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【京都幕間旅情】京都御所-京都御苑の梅林,荘厳公家邸宅跡地に梅花開く新時代の日常風景

2020-03-10 20:01:58 | 写真
■梅花咲く京都御苑の春
 世間一般は非常時緊急時と伝えられる昨今ではありますけれど京都には不思議な日常風景が温かく広がっています。

 御所、京都を京都としました中心の地です。ここには内裏としまして天皇は1331年から1869年、東京遷都まで行政中枢であり立法中枢を置き、まさに千年の都と称される京都の中心地であったのですが、その周囲を京都御苑としまして広く市民憩の場となっています。

 世の中は昨今大変である事は確かなのですが、しかし梅の花は咲きまして、まもなく桜の木々も開花の季節を迎えます。そして全国同時の小中高等学校臨時休校措置という非常時ではあるのですが、その分は家族連れの朗らかな和む不思議な風景が醸成されていました。

 京都御苑は広大だ。南北1300mと東西700mといい、寺町通に烏丸通と丸太町通と今出川通と四辺から成り立つものでして、相国寺や護王神社に廬山寺に梨木神社と清荒神、御所の周りには一つの歴史街道が構成されていまして、散策は日常に清涼感を与えてくれます。

 梅林。もともと雅な花見とは観桜会のような桜花を愛でるものではなく歌会等と交えつつ移ろいを愉しむものであり、梅花が花見の基本であったという。こうした伝統の継承でしょうか、京都御所囲む京都御苑には梅林が広がり、毎日毎晩広く市民に開放されています。

 土御門東洞院殿、もともと、ここ京都御所は里内裏といいまして、内裏が火災などで焼失した際に貴族邸宅を御所とする仮設的なものでした。土御門東洞院殿は以降も残されているのですが、京都御苑は明治東京遷都の頃には200もの貴族邸宅が並んでいた、という。

 平安遷都が執り行われました延暦13年こと西暦794年には、御所は、現在の立地よりも2kmほど西の千本通り沿い、いまの西陣に在りましたが、1331年に現在位置へと至った訳で、こう考えますと大徳寺や金閣寺と北野天満宮の位置づけがなにか変わって見えますね。

 梅林は、京都御苑の広い敷地の木々とともに或るのですが、その梅の木々の狭間を縫うように散策しますと気付かされるのは数多石碑、ここには何処其処は誰かれの屋敷遺構、とありまして、東京遷都の頃には梅林は元々一つ一つ公家屋敷であった事に気付かされます。

 明治維新後と昭和、しかしこの御所は大きく変容しました。明治天皇が東京遷都後初の帰京に際し、実は東京遷都は明治帝の東京行幸という位置づけであったのですが、僅か数年で荒廃が進むのに驚き、御所旧観を維持すべし、との勅令を宮内省に対して示したほど。

 華族制度が明治維新と共に公家に代わり定められると華族東京居住が勅令により定められ、実はこの時に200もの公家屋敷は一挙に廃墟化し、公家屋敷の調度品で持ち運べぬものは売却されまして、なにしろ幕末の騒乱で京都は廃墟、建材が転用され、荒廃は進みました。

 将来わが朝の大礼は京都にて挙行せん。明治帝は1883年に京都を即位式大嘗会の地とする勅令を発していまして、ここで京都御所と京都御苑の再整備が進んだのですね。しかし、この明治の時点で今のように梅林が広がっていたのではないようで、まだ邸宅が多かった。

 太平洋戦争。京都御所の大きな転換点となったのは昭和初期の狂奔でした。京都は鉄道施設の一部が空襲を受け、被害は限られていたのですが、防空法に基づく建物疎開が京都御所において行われ、要するに火除地を造成する為に京都御苑の建物が破壊されたのですね。

 京都御所と京都御苑、こうした歴史はありますが、戦後も心無い花火遊びが御苑に命中し火災が発生するなどの悲劇はありましたが、その後は美しい景観が宮内庁と環境庁により保たれ、京都市内では最大規模の緑の憩いを供していまして穏やかな日常が続いています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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