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【防衛情報】アメリカ陸軍ストライカーMGS型2022年全廃とM-1A2-SEP-2-V3戦車新動向

2021-06-23 20:00:26 | 国際・政治
■特報:世界の防衛,最新論点
 今回はアメリカ陸軍特集です。空軍のF-22戦闘機2030年代廃止決定や海軍の沿海域戦闘艦運用終了に海兵隊のM-1A1戦車全廃等と変革が続く中での陸軍の動向や如何に。

 アメリカ陸軍がストライカー105mm機動砲を全廃するという驚きの転換を発表しました。陸上自衛隊では16式機動戦闘車の配備が進み、装輪戦車元祖というべきイタリアでは120mm戦車砲を搭載したチェンタウロ2が採用されたばかりです。そこで今回はアメリカ陸軍の新しい潮流をM-1戦車とストライカー装甲車の視点から見てみる事としましょう。
■ストライカー機動砲全廃へ
 ストライカー105mmMGS機動砲の全廃発表は余りに衝撃的でした、もっとも自動装填装置の不具合を目の前で見た事がある故にやはりかという印象ですが。

 アメリカ陸軍はストライカー105mmMGS機動砲について廃止、2022年内にも後継装備を調達せず形式消滅させる。ストライカーMGSは自動装填装置を用いた機動砲で2000m圏内で旧ソ連製T-72戦車の正面装甲を貫徹する能力があるが、車内には105mm砲関連装備が満載され汎用性が無いと共に、105mm砲は治安作戦などには威力過大となっている。

 ストライカー機動装甲車については、現在搭載するコングスベルク社製RWS遠隔操作銃搭へ12.7mm機銃と共にジャベリン対戦車ミサイルの連装試験が進められており、またストライカードラグーンとして30mmRWS搭載型が配備されている。30mmRWSはストライカーには巨大だが後継装甲車を大型化させる構想もあり、MGSの時代は終わったようです。
■MGS機動砲を代替する装備
 ストライカー105mmMGS機動砲をどのような装備が置換えるかについての指針です。少々心配な要素が多い。

 アメリカ陸軍のM-1128ストライカー105mmMGS機動砲廃止について。2000年代に画期的な装備として調達されたM-1128ストライカー機動砲ですが、2022会計年度より廃止開始されるのは少し早すぎると驚かされました。ただ幾つかの問題が指摘されています。第一には肝心の105mm砲に関する自動装填装置の陳腐化、そして装填不良の問題が一つ。

 M-1128ストライカー105mmMGS機動砲についてもう一つの問題は、機動砲部分の製造が終了し長期間を経て稼働率を維持する為の保守整備や予備部品などの枯渇が始まるためです。アメリカ陸軍はジャベリン対戦車ミサイルや30mm機関砲により任務は代替できると考えているもよう。ただ、今後増加するであろうアクティヴ防御への有効性は未知数です。
■M-1A2-SEP-2-V3寒冷地試験
 日本の90式戦車と違いアメリカはストライカーMGSに見切りをつけてもM-1戦車はまだまだ使うもよう。

 アメリカ陸軍はM-1A2-SEP-2-V3の寒冷地試験を完了させました。世界中で任務を展開するアメリカには重要な試験です。SEPとはシステムエンアンスメントパケージの略称、M-1A2-SEP-2-V3は改良を重ねるM-1エイブラムス主力戦車の最新改良型で、今回の試験はアメリカ本土に唯一のアラスカ州CRTC陸軍寒冷地テストセンターにて実施されました。

 M-1A2-SEP-2-V3は欧州や中東での戦闘を想定し、陸軍ではユマ試験場において徹底した実験を行っており、これは105mm砲を搭載する草創期のM-1戦車以来40年間に昇ります、寒冷地試験は北極圏での戦闘を想定し2020年1月から一年間にわたり実施されているもの。特に補助動力装置APUや繊細なFCS火器管制装置などが充分機能するかが確認されます。

 CRTC寒冷地テストセンターでは様々なトラブルも確認され、センター内を流れるデルタ川徒渉に際して戦車が踏み砕いた川の流れが戦車砲に到達したとともに川から出た瞬間に砲身内で凍結、また大量の降雪は照準装置等に積雪地の自動車にままあるトラブルを再認識させるなどの問題が発生していますが既存のまま対処可能な範囲内で有ったとの事です。
■PrSMミサイル400km試験
 アメリカ陸軍は58口径155mm榴弾砲により100kmの射程を目指している最中ですがPrSMミサイルはより遠距離を狙います。

 アメリカ陸軍が開発を進めるPrSM陸軍プレジションストライクミサイルについて開発を担当するロッキードマーティン社は400kmの射撃試験を成功させたとの事です。実験は5月14日、ニューメキシコ州のホワイトサンズミサイル試験場にて実施され、HIMARS高機動ロケット発射システムから射撃されたミサイルは正確に目標付近に着弾したとのこと。

 PrSM陸軍プレジションストライクミサイルは陸軍の各種装備射程延伸施策の一環として行われており、開発リスクを低減する為にロッキードマーティン社が過去に開発したATACMS陸軍戦術ミサイルシステムの射程を延伸する形で行われています。ただ400kmの射程は今後延伸される計画であり2021年後半にも改良型の発射試験が行われる予定です。
■オリジン次世代車両計画
 既存装備の近代化を図る一方で画期的な将来車輛の模索も進んでいるようですね。FCS計画など突如反故にされるものも過去には多く今回は成功するのか。

 アメリカ陸軍は無人戦闘車両によるプロジェクトオリジン次世代戦闘車両クロスファンクショナルチーム実証実験を2020年11月に実施したと発表しました。これは第3機械化歩兵師団が協力し実施、各種無人車輛等との連携要領を演練したとのこと。プロジェクトオリジンにはイギリス製スパキャット軽全地形車両を無人化した車両なども投入された。

 プロジェクトオリジン実証実験では、八輪駆動の軽全地形車両にM-2重機関銃やジャベリン対戦車ミサイル、40mm自動擲弾銃や発煙装置を搭載した車両が参加、歩兵部隊の前進を煙幕と重機関銃により支援し、仮設敵戦車部隊に対してジャベリン対戦車ミサイルの機動運用を行い対処したとのこと。評価試験はジョージア州フォートベニングで実施された。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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コメント (2)
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