■特報:世界の防衛最新論点
今回は早期警戒機の話題を集めてみましたが航空自衛隊はE-2Cの後継機と増強に同程度のE-2Dを導入した一方でアメリカは当時自衛隊が断念したE-7をE-3の後継に決定しています。
アメリカ議会上院公聴会ではE-3早期警戒管制機のE-7A早期警戒機への転換計画への問題点が議論されています、これは5月17日に開かれた議会上院公聴会において上院航空武装小委員会でトップ上院議員が示したもので、空軍はE-3早期警戒管制機半数を退役させE-7A早期警戒機に切り替える方針だが、重要な任務遂行能力低下に繋がると警告しました。
E-3早期警戒管制機は31機が運用中ですが、空軍は2023会計年度に15機の退役を計画しています、ただ、後継機となるE-7A早期警戒機は初号機納入が早くとも2027年となる見通しで、更に空中警戒管制要員を訓練し初度作戦能力を獲得するまでには、2027年の配備開始からさらに数年かかる事を問題視しています。ただ、他の選択肢も限られるとのこと。
空軍の装備計画副部長であるデビットナホム中将は、上院での問題について、今回退役する15機のE-3は1970年代に納入され、老朽化は深刻、機体維持費をE-7導入計画に再投資する事で結果的に任務遂行能力維持に繋がるとしています。見方を変えれば、2007年にE-3後継機のE-10計画を中止させたしわ寄せが、2022年に顕在化したともいえましょう。
■いずも型護衛艦とAWACS
海上自衛隊の護衛艦でのF-35B戦闘機運用に関する話題です。
護衛艦かがF-35B戦闘機発着対応改修が2022年3月より開始され艦首部分の形状を大幅に改修する本格的な工事となります、防衛省は護衛艦艦上からのF-35B戦闘機運用に際し、F-35B戦闘機支援へ陸上基地からのE-767早期警戒管制機を支援に飛行させる方針です。この方針は日刊工業新聞が既に2018年12月25日に、関係者の話として報道している。
防衛省ではこのほかの選択肢も検討するとの事でしたが、具体的な施策は2022年に至るも提示されていません、防空作戦には早期警戒機が必須であるものの、海上自衛隊最大の護衛艦でも搭載できる固定翼早期警戒機はありません。ただ、航続距離の大きなE-767早期警戒管制機は4機しか保有せず、この数的問題がF-35B運用を左右するかもしれません。
■グローバルアイ
航続距離の大きなビジネスジェットの早期警戒機への改修は静かに運用国を増やしています。
スウェーデン国防省は7月1日、サーブ社へグローバルアイ早期警戒機2機を発注しました。これはスウェーデン国防装備庁FMVとの正式な契約です。グローバルアイ早期警戒機はビジネスジェットと空中警戒レーダ装置を一体化させた早期警戒機で早期警戒管制機程の機体規模はありませんが、空母艦載機であるE-2Cよりも機内容積に余裕があります。
エリアイエクステンデットレンジレーダーを搭載、このレーダーは高度30000フィートで飛行した場合は450km半径の、最大運用高度である35000フィートで運用した場合は550kmの範囲を警戒監視可能で、従来のエリアイレーダーと比較した場合で70%探知能力が強化されているとのこと。システムの構成要素重量は全体で1tにまとめられています。
ボンバルディア社製グローバル6000にシステムは搭載されており、航続距離の大きなビジネスジェットである為、実に11時間の連続警戒監視飛行が可能となっています。グローバルアイ早期警戒機2機の契約は73億スウェーデンクローネ、邦貨換算では962億8700万円、一機当で481億円です。2機は2027年までにスウェーデン軍へ引き渡されるとのこと。
■E-6BマーキュリーblockⅡ
こちらは早期警戒機というよりは通信中継機の話題ですが。
アメリカ海軍はE-6Bマーキュリー通信指揮機のblockⅡ改修を開始しました。これはルイジアナ州にあるノースロップグラマン社のレイクチャールズ工場へ改修に向けた最初の機体が到着したもので、2022年2月に成約となったIMMC統合修正保守契約に基づく改修となっています。E-6Bマーキュリー通信指揮機は海軍には現在16機配備されています。
blockⅡ改修は通信能力の改善と通信中継に関する所要時間の短縮、そして通信衛星が使えない状況においても戦略ミサイル原潜以外の部隊に対しても通信中継が可能となり、空軍のミニットマン大陸間弾道ミサイル部隊との通信も補完するとのこと。なお、機体は1989年から製造されていますが、その原型機は旧式化が進むボーイング707型機のままです。
E-6Bマーキュリー通信指揮機は戦略ミサイル原潜とアメリカ本土の通信を担う航空機で、超長波VLF通信により電波がほぼ届かない海中を航行する戦略ミサイル原潜と通信します、超長波VLFは長大なアンテナが必要で地上に設置した場合は第一撃で破壊される懸念があり、航空機に搭載、E-6Bには7925mと1220mの二種類アンテナが搭載されています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
今回は早期警戒機の話題を集めてみましたが航空自衛隊はE-2Cの後継機と増強に同程度のE-2Dを導入した一方でアメリカは当時自衛隊が断念したE-7をE-3の後継に決定しています。
アメリカ議会上院公聴会ではE-3早期警戒管制機のE-7A早期警戒機への転換計画への問題点が議論されています、これは5月17日に開かれた議会上院公聴会において上院航空武装小委員会でトップ上院議員が示したもので、空軍はE-3早期警戒管制機半数を退役させE-7A早期警戒機に切り替える方針だが、重要な任務遂行能力低下に繋がると警告しました。
E-3早期警戒管制機は31機が運用中ですが、空軍は2023会計年度に15機の退役を計画しています、ただ、後継機となるE-7A早期警戒機は初号機納入が早くとも2027年となる見通しで、更に空中警戒管制要員を訓練し初度作戦能力を獲得するまでには、2027年の配備開始からさらに数年かかる事を問題視しています。ただ、他の選択肢も限られるとのこと。
空軍の装備計画副部長であるデビットナホム中将は、上院での問題について、今回退役する15機のE-3は1970年代に納入され、老朽化は深刻、機体維持費をE-7導入計画に再投資する事で結果的に任務遂行能力維持に繋がるとしています。見方を変えれば、2007年にE-3後継機のE-10計画を中止させたしわ寄せが、2022年に顕在化したともいえましょう。
■いずも型護衛艦とAWACS
海上自衛隊の護衛艦でのF-35B戦闘機運用に関する話題です。
護衛艦かがF-35B戦闘機発着対応改修が2022年3月より開始され艦首部分の形状を大幅に改修する本格的な工事となります、防衛省は護衛艦艦上からのF-35B戦闘機運用に際し、F-35B戦闘機支援へ陸上基地からのE-767早期警戒管制機を支援に飛行させる方針です。この方針は日刊工業新聞が既に2018年12月25日に、関係者の話として報道している。
防衛省ではこのほかの選択肢も検討するとの事でしたが、具体的な施策は2022年に至るも提示されていません、防空作戦には早期警戒機が必須であるものの、海上自衛隊最大の護衛艦でも搭載できる固定翼早期警戒機はありません。ただ、航続距離の大きなE-767早期警戒管制機は4機しか保有せず、この数的問題がF-35B運用を左右するかもしれません。
■グローバルアイ
航続距離の大きなビジネスジェットの早期警戒機への改修は静かに運用国を増やしています。
スウェーデン国防省は7月1日、サーブ社へグローバルアイ早期警戒機2機を発注しました。これはスウェーデン国防装備庁FMVとの正式な契約です。グローバルアイ早期警戒機はビジネスジェットと空中警戒レーダ装置を一体化させた早期警戒機で早期警戒管制機程の機体規模はありませんが、空母艦載機であるE-2Cよりも機内容積に余裕があります。
エリアイエクステンデットレンジレーダーを搭載、このレーダーは高度30000フィートで飛行した場合は450km半径の、最大運用高度である35000フィートで運用した場合は550kmの範囲を警戒監視可能で、従来のエリアイレーダーと比較した場合で70%探知能力が強化されているとのこと。システムの構成要素重量は全体で1tにまとめられています。
ボンバルディア社製グローバル6000にシステムは搭載されており、航続距離の大きなビジネスジェットである為、実に11時間の連続警戒監視飛行が可能となっています。グローバルアイ早期警戒機2機の契約は73億スウェーデンクローネ、邦貨換算では962億8700万円、一機当で481億円です。2機は2027年までにスウェーデン軍へ引き渡されるとのこと。
■E-6BマーキュリーblockⅡ
こちらは早期警戒機というよりは通信中継機の話題ですが。
アメリカ海軍はE-6Bマーキュリー通信指揮機のblockⅡ改修を開始しました。これはルイジアナ州にあるノースロップグラマン社のレイクチャールズ工場へ改修に向けた最初の機体が到着したもので、2022年2月に成約となったIMMC統合修正保守契約に基づく改修となっています。E-6Bマーキュリー通信指揮機は海軍には現在16機配備されています。
blockⅡ改修は通信能力の改善と通信中継に関する所要時間の短縮、そして通信衛星が使えない状況においても戦略ミサイル原潜以外の部隊に対しても通信中継が可能となり、空軍のミニットマン大陸間弾道ミサイル部隊との通信も補完するとのこと。なお、機体は1989年から製造されていますが、その原型機は旧式化が進むボーイング707型機のままです。
E-6Bマーキュリー通信指揮機は戦略ミサイル原潜とアメリカ本土の通信を担う航空機で、超長波VLF通信により電波がほぼ届かない海中を航行する戦略ミサイル原潜と通信します、超長波VLFは長大なアンテナが必要で地上に設置した場合は第一撃で破壊される懸念があり、航空機に搭載、E-6Bには7925mと1220mの二種類アンテナが搭載されています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)