■防衛フォーラム
今回は戦闘機の話題なのですが中でも空母艦載機に関する話題を。
アメリカ海兵隊はF/A-18E戦闘攻撃機へのJASSM運用能力付与を実施しました。海兵航空部隊はいわゆるレガシーホーネットと呼ばれたF/A-18C/Dを廃止し新型のスーパーホーネットことF/A-18E/Fへの置き換えを完了していますが、ここにAGM-158A-JASSM統合空対地スタンドオフミサイルの運用能力が付与されようとしています。
AGM-158A-JASSM統合空対地スタンドオフミサイルの運用能力付与は、カリフォルニア州サンディエゴのミラマー海兵航空基地において実施、第3海兵航空団の第232海兵戦闘攻撃飛行隊VMFA-232の機体に能力が付与されました。VMFA-232はレッドデビルズの愛称で知られ、海兵航空部隊で最も古い歴史を誇る航空部隊となっています。
AGM-158A-JASSMは海軍と空軍が採用しており、もともと海軍が貴重な艦上攻撃機を敵対勢力のミサイル射程外から攻撃することで損耗から防護する目的で開発、2009年より運用が開始されています。初期型のJASSMは射程370㎞、ミサイル本体にはステルス性が付与されています。改良型のJASSM-ERの射程は930㎞まで延伸されました。■
アメリカ海軍はAIM-174B長射程空対空ミサイルの大量搭載運用を開始するもよう。AIM-174Bは元々はRIM-174艦対空ミサイル、スタンダードSM-6の愛称で知られるもので、もともとはスタンダードSM-2ミサイルを主装備としていたイージス艦が、1980年代の想定脅威の射程では不十分となった為に長射程のものを求めた結果の産物だ。
スタンダードSM-6は飛行速度マッハ3.5、射程240㎞から460㎞とされ、この射程が全く異なるのは相手が海面すれすれをシースキミング飛行しているのか、高高度を飛行しているのかにより異なる為ですが、仮に対空用ではなく地上目標に誘導した場合は射程が500㎞とハープーン対艦ミサイルの倍以上という長射程を誇るミサイルです。
AIM-174Bの大量搭載運用とは、ポイントマグー海軍航空基地の第9海軍試験評価飛行隊VX-9が公式インスタグラムで公開した写真に、AIM-174ミサイルを4発とAIM-120-AIMRAAMミサイルを3発、AIM-9Xミサイルを2発搭載し飛行する様子を公開したもので、冷戦時代にF-14が行った空母を艦載機により守る任務を引き継ぐよう。■
アメリカ海軍はAIM-174B-SM-6ALCミサイルの実戦配備を発表しました。実戦配備となったのはカールビンソン空母打撃群に展開する第2空母航空団でVX-9第 9 航空試験評価飛行隊により、その艦上運用が研究されていたものです。空母打撃群の防空はイージス艦の時代を迎え、これにより2000年代初頭に空母航空団は大変革を遂げました。
F-14トムキャット戦闘機は搭載するAIM-54フェニックス空対空ミサイルの射程165㎞という長射程により、長らく空母任務群の防空を担っていましたが、イージス艦の量産と共にアメリカ海軍の水上戦闘艦のほとんどすべてがイージス艦となる時代にあって、スタンダードミサイルの射程でも十分対応できF-14は退役、艦載機は打撃力重視となる。
空母打撃群に名称が変容した背景にはF-14戦闘機の艦隊防空能力をイージス艦に置き換えることで空母艦載機はF/A-18E/F戦闘攻撃機が主体となり、これにより空母はその航空団の全てを航空打撃に充てられることとなった実情もありますが、2010年代以降、艦対艦ミサイルの射程延伸によりイージス艦能力の限界が指摘、艦載機が再評価されました。■
アメリカ海軍の将来空対空ミサイルとしてAIM-260-JATMプログラムが今年夏に配備が開始されたAIM-174B-SM-6ALCと共に挙げられていますが、この展望について。AIM-260-JATMはAIM-120AMRAAM空対空ミサイルの発展型となっており、艦対空ミサイルを空対空ミサイルとした、AIM-174B-SM-6ALC実用化前には最有力の候補でした。
AIM-120D3としてAIM-260-JATMプログラムのひな型となるミサイルも開発されていますが、大きな問題はその原型となるミサイルがAMRAAMだということです。AMRAAMはAIM-7スパロー空対空ミサイルを置き換えるもので、実際にはスタンダードSM-6もシーカー部分はAMRAAMを応用しているものですが、ミサイル本体は小型でした。
F-22や海軍と海兵隊のF-35Cに搭載する場合はステルス性を維持するために機内兵装庫に搭載できる小型のAMRAAMは有用なミサイルですが、ミサイル本体の大きさから射程は200kmを超えられず、対してSM-6は高高度から運用した場合の射程は400㎞に達し、ステルス性を考慮しないF/A-18E/Fからの艦上運用と適合したかたちです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
今回は戦闘機の話題なのですが中でも空母艦載機に関する話題を。
アメリカ海兵隊はF/A-18E戦闘攻撃機へのJASSM運用能力付与を実施しました。海兵航空部隊はいわゆるレガシーホーネットと呼ばれたF/A-18C/Dを廃止し新型のスーパーホーネットことF/A-18E/Fへの置き換えを完了していますが、ここにAGM-158A-JASSM統合空対地スタンドオフミサイルの運用能力が付与されようとしています。
AGM-158A-JASSM統合空対地スタンドオフミサイルの運用能力付与は、カリフォルニア州サンディエゴのミラマー海兵航空基地において実施、第3海兵航空団の第232海兵戦闘攻撃飛行隊VMFA-232の機体に能力が付与されました。VMFA-232はレッドデビルズの愛称で知られ、海兵航空部隊で最も古い歴史を誇る航空部隊となっています。
AGM-158A-JASSMは海軍と空軍が採用しており、もともと海軍が貴重な艦上攻撃機を敵対勢力のミサイル射程外から攻撃することで損耗から防護する目的で開発、2009年より運用が開始されています。初期型のJASSMは射程370㎞、ミサイル本体にはステルス性が付与されています。改良型のJASSM-ERの射程は930㎞まで延伸されました。■
アメリカ海軍はAIM-174B長射程空対空ミサイルの大量搭載運用を開始するもよう。AIM-174Bは元々はRIM-174艦対空ミサイル、スタンダードSM-6の愛称で知られるもので、もともとはスタンダードSM-2ミサイルを主装備としていたイージス艦が、1980年代の想定脅威の射程では不十分となった為に長射程のものを求めた結果の産物だ。
スタンダードSM-6は飛行速度マッハ3.5、射程240㎞から460㎞とされ、この射程が全く異なるのは相手が海面すれすれをシースキミング飛行しているのか、高高度を飛行しているのかにより異なる為ですが、仮に対空用ではなく地上目標に誘導した場合は射程が500㎞とハープーン対艦ミサイルの倍以上という長射程を誇るミサイルです。
AIM-174Bの大量搭載運用とは、ポイントマグー海軍航空基地の第9海軍試験評価飛行隊VX-9が公式インスタグラムで公開した写真に、AIM-174ミサイルを4発とAIM-120-AIMRAAMミサイルを3発、AIM-9Xミサイルを2発搭載し飛行する様子を公開したもので、冷戦時代にF-14が行った空母を艦載機により守る任務を引き継ぐよう。■
アメリカ海軍はAIM-174B-SM-6ALCミサイルの実戦配備を発表しました。実戦配備となったのはカールビンソン空母打撃群に展開する第2空母航空団でVX-9第 9 航空試験評価飛行隊により、その艦上運用が研究されていたものです。空母打撃群の防空はイージス艦の時代を迎え、これにより2000年代初頭に空母航空団は大変革を遂げました。
F-14トムキャット戦闘機は搭載するAIM-54フェニックス空対空ミサイルの射程165㎞という長射程により、長らく空母任務群の防空を担っていましたが、イージス艦の量産と共にアメリカ海軍の水上戦闘艦のほとんどすべてがイージス艦となる時代にあって、スタンダードミサイルの射程でも十分対応できF-14は退役、艦載機は打撃力重視となる。
空母打撃群に名称が変容した背景にはF-14戦闘機の艦隊防空能力をイージス艦に置き換えることで空母艦載機はF/A-18E/F戦闘攻撃機が主体となり、これにより空母はその航空団の全てを航空打撃に充てられることとなった実情もありますが、2010年代以降、艦対艦ミサイルの射程延伸によりイージス艦能力の限界が指摘、艦載機が再評価されました。■
アメリカ海軍の将来空対空ミサイルとしてAIM-260-JATMプログラムが今年夏に配備が開始されたAIM-174B-SM-6ALCと共に挙げられていますが、この展望について。AIM-260-JATMはAIM-120AMRAAM空対空ミサイルの発展型となっており、艦対空ミサイルを空対空ミサイルとした、AIM-174B-SM-6ALC実用化前には最有力の候補でした。
AIM-120D3としてAIM-260-JATMプログラムのひな型となるミサイルも開発されていますが、大きな問題はその原型となるミサイルがAMRAAMだということです。AMRAAMはAIM-7スパロー空対空ミサイルを置き換えるもので、実際にはスタンダードSM-6もシーカー部分はAMRAAMを応用しているものですが、ミサイル本体は小型でした。
F-22や海軍と海兵隊のF-35Cに搭載する場合はステルス性を維持するために機内兵装庫に搭載できる小型のAMRAAMは有用なミサイルですが、ミサイル本体の大きさから射程は200kmを超えられず、対してSM-6は高高度から運用した場合の射程は400㎞に達し、ステルス性を考慮しないF/A-18E/Fからの艦上運用と適合したかたちです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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