■将来か今来る巨大災害に備えて
本日は東日本大震災慰霊の日です。衛生自衛隊という新し自衛隊の必要性を提示した特集は今回の第七回を当面の一区切りとしましょう。
東日本大震災。戦後日本を考えるうえで日本が初めて経験した国家機器であると共に先進国が戦後初めて迎えた“自国内で一時間の内に万単位で死亡し十時間で数万の人命が危機に曝され数日間の決断が国家の存亡を左右する”という事態でした。世界はキューバ危機やチェルノブイリ原発事故を経験しましたが、これ程では無かった。忘れてはなりません。
病院船。実は自衛隊には同様の装備が皆無という訳ではなく、例えば病院機としまして航空自衛隊はC-130H輸送機に搭載する機動衛生ユニットを運用していますし、海上自衛隊は輸送艦おおすみ型の車両甲板に野外衛生装備を搭載し、病院機能を艦上展開する試験を実施、また特務艇はしだて、は有事の際に病院船として運用されることとなっています。
自衛隊の規模から考えるならば、病院船の機能は充分有している、とはいえるのですが、要するに自衛隊は師団規模の戦闘を展開した場合でも、護衛艦隊が周辺国の艦隊と最大規模の水上戦闘を展開した場合でも、想定される負傷者を想定しているのであって、自衛隊の戦闘は、巨大地震で数百万人が被災者となる状況を想定した組織ではないのですね。
衛生自衛隊という概念は、国家機能が巨大災害により破綻する懸念を念頭に、国家破綻を回避するための選択肢、として提示したものです。陸上防衛や海上防衛と航空防衛、ここにミサイル防衛という新任務が付与されているなかで、更に巨大災害からの国家の防衛を担う、というならば、要するに自衛隊がもう一つ必要になるぞ、との認識でもあるのです。
戦車揚陸艦方式の病院船を。実際のところ自衛隊に病院船運用能力を付与するには専門の医療関係者予備役を確保し、そして陸上自衛隊の規模を上回る負傷者に対応するという認識が必要です。その上で、余り大型の病院船は稼働率や即応性という観点から難しく、手頃な大きさとして輸送艦みうら型を挙げました。既に除籍されており再建造という前提だ。
みうら型艦内は波浪に弱い点が難点に挙げられますが、患者治療は停泊、特に湾内等の津波や地震により破損した港湾付近に限定して運用するならばそれほど大きな問題とはならないでしょう。モジュールコンテナ方式で医療コンテナと入院ベットコンテナに発電区画などを挿入する方式が望ましい。コンテナに拘らず単なるモジュールでもよいのですが。
ゆら型の写真を使っていますが、みうら型はこの三倍程度の大きさ。この方式は航空自衛隊の機動衛生ユニットを輸送艦おおすみ型艦内に追加する方式で実績があります。機動衛生ユニットは航空自衛隊がC-130輸送機に搭載する機材ですが輸送艦へ搭載する試験を実施していたのですね。陸上自衛隊の野外衛生システムを搭載し車両甲板で手術室の増設を行う実験の事例もあります。車両部分が無駄な容積占有となりますが。
おおすみ型は大規模災害に際しては輸送支援任務があるため、この方式を提案しました。みうら型を念頭に当面は3隻、みうら型の満載排水量は4000tです。LST-1型を念頭にその収容力を計算しますと、参考までにアメリカ海軍が横須賀基地へ展開させている宿泊艦APL-40ニュエセスは2000名を収容します、LST-1型の准同型艦として設計されたもの。
APL-40ニュエセス、海上自衛官の方は勿論一般の方でも横須賀軍港めぐり遊覧船や横須賀基地を探訪された方は恐らく目にしているでしょう、非常に古い塗装も掠れている不思議な一隻、第二次世界大戦中の戦車揚陸艦のような船体の上に目一杯構造物が並んでいるものです。いや、実際にこの艦が新造されたのは1940年代で非常に古い艦なのですけれども。
ニュエセスの事例の参考、むろんニュエセスは機関部を撤去し寝台を設けているため、安易に比較はできないのですが目一杯収容しますとこの程度入るのですね。ましゅう型補給艦、海上自衛隊では病院船機能の一部を補給艦に付与しており、満載排水量25000t艦内に手術室とX線撮影室に歯科治療室と集中治療室8床と一般入院病床38床を確保しています。
ましゅう型は補給艦であり病院船ではないのですが、医療専従艦に求められる医療能力から、この能力を念頭に病院船を考えますと一隻あたり手術室五室とICJ集中治療室50床、一般病床250床、という規模が一つの妥当な線となるのでしょうか。巨大災害を前に300床は不十分ともみえますが、3隻を建造するならば3隻併せて12000t、という規模になる。
みうら型規模の病院船を建造するとして仮定し、3隻を並べるとした場合は、入院受け入れ1200名という規模、40000tのマーシー級と比較するならば大幅に劣りますが、それなりの水準となります。みうら型を船体設計の一例としましたが、全幅14mの輸送艦は仮に3隻を洋上にメザシ係留するならば前甲板の航空機発着区画は並べて42mとなり、余裕が。
CH-47輸送ヘリコプターや自衛隊が導入するV-22可動翼輸送機の発着にも対応します。本年は東日本大震災から9年、しかし自衛隊は予算不足から東日本大震災当時と比較してもヘリコプターや輸送機は減少しており、余裕はありません。その上で南海トラフ地震など、次の災害、脅威は無視できない中、改めて災害時の施策を広い視野で考えるべきでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
本日は東日本大震災慰霊の日です。衛生自衛隊という新し自衛隊の必要性を提示した特集は今回の第七回を当面の一区切りとしましょう。
東日本大震災。戦後日本を考えるうえで日本が初めて経験した国家機器であると共に先進国が戦後初めて迎えた“自国内で一時間の内に万単位で死亡し十時間で数万の人命が危機に曝され数日間の決断が国家の存亡を左右する”という事態でした。世界はキューバ危機やチェルノブイリ原発事故を経験しましたが、これ程では無かった。忘れてはなりません。
病院船。実は自衛隊には同様の装備が皆無という訳ではなく、例えば病院機としまして航空自衛隊はC-130H輸送機に搭載する機動衛生ユニットを運用していますし、海上自衛隊は輸送艦おおすみ型の車両甲板に野外衛生装備を搭載し、病院機能を艦上展開する試験を実施、また特務艇はしだて、は有事の際に病院船として運用されることとなっています。
自衛隊の規模から考えるならば、病院船の機能は充分有している、とはいえるのですが、要するに自衛隊は師団規模の戦闘を展開した場合でも、護衛艦隊が周辺国の艦隊と最大規模の水上戦闘を展開した場合でも、想定される負傷者を想定しているのであって、自衛隊の戦闘は、巨大地震で数百万人が被災者となる状況を想定した組織ではないのですね。
衛生自衛隊という概念は、国家機能が巨大災害により破綻する懸念を念頭に、国家破綻を回避するための選択肢、として提示したものです。陸上防衛や海上防衛と航空防衛、ここにミサイル防衛という新任務が付与されているなかで、更に巨大災害からの国家の防衛を担う、というならば、要するに自衛隊がもう一つ必要になるぞ、との認識でもあるのです。
戦車揚陸艦方式の病院船を。実際のところ自衛隊に病院船運用能力を付与するには専門の医療関係者予備役を確保し、そして陸上自衛隊の規模を上回る負傷者に対応するという認識が必要です。その上で、余り大型の病院船は稼働率や即応性という観点から難しく、手頃な大きさとして輸送艦みうら型を挙げました。既に除籍されており再建造という前提だ。
みうら型艦内は波浪に弱い点が難点に挙げられますが、患者治療は停泊、特に湾内等の津波や地震により破損した港湾付近に限定して運用するならばそれほど大きな問題とはならないでしょう。モジュールコンテナ方式で医療コンテナと入院ベットコンテナに発電区画などを挿入する方式が望ましい。コンテナに拘らず単なるモジュールでもよいのですが。
ゆら型の写真を使っていますが、みうら型はこの三倍程度の大きさ。この方式は航空自衛隊の機動衛生ユニットを輸送艦おおすみ型艦内に追加する方式で実績があります。機動衛生ユニットは航空自衛隊がC-130輸送機に搭載する機材ですが輸送艦へ搭載する試験を実施していたのですね。陸上自衛隊の野外衛生システムを搭載し車両甲板で手術室の増設を行う実験の事例もあります。車両部分が無駄な容積占有となりますが。
おおすみ型は大規模災害に際しては輸送支援任務があるため、この方式を提案しました。みうら型を念頭に当面は3隻、みうら型の満載排水量は4000tです。LST-1型を念頭にその収容力を計算しますと、参考までにアメリカ海軍が横須賀基地へ展開させている宿泊艦APL-40ニュエセスは2000名を収容します、LST-1型の准同型艦として設計されたもの。
APL-40ニュエセス、海上自衛官の方は勿論一般の方でも横須賀軍港めぐり遊覧船や横須賀基地を探訪された方は恐らく目にしているでしょう、非常に古い塗装も掠れている不思議な一隻、第二次世界大戦中の戦車揚陸艦のような船体の上に目一杯構造物が並んでいるものです。いや、実際にこの艦が新造されたのは1940年代で非常に古い艦なのですけれども。
ニュエセスの事例の参考、むろんニュエセスは機関部を撤去し寝台を設けているため、安易に比較はできないのですが目一杯収容しますとこの程度入るのですね。ましゅう型補給艦、海上自衛隊では病院船機能の一部を補給艦に付与しており、満載排水量25000t艦内に手術室とX線撮影室に歯科治療室と集中治療室8床と一般入院病床38床を確保しています。
ましゅう型は補給艦であり病院船ではないのですが、医療専従艦に求められる医療能力から、この能力を念頭に病院船を考えますと一隻あたり手術室五室とICJ集中治療室50床、一般病床250床、という規模が一つの妥当な線となるのでしょうか。巨大災害を前に300床は不十分ともみえますが、3隻を建造するならば3隻併せて12000t、という規模になる。
みうら型規模の病院船を建造するとして仮定し、3隻を並べるとした場合は、入院受け入れ1200名という規模、40000tのマーシー級と比較するならば大幅に劣りますが、それなりの水準となります。みうら型を船体設計の一例としましたが、全幅14mの輸送艦は仮に3隻を洋上にメザシ係留するならば前甲板の航空機発着区画は並べて42mとなり、余裕が。
CH-47輸送ヘリコプターや自衛隊が導入するV-22可動翼輸送機の発着にも対応します。本年は東日本大震災から9年、しかし自衛隊は予算不足から東日本大震災当時と比較してもヘリコプターや輸送機は減少しており、余裕はありません。その上で南海トラフ地震など、次の災害、脅威は無視できない中、改めて災害時の施策を広い視野で考えるべきでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
民間のフェリーをレンタルして、車格納庫にコンテナを積む事で、臨時の病院船を作る事が出来ますね。
南海トラフ巨大地震・巨大津波も来る。
東日本大震災から9年
自衛隊はたったの1隻も輸送艦を増強していない。
あれだけ輸送能力が無くて苦労したのに。
※輸送船としてリースではくおう・なっちゃん
の二隻を借りてはいるが・・・
お寒い限り何を考えているのか、
危機難無し!
陸自の場合
即応機動連隊は
8輪装甲車の最低400両くらいは
全て水陸両用車にして全国に分散配備で海兵隊化すべき。
海自は
強襲揚陸艦3隻4~5万トン型
大型輸送艦6隻2万トン型
中型輸送艦8隻 数千,000トン
小型輸送艦30隻 200トンから400トン
その他、
強襲揚陸艦と大型輸送艦に積む上陸用舟艇20隻以上
フェリー型輸送船6隻 15000トンから2万トン
機動揚陸プラットフォーム MLP 3隻
病院船3隻
空自は
C-2輸送機50機
C-130J 20機
空中給油機ジェット型15機
空中給油機プロペラ型 8機
くらいは配備すべきです。