北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【日曜特集】第1特科団創設62周年記念北千歳駐屯地祭-反撃能力整備とマルチドメイン戦略を考える(2)(2014-06-28)

2024-05-19 20:20:36 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■90式戦車MLRS機動展示
 第1特科団創設62周年記念北千歳駐屯地祭の行事紹介第二回とともにマルチドメイン戦略の話題を絡めて見る第二回の試み。

 北千歳駐屯地祭、観閲行進準備の号令とともに90式戦車とMLRSと203mm自走榴弾砲に88式地対艦誘導弾が式典会場にやってきました、いわゆる“ゴジラ対策四点セット”というべき装備たちなのですが、別にこれが観閲行進というわけでは、ありません。

 観閲行進準備には時間がかかりまして、特にここは第1特科団に加えて精鋭第71戦車連隊、あの第7戦車大隊が拡大改編されて誕生した精鋭戦車連隊も駐屯していますので準備に時間がかかるのです、だからその幕間劇というわけではないのですが、機動展示を行う。

 富士学校祭のように観閲行進車輛の一部というか全部をこの会場に並べてくれれば、式典も物凄く派手になるのになあ、とは思ったものなんですが、それを考えたのは式典が始まるまでというものでして、式典であれだけ中隊旗が並んでくれますと、もう、ねえ。

 中隊旗があれだけならんでいるということは観閲行進にはあの中隊旗のぶんだけ行進するという訳ですので、それはもうここには入りきらないよなあ、と。入れるとなると北千歳駐屯地というよりも東千歳駐屯地のむかしの滑走路のような長さが必要になってしまう。

 ゴジラ対策四点セット、なんていう、昔の平成ゴジラシリーズではMLRSのかわりに75式自走ロケット発射器か、それと203mm自走榴弾砲が並んで、そして奥の合成された怪獣とか未来人のタイムマシンとかに向かってゆく描写が、まあ一種の定番だったわけですが。

 北海道の行事を見ていますと、これはわたしだけなのでしょうか、本州の、特に京阪神あたりの、重装備が揃っていない地域から見に行きますと、これは勝てそうだ、と思ってしまうのですね。この当たりでさて“反撃能力整備とマルチドメイン戦略を考える”続き。

 自衛隊の編成は国家防衛戦略の画定により大きな変革を強いられるところですが、果たしてその組織改革を間に合わせるだけの予算などのリソースの意義を政治は理解しているのか、という視点です。現在進む各種装備の再編と反撃能力などは現実の難しさを示す。

 マルチメインタスクフォース化、昨今アメリカ陸軍などが大車輪で進める変革であり、実のところその編成はアメリカ自身が各国の軍隊の編成がアメリカのマルチドメインタスクフォース化の影響を受けていると評していますが、実際にはその逆ではないか、と。

 島嶼部防衛における自衛隊の改編、この南西諸島などで進む一連の部隊改編は2000年代初頭に西部方面普通科連隊新編の頃より検証されていた日本型の島嶼部防衛の在り方研究、その先の一つの到達点として具現化しているものなのですが、逆に先進的でありました。

 アメリカ陸軍はフィリピン軍やヴェトナム軍の改編のうち一部がマルチドメインタスクフォースと類似点があるとしていますが、逆に日本の視座、南西防衛に関する様々な研究、試行錯誤に実改編を伴う猶予がないほどに切迫した改編、こちらの影響を感じます。

 南西諸島の島嶼部防衛モデルをそのまま当てはめたのが結局のところアメリカ軍のマルチドメインタスクフォースではないか、という率直な印象があるのですね、地対艦ミサイル部隊と防空部隊に警備の歩兵大隊、先島諸島や奄美大島、沖縄本島の自衛隊部隊だ。

 電子戦部隊や無人機部隊とともにサイバー戦部隊を含む、これがアメリカのマルチドメインタスクフォースの概要ですからサイバー戦部隊が自衛隊の第一線部隊に欠けていると反論されるかもしれませんが、まあそれは日本の場合、戦域内に中央直轄部隊ああるゆえ。

 接近拒否領域阻止、マルチドメインタスクフォースという概念が想定されたのは、アメリカは今までエアランドバトルを冷戦時代に構想し、M-1戦車やM-2装甲戦闘車にAH-64戦闘ヘリコプターとして具現化した、その先にエアシーバトルという概念を冷戦後進めた。

 エアランドバトルはソ連軍戦車部隊の津波のような複数の梯団からなる侵攻に際して、直接防衛戦で受け止めるのではなく機動防衛、機動防衛というのは何が機動するのかは長いNATOでの結論のでない議論、これを加えて受け流し、その先に策源地をたたく概念です。

 エアランドバトルにおいてはM-1戦車がガスタービンエンジンという以上に燃費の悪い戦車を導入した背景に機動力重視があり、そしてAH-1に比較して遙かに航続距離の大きなAH-64は策源地、前線の遙か後方の段列地域を叩き潰すことを念頭に設計された。

 ブッシュ政権時代の1990年湾岸戦争は、砂漠のまっただ中にのべ550機のC-130H輸送機を動員してヘリコプター部隊の拠点を構築し、そこからクウェートを占領するイラク軍の策源地をたたくとともにM-1戦車はおおきく迂回、機動線を展開して勝利をつかんだ。

 湾岸戦争では有志連合、当時の名称は多国籍軍、これも国連軍を編成すべきとの国連の要求に対して、国連軍事参謀委員会は朝鮮戦争以来開かれておらず、アメリカ軍を指揮できる能力がないとして拒否した先なのですが、アメリカ軍へ随伴は容易ではなかった。

 フランスの第6軽機甲師団が自慢のAMX-10RC装甲偵察車など多数をもってアメリカ軍にごする機動力を発揮していますが、逆に言えば装輪装甲車であるAMX-10RCでなければガスタービンエンジンで延々と機動するM-1戦車の攻撃軸に同調できなかったわけです。

 国連軍を仮に編成した場合、実際、カフジの戦いなどでサウジアラビア軍も地上戦に参加していますので、文字通り有志連合がくまれたのでしょうけれども、国連にエアランドバトルの前進軸に沿った調整ができたのかは、非常に疑問でもある。

 100時間戦争とも呼ばれたように、最近は呼ばないが地上戦が100時間で終わったので第三次中東戦争を六日間戦争と呼んでいた名残なのかもしれない、100時間で地上戦にカタをつけるような戦いはおそらく国連には想定できず、長期戦となっただろう。

 冷戦時代に構築したエアランドバトルについてはこうして一定の成果を具現化することはできました。すると冷戦時代に自衛隊もエアランドバトルを目指していたのかと問われると、74式戦車にはそうした発想は、というよりもその前の時代の設計という。

 侵攻宗教、自衛隊はこう揶揄されることがあったというのですが、ソ連の保有船舶、徴用する民間船も当然含めて、そして地形から太平洋の日本周辺において実施できる両用作戦と補給線の概算をもとに想定する侵攻を、全国津々浦々に想定していました、いや。

 想定しつづけているというところでしょうか、現在も。詳細は敢えて聞かないのですが、若狭湾侵攻や丹後半島限定侵攻に本州最狭部空挺侵攻などまで想定して、それに応じた防衛計画があるという。アメリカ軍の増援まで維持できる能力は少なくとも。

 クリントン政権時代、これも急にエアランドバトルの話題に戻すのですが、冷戦時代のエアランドバトルは湾岸戦争を最後に、数千の戦車による侵攻という事態は考えられなくなった、イラク軍は1990年の時点で4200両もの戦車を保有、これが過去のものに。

 エアシーバトルという概念がブッシュジュニア政権時代から模索されオバマ政権時代に完成していますが、その前のクリントン政権時代にフロムザシー、という概念が提唱された、リットラルエリアにおける戦いともいい、沿岸部の戦闘や海の利用など。

 フロムザシーというのは冷戦後の地域紛争増大、米ソの圧力が消えて飽和状態となった民族問題や国境問題が一気に噴出した、この地域紛争増大に対応するための概念でした。なにしろ数が多かった、冷戦時代に小康状態であった紛争の激化もかなりの数にのぼる。

 ロングピースという、逆に冷戦時代の方が大戦争を抑止するもしくは大規模戦争の長期化を調停する構造が世界政治の枠組みに存在したのだという概説が試みられるほどに、冷戦構造の終結は、核戦争以外のリスクはすべて増大させていましたが。

 リットラルエリア、沿海域地域、地域紛争がそのまま大規模戦争に拡大することを警戒したのが冷戦後の一つの国際秩序維持の試みでした、アメリカがこうした概念を提唱するとともに、実はこの流れは別の部分で欧州とも同じアプローチが醸成されていて。

 マーストリヒト条約によりEC欧州共同体からEU欧州連合と発展した1993年にその役割を拡大させたEUは共通安全保障政策、なにしろ当時は2000年までにEUがNATOの後継になると考えらた、ボスニア紛争のでEUの緩い枠組みの限界を突きつけられるまでは。

 EU共通安全保障政策では、当時はいまのような誰でも移民難民受け入れというわけではなく、欧州の壁といわれたようなEU加盟国と非加盟国とのあいだでの移動の不自由があった、このなかで、地域紛争が拡大し制御不能となり欧州に影響が及ぶことを警戒していた。

 反撃能力整備とマルチドメイン戦略を考える、についてはこのくらいにしましていよいよ観閲行進の始まりです、先頭を往くのは第2地対艦ミサイル連隊、この部隊はと云えば非常に思い出深い部隊でもあるのです、この写真は2014年撮影ですが思い出は2011年で。

 東日本大震災が発災し日本がたいへんなことになりましたのが2011年、個人的にも非常に大変な事になってしまったのですが、この少し後に、つまり個人的にも状況がやや落ち着いた頃か、自衛隊で最初に行事を再開したのが、第2地対艦ミサイル連隊だったのです。

 美唄駐屯地に朝早く行きまして、そうするともうすでに同好の志が一人開門待ちで並ばれていましたので、こんにちは、どちらから来られました、と聞きますとなんとお隣は滋賀県の大津市からという。警衛の方にも笑われてしまいましたが、そんな思い出の部隊、と。

 北千歳駐屯地の観閲行進開始、さてさて、まあ、なんといいますか、お気づきでしょうか。北千歳、ものすごく観閲行進の撮影が難しいのですよね、更新というからには一枚に大量の装備を揃えた構図としまして、どうだ日本を攻められまいという写真としたいのだ。

 圧縮効果で撮影するにはある程度見通しの利く撮影位置が欲しいのですが、起伏や僅かな曲がり角からでも撮影出来る一方、この式典会場はどこをどう見渡してもそういう角度がないのです、しかも圧縮効果ですとスピーカーとかいろいろ入ってしまうようなかんじ。

 カメラを構えたからにはどうにか工夫して迫力ある構図を仕上げてみよう、とはおもうのですが、さあこの場所での撮影はその通り大丈夫な選択だったのか他に最適解が在ったのか、カメラの設定は大丈夫だったのか、と考えつつ、観閲行進はどんどんすすんでゆくのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【京都発幕間旅情】京津線800系電車,全国の赤字ローカル線を救うには併用軌道方式という選択肢

2024-05-19 20:00:10 | コラム
■巨大な路面電車!?
 大津では見慣れた風景ですが知らない方にはきょだいな路面電車に見えるらしい。

 京津線800系電車、浜大津駅からの出発です。けっこうは珍しい風景と思うのですが、京都市営地下鉄乗り入れの電車がそのまま4両編成で運行されている。4両くらいならば広島市電や江ノ電と比べれば、と思われるかもしれませんがこれ、地下鉄電車だ。

 京阪800系、もっとも京都市営地下鉄は烏丸線が近鉄電車も乗り入れているほど、ふつうの列車が運行されているのに対して京津線が接続する東西線は少し小型の電車が投入されていまして、しかしそれでも歴とした通勤電車が路面電車のようにはしっている。

 全国の赤字ローカル線を救うには、この方法がもっともよいのではないか、と思うのです。もちろん鉄道は輸送力ですからどれもこれも800系のような小型電車とするべきではないのかもしれませんが、仮にこの軌道だけでも公道として公費で整備できれば。

 石山坂本線も京津線も軌道部分は京阪電鉄が整備しているのですが、鉄道を地域交通機関として残したいという地方都市ならば、もちろん財政は火の車ということは承知しているのですけれども、鉄道が廃線になれば更に衰退するという覚悟があれば、と。

 併用軌道をできるだけ増やして、ここに気動車かハイブリット電車を運行するならば、信号設備はもちろん鉄道用のものがひつようですけれども、一番鉄道会社が難渋する保線の予算をそのまま、国道ならば国土交通省が管理でき、廃線だけは免れる。

 BRTバスレイルトレイン方式などは肝心の鉄道は輸送力という前提をそいでしまうが、併用軌道ならば緊急時には貨物列車の迂回運転など、鉄道の鉄道としての有用性、大きな輸送力というものを発揮できる冗長性とローカル輸送を両立できるかもしれません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:京都-祇園,東山の峰々を眺めつつ頂く中華料理とジントニック

2024-05-19 18:11:45 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 このところ忙しく少し前にこの界隈を散策した際にいただきました美味しいご飯の話題を自分で掲載してちょっと和んでみよう。

 榛名さんの総監部グルメ日誌は京都の話題です、とはいうものの舞鶴地方総監部の置かれた舞鶴市の方ではなく舞鶴市の京都府は府庁のおかれています古都京都の、かもがわをわたって祇園界隈を散策した際に頂けるところ、八坂神社の手前あたりのおみせの。

 中華料理、というと京都には大正時代からの小さな中華街を起点とする京都中華と、それから戦後全国に大陸からの引き揚げとともに広まった町中華とがあるのですが、まあ、せっかく祇園まで来たのだから本格的な中華料理をいただこう、という気分になる。

 青冥さん、八坂神社目の前の祇園はYASAKAビルというちょっと背の高い屏風のような角地の一等地、その最上階に中華料理やさんが入っていまして、ここ、夜はけっこういいお値段となるのですけれどもお昼時はランチで手軽に本格中華を楽しめるのですね。

 エビチリセット、千円ちょっとでお酒をひとつ楽しんでも二千円いかないというのはここのランチタイムのうれしいところ、ただ、なによりもうれしいのはここから東山の、寺院というと建仁寺なんかもみえるのですが、眺望とともにおひるを楽しめることかな。

 八宝菜とか、せっとですので幕の内弁当みたいにひととおり中華の逸品がならんでいまして、どれもみためもも美味しそうなのですが、味ももちろんなかなかのもの。ランチタイムは来るべき午後に備えての貴重なひととき、休日でも散策に気は抜けません。

 中華粥、昔学生時代に地域研究で早朝の横浜を探訪した際の中華粥がわすれられない、資料館と資料を漁って横須賀にも行かずにいろいろ調べていたものだけれども、そんなときの中華街の思い出がある、Weblog北大路機関創設は神戸中華街からの帰路だし。

 麻婆豆腐も、しっかりと山椒が利いていて、どれも小皿料理で注文したようなしっかりとした量があって味も旨いので、さて冷める前にどれから頂くかというまえにさっさと写真とってカメラを脇によけて食べてしまいたい中で構図を考えるのが大変という。

 ジントニック、そうだよ休日なんだしなにかここまで美味しそうな中華料理が出てくると青島ビールかジントニックでも隣に置かなければ逆に不自然だというもの。その日の日替わりジントニックというものがあって、今日はタンカレーのジントニック、かな。

 タンカレーかボンベイかゴードンか、せいぜいここにビフィターか、北大路機関のジンの銘柄はなんとかく寂しい。だからこそ外でジントニックをいただいて、こんなトニックウォーターがあるのかとか、料理との相性をしっかりとしらべてゆきたいものです。

 焼きそばか唐揚げ、中華粥か白米、ランチにはチンジャオロースかエビチリか酢豚かをえらべるのですけれども、付け合わせもいろいろ選べまして、もう、気分ですから焼きそばにしたんですが、唐揚げを頼んで本日のハイボールでハイカラ、とかもできる。

 ジンの、割っているけれどもタンカレーやゴードンなんかはもともと47度か、焼酎ハイボールなんかとはちがうキックの強さに、確かな辛さの麻婆というのは、これ意外とよくあうんですよ。このあたり、ランチというよりも酒呑みの感覚になってきた。

 エビチリとともに、考えると今日はチリというか辛味のなかでランチとした感じで、それでも辛いだけではなく独特の新鮮な歯ごたえのエビの身がよく香りとともに抜けてゆくのが一口口に運ぶとともにわかりまして、そこにそっとジンのキツさを添えてゆく。

 祇園、青冥さんはこの祇園の一角の最上階にお店を構えていますから、ここから見上げるだけで眺望のよさはわかるところでしょう、さて、ほろ酔にはまだまだですが休日の散策は、建仁寺へと向かうか、円山公園を抜けて知恩院を拝観するか、考えよう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウクライナ情勢-ロシア軍はカメ戦車をハリコフ侵攻で多用,クラスノホリフカでの戦闘概況

2024-05-19 07:01:41 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 あの改造がどの程度効果があるのかは不明なのですが実際に例えば74式戦車などに同様の改造を施しても徹甲弾が防げるようには思えないのです。

 ロシア軍はカメ戦車をハリコフ侵攻で多用している、ISWアメリカ戦争研究所5月12日付戦況報告において、ホームレス戦車とも呼ばれる戦車そのものをカマボコ型のプレハブ住宅のようなもので覆った戦車の運用について分析しています、これは対戦車ミサイル対策の行き着いた先ともいえ、無人機攻撃にもある程度有効という。

 カメ戦車について、戦車の上をそのまま覆った構造であるために戦車周辺を戦車長は視察することはできず、操縦手からの視野も限られたものとなりますが、自爆用無人機に弱点であるエンジン上部を発見されにくく、また対戦車ミサイルのタンデム弾頭が作動した場合でも中空装甲以上に離隔しており、防御力を高めている可能性が。

 カメ戦車についてISWはその破壊に苦労しているとウクライナ軍将校の話を紹介しています。カメ戦車が投入されているのはヴォフチャンスク近郊での戦闘で、ロシア軍は現在、ヴォフチャンスクを南西と南側から包囲する迂回機動をとっているとのこと。ウクライナ軍はヴォフチャンスクをロシア軍の主要目標と分析しています。
■クラスノホリフカ
 13日から14日にかけてロシア軍の動向がおおきく鈍化したとは続報されています。

 クラスノホリフカでの戦闘概況についてISWアメリカ戦争研究所は5月12日付戦況報告において、ウクライナ軍ホルティツイア群報道官のヴォロシン中佐発言などを紹介、小規模の歩兵突撃部隊を繰り返し投入するとともに一部では装甲車両を投入しているとも報告しています。そしてクラスノホリフカは現在包囲されつつあるとも。

 クラスノホリフカでは中心部に赤煉瓦工場があり、ウクライナ軍はこの赤煉瓦工場を防衛拠点として活用しているものの、ロシア軍が赤煉瓦工場に至る通信電話線や電線を遮断しており、またウクライナ軍は赤煉瓦工場へ弾薬や食料などを補充できない状況に陥っているという。これは言い方を変えれば中心部が包囲されていることを示す。

 2022年のウクライナ侵攻当初にロシア軍が犯したような戦力の分散や不明確な攻撃ということはほぼなくなり、昨今のウクライナ戦況では限られた戦域目標に対して軍団規模の攻撃を集中する状況がみてとれるため、人的損耗を度外視した攻撃を繰り返すことで包囲されたウクライナ軍は苦戦を強いられることが増えています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする