北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

バイデン新大統領:日本時間今夜アメリカ合衆国第46代大統領就任,危機のアメリカに調和を

2021-01-20 20:20:09 | 国際・政治
■厳戒態勢のワシントンDC
 バイデン新大統領が日本時間今夜にアメリカ合衆国第46代大統領として就任式を迎えます。祝意を込めてブルーインパルスの写真と共に。

 アメリカは日本にとり歴史的にも政治的にも非常に大きな関係を持つ、太平洋を越えた隣国、同じ環太平洋諸国であり日本にとり唯一の同盟国であるだけに新しい大統領の就任を祝賀するとともに、現在はまさに危機の最中にあるアメリカと世界をどのように調和を快復し新しい時代へと進んでゆく旗手となるか、まずは新大統領の手腕を期待しましょう。

 ジョーバイデン新大統領は、オバマ前政権での副大統領経験者であり、労連且つ情熱的な政治家です。この点でビジネス界出身であり大富豪ながらポピュリズム的な手法で交渉を進めるトランプ氏の大統領就任当時ほど、焦燥感と不確定要素はありません。しかし、現在のアメリカはコロナウィルスCOVID-19と社会の分断、この二重苦に曝されています。

 分断されるアメリカ。これはブッシュ政権時代にテロとの戦いを背景に論評された命題ではありますが、2020年代におけるアメリカの分断は、ブッシュ政権時代の価値観の多様性を認めるかどうかという生やさしいものではなく、文字通り国家としての分断が懸念される状況に陥り、武装の権利を悪用しての騒擾を警戒し、首都は要塞そのものの緊張感に。

 武装民兵と陰謀論者が突撃銃を手に各所で総覧を引き起こす懸念があり、ワシントンDCには州兵25000名が派遣、そして派遣部隊の腕章を見ますと近い順というよりは、地域ごとに動員する旅団を調整しているようで、要するに州兵の利案という懸念さえも州兵総監や国防総省が考えねばならない状況にこの危機的状況が具現化しているといえるでしょう。

 トランプ政権は、しかし、同盟国日本からの視点としては環太平洋地域への関心度の高さと、当初懸念された日本への核武装容認や在日米軍撤退による事実上の西太平洋地域での日本の防衛力抜本拡大か中国による海洋閉塞容認か、という懸念される二元論ではなく、大国としての地位、自由と公正という国際公序の旗手としての役割は果たしていた訳です。

 オバマ政権時代までは、中国に対する宥和的な、例えば南シナ海島嶼部奪取も平和目的であるとし、更に台湾へも軍事的野心を見せることはなく、香港やチベットとウイグルの問題についても表面的には越えない一線があり、独自の政治制度に基づく一つの地域大国としての振る舞いを尊重していた政策が採られていたことは事実でした。ですが一転します。

 米中関係は上記の展望が、過度に楽観的であったという実状が突きつけられたもので、ここにトランプ政権は明白な対決姿勢を示し、結果論ではありますが、政府の方向性が曖昧故に長期政策の画定へ不確定要素があった、アメリカの防衛政策も一本化され、少なくとも買いよう自由原則への例外は認められない、アメリカの旗幟が明白となったわけです。

 バイデン新政権は基本的に、中国の海洋閉塞化を目的とした軍事力による海洋進出、そして非公正な手法での技術移転や対外直接投資の禁止など、いわば軍事力による現状変更と自由と公正に対する挑戦には、トランプ政権が厳しく臨んだ姿勢を継承するとしており、この点では、宥和路線へ回帰し緩む抑止力が北東アジアの戦争、という危惧は回避される。

 現政権、日本の視点から考えるならば、一般論としての日本観からはじまり、しかし日米関係の重要性を道程とともに深め、海上自衛隊護衛艦かが艦上を現職合衆国大統領として初めて表敬訪問、一時は中止さえ危ぶまれたF-35戦闘機の量産を進め、また破格の条件で日本へ有償供与する、日本からみれば、これぞ大統領、という印象ではあったのですが。

 ただ、アメリカ国民の視点から見れば、人種の分断や環境政策にたいする未知数の視点、朝三暮四主義というべきポピュリズム手法の多用などで混乱そのものであり、また、独自の政策を進める欧州とアメリカの関係は、日米関係ほど打ち解けられないものとなっていました。これは言い換えれば、日米関係の冗長性の外向的な高さ故ともいえる成果でして。

 安倍政権時代の日米関係は、こうした意味でトランプ政権が投げ出した環太平洋包括協力協定TPPを日本が引き取る構図でまとめることとなり、いわばアメリカギャップというものを埋める主導権により影響を最小減価することが出来たものでした、ここが、ちょうど欧州ではポピュリズム政権が乱立する時代でしたので、外交関係は巧く行きませんでした。

 鳩山政権時代にトランプ政権がかち合ったような状況が、欧州とアメリカの関係にはあったと言えるのかもしれません。他方で、アメリカ国内にはこうした部分の分断が大きくなってしまったのですね。喫緊の改題はコロナ対策、そして中国による国際公序変更への抑止ではありますが、その為にも分断されたアメリカへ調和の回帰を実現せねばなりません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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