COVID-19大陸封鎖令,世界保健機関WHO“パンデミック”宣言と日本“緊急事態宣言”法改正

■トランプショックと恐慌懸念
　COVID-19による影響は2003年SARSはもちろん1957年アジア風邪の規模での感染拡大を憂慮せねばならなくなってきました。

　中国武漢から発生した新型肺炎COVID-19は感染拡大が留まる事を知らず、中国は7億6000万名の国民への移動制限という空前の移動を制限する事で感染は沈静化しつつありますが、まだ武漢を始め主要都市の封鎖は継続されています。そしてその間、中国を飛び出したCOVID-19は世界中に拡散、韓国とイタリア、イラン始め影響が甚大となっています。

　イタリアの状況が深刻で、11日に北部全域に加えイタリア全域の銀行と薬局食料品店以外の店舗閉鎖を命令、事実上全域の外出禁止令が発令されました。イタリアは感染者数が1万2462名で昨日だけで196名が死亡し、死者数は827名となり急増中です。重篤患者をAW-101にて空輸する報道映像等も示され、相当深刻となっている状況が垣間見えました。

　国会では緊急事態宣言を可能とする新型ウィルス法案が本日衆議院内閣委員会において審議入りし、賛成多数を以て可決し参議院へ送られました。委員会では、緊急事態宣言に当たっては緊急でやむを得ない場合を除き国会に事前に報告する事が求められ、施設利用制限での不利益への配慮などを求める付帯決議も併せて盛り込まれることとなりました。

　緊急事態宣言が出されれば以下のことが可能となります。一定以上の人が集まる商業施設や公共施設の閉鎖要請が出せます。病院施設が不足した場合の民有地接収や民間施設の接収を所有者の同意なしに可能となる。そして、感染者の死者数が急増し火葬が間に合わない場合に仮埋葬として埋めることなどが出来ます。緊急事態宣言はまだ出されていません。

　パンデミックが発生した。WHO世界保健機関は11日、スイスジュネーヴにありますWHO本部において世界的流行禍を意味するパンデミック、パンデミーが発生した、と定例記者会見において発表、その根拠として過去に週間で中国以外の感染者が13倍に増加したことを示し、過去パンデミーはインフルエンザが原因であったが、初のコロナによる、とも。

　世界恐慌という最悪の懸念が現実味を帯びてきました。これはロイター通信1506時報道、アメリカ東部時間11日夜にトランプ大統領が発表したコロナ対策演説の影響です。コロナ対策演説では、当初ニューヨークなどで続く記録的な株価暴落に対し、財政支出や連邦準備銀行金融緩和の水準などの表明が期待されていましたが、ほぼ言及がありませんでした。

　トランプショック。一部ではこう揶揄されるコロナ対策演説では、影響を受けた企業への低利子融資に言及しましたが、労働者個人への救済措置、個人商店や零細企業への小規模な融資に重点が置かれ、当初期待された大規模な財政支出が盛り込まれていません。いっぽうでもう一つ盛り込まれたのはイギリスを除く欧州からの30日間の移動制限です。

　大陸封鎖令。こう表現するほか無いような欧州全域からの30日間のアメリカへの入国停止、この移動制限は経済活動を大きく制約するとともに旅客機の運航を大きく阻害し、旅客輸送とともに胴体下面では航空貨物輸送により物流を担う航空便の減便は製造業を大きく阻害するものであり、物流とともに人の移動と経済が停滞、世界恐慌の引き金となり得ます。

　日本ではどうか。我が国では追加のコロナ対策が示され、ロイター通信本日1726時報道では政府与党内の検討として、二〇二〇年度予算とは別枠の最大20兆円規模の経済対策が検討されているとされ、現在の学校休校措置への補填という水準の対策に留まらず、製造業サプライチェーン再構築支援や五輪への影響での経済打撃吸収検討、が報じられています。

　赤字国債。財源不足により、しかし20兆円規模の対策を実施するには赤字国債の発行しか考えられず、同じ1726時ロイター報道では政府関係者の声として赤字国債やむなしの声があるとともに、関係筋の声として財源が足りず数兆円程度が現実的、という声も紹介されました。場合によってはリーマンショックを越える規模の経済的影響が懸念されています。

　国内感染状況は、NHK本日1812時報道としまして、新たに25名が感染、国内の感染者は645名とのことです。この感染者数にはクルーズ船での検疫時発症者を含みません。クルーズ船での感染者は696名、そして武漢からのチャーター機での帰国者の中で発症者が14名となり、これらをあわせての国内発症者は1355名、全体での死者は24名となった。

　都道府県ごとの感染者数は多い順に北海道は128名、愛知県は105名、大阪府は80人名、東京都は73人名、神奈川県は48名、兵庫県は42名、千葉県は27名、京都府は15名、新潟県は14名、埼玉県は14名、和歌山県は14名、高知県は12名、奈良県は８名、石川県は７名、三重県は７名、熊本県は６名、群馬県は3名、長野県は３名、山口県は３名と。

　国内は更に福岡県は３名、沖縄県は３名、秋田県は２名、栃木県は２名、山梨県は２名、静岡県は２名、岐阜県は２名、愛媛県は２名、宮城県は１名、福島県は１名、滋賀県は１名、広島県は１名、徳島県は１名、大分県は１名、宮崎県は１名、以上の状況です。北海道と愛知県とそして大阪府ではクラスター感染という大規模感染が発生したもようです。

　世界の感染状況は、AFP通信日本時間12日0352時記事によれば、ここ24時間の感染者数は11日午前2時以降で6762名となっていまして、この24時間で死者は新たに315名が増加しました。中国本土では累計で8万778名が感染、3158名が死亡しました。しかし感染拡大は中国政府によれば11日0200時以降、新たに24名の感染と22名の死亡のみ。

　世界で深刻な感染拡大が続く地域では、113の国と地域で12万4101名が感染し4566名が死亡した。イタリアが中国に次いで多く感染1万2462名で死亡827名という。イランは感染9000名であり死亡は354名という。韓国では感染7755名に対し死亡60名となっています。そしてスペインで急激な感染拡大が進み、感染2128名と死亡47名となっています。

　コロナウィルスについて、欧州はその発生初期から警戒は実施しており、また中国本土からの距離も大きい事から、早い時期に非常事態宣言を発令したイタリアを含め楽観的な視点が在ったのですが、驚くべき速度での感染拡大により、全土での学校封鎖や地域封鎖に踏切った事例もあり、イタリアに続きスペインでの拡大が顕著、今後も予断を許しません。

　アジア風邪。新型コロナウィルスCOVID-19の影響は、このまま継続しますと1957年に中国から広がった“アジア風邪”と同等の極めて懸念すべき状況となる可能性があります。アジア風邪は世界中で猛威を振るいましたが、日本国内でも300万名が感染し5700名が死亡しました、ヘルペス症状の痛みと共に窒息性肺炎を併症すると致死率が非常に高まった。

　アジア風邪は世界での死者数が世界で100万名に達していまして、この際には50歳以上の発症者が少なく、一説には毒性の低い同種のインフルエンザが50年以上前に流行した為に免疫が在った可能性も指摘されているのですが、この為に日本では子供の死亡率が高かったという一点も付け加えておきましょう。アジア風邪、その致死率は日本で0.19%となる。

　COVID-19の致死率はWHOは2%未満としています。しかし、この2%未満という数字は、1957年アジア風邪の致死率0.19%と比較しますと十倍以上のものであり、日本で一人も免疫の無いCOVID-19がアジア風邪並に感染拡大した場合、もっともWHOはインフルエンザよりも感染力は低いとしていますが、仮定で、死者数は6万名に飛び上がる懸念もある。

　しかし、日本では現在のところ、COVID-19の感染拡大は、かなり封じ込められています。日本全域の公立学校閉鎖措置、そして大規模興行自粛要請、共に異例の規模で進められています、この経済的影響は2011年東日本大震災を上回るものとなる懸念がありますが、封じ込めています。封じ込めを中断するならば、上記の懸念があります。頑張りましょう。

北大路機関：はるな　くらま　ひゅうが　いせ
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