此処に鉄道網を開通させることは文字通り普通の事業ではありません。
しかし、鉄道網は自動車の実用化直前の時期に着手され、航空機の初飛行以前であったため、そのふきゅうは都市圏と都市圏と、地方と地方と、順次結び一時は民営鉄道の官営化などの荒業を続け、海外留学を経た技術者を重用し、必要な技術を取り入れ続け伸ばし続けたもの。
もちろん、我田引鉄と呼ばれる地方政治家の支持集約基盤の出力としての鉄道網整備という必要性から無計画に路線が延長に延長を続け、結果的に輸送需要に見合わない鉄道輸送網の構築が結果論としてですが鉄道全般の輸送体制に不協和音を及ぼしています。
一方、鉄道とは通勤手段及び商業連絡手段、貨物物流輸送手段、観光手段、何れかであるかという問いと共にその配分についての度合いを常に議論させ、併せて我田引鉄とともに鉄道網の輸送能力格差が地域発展にも影響を及ぼすようになっているところ。
即ち、交通網の発達が交通輸送力を前提とした産業構造を構築しているため、結果的に鉄道輸送能力が産業基盤に帰結するという状況が現出し、これは情報通信基盤に依拠する産業基盤への技術転換を前にしても、逆に基幹部分の人的関係と輸送基盤への依存を度高めている。
言い換えれば鉄道網の未発達地域派からの雇用等が鉄道集約地点にけっか的に集約されることとなり、地方格差と過疎化の進展、鉄道集約地域への人的集約の過剰化、医療公共サービスの必然的な鉄道集約地域への集中を招き、地方格差の増大という悪循環を招いてしまった。
併せて鉄道輸送需要の形態が前述の物流か通勤通学か観光か、という視点の競合が発生し、この命題への対応が単なる鉄道車両の高速化により輸送需要への返答を時間短縮化を念頭とする体系への転換が生じ、結果的に高速鉄道や運行頻度という命題を生んでいます。
同時にこれは、高速輸送基盤を持つ高需要路線と過疎閑散区路線との格差を拡大させることとなりました。泥縄式に観光輸送列車による需要喚起が、バブル期と団塊世代退職期に合わせ進められていますが、同時期に輸送機関の多様化が重なり、閑散区需要の掘り起こしには至っていません。
輸送需要に他の交通機関が対応できるならば話は別となるのですが、観光輸送には長距離輸送や沿岸部を除き鉄道輸送に頼る部分はやはり大きく、通勤需要については他の輸送機関に対応するには一部の道路網発展地域のみ、貨物輸送は陸上では今なお鉄道頼り。
三分化する輸送需要ですが、いずれも三位一体により相互補完し成り立つもので鉄道という基盤を欠いてはいずれも成り立ちません。これが意味するところは、全般の需要を喚起しなければ全体として衰退してゆく、ということ。
しかし、輸送需要全般で観るところでは消費の冷え込みと指摘されるものの航空輸送への格安航空輸送や夜間でのツアーバス運行などで行こうというよりは全体として底上げしているとの数値もあり、鉄道輸送全般で輸送需要の転換を図る事は当然機会としては存在するでしょう。
もちろん、この命題は鉄道というひとくくりでは見出せるものでは無く、区分し個々のものを特殊事例を含め検証しなければならないことは言うまでもないのですが、反面交通手段は鉄道化バスか自家用車か航空機か旅客船か、と選択肢にはひとくくりにされていることも確か。
このなかで、鉄道の地方基幹路線新幹線への転換や在来線特急の画一化と新幹線旅客サービスの簡素化や夜行輸送体系の再編、災害対策方式の転換など様々な検討すべき課題が顕在化しているのも現在、守りに入れば衰退するか反映するのかの分水嶺、ということが言えるかもしれません。
もちろん、旅客輸送需要はその特性ごとに、鉄道内だけではなくもろもろのものすべてを含めての輸送機関全般も、適材適所というべきでしょうか、棲み分けされている部分もあります。この点から今後数回に分け、鉄道について考えてゆこうと思います。
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)