■週報:世界の防衛,最新12論点
各国陸軍関連の特に装甲車両の話題を中心に情報を纏めました、日本も予算不足と経済悪化を口実に機械化を遅らせますと人命と国民の不動産で支払う事になるという危機感が必要です。
ギリシャ軍のケンタウルス装甲戦闘車後継の次期装甲戦闘車開発計画が開始されました。ケンタウルス装甲戦闘車はM-113シリーズの改良型であるAIFV軽装甲戦闘車技術を元にギリシャが独自開発した装備ですが、30mm機関砲を搭載するものの戦闘重量は19.8tでありエンジン出力も420hp、ギリシャ軍戦車部隊の近代化に随伴できる水準ではありません。
ピロクテーテース装甲車として現在有力視されているのは、フランスのネクスター社が開発したVBCI装輪装甲戦闘車のギリシャ軍仕様で、VBCIの一人用25mm機関砲塔に代えネクスター社製T-40/40mm機関砲塔を搭載するもので、更にMMP対戦車ミサイルも搭載しており、装輪装甲車ながら600hpのエンジンを搭載し戦闘重量は32tとなっています。
■ボルスク装甲戦闘車
日本も頑張らないとなと思わせるもの。K-9自走砲の車体部分はポーランドの装甲戦闘車車体転用の他にインドでも軽戦車に転用する動きが。
ポーランドが開発するボルスク装甲戦闘車はZSSW-30mm機関砲塔搭載型の完成を発表しました。ボルスク装甲戦闘車はポーランド軍が装備する旧式化したBMP-1/BWP-1装甲戦闘車を置換えるべく開発しているもので、韓国が開発したK-9自走榴弾砲の車体部分設計をライセンス生産により導入、ここにポーランドが設計した装甲を搭載しているもの。
ボルスク装甲戦闘車の砲塔はMk44ブッシュマスター機関砲を搭載、これは30mm口径となっていますが40mm弾薬へ換装を前提として設計されたMk44-s型を採用しイスラエル製スパイク対戦車ミサイルを砲塔に2発搭載するほか、火器管制装置は目標自動追尾能力を備える先進的なもので、またさらに車体そのものには水陸両用能力が付与されています。
ボルスク装甲戦闘車は韓国のK-9自走榴弾砲車体設計を応用しているのですが、履帯についてはカナダのソウシーディフェンス社が開発したゴム製履帯を採用し音響ステルス性を向上させているほか、車体後部にはウォータージェットを採用、BMP-1と同じく水上航行が可能です。防御力はモジュラー装甲方式を採用、乗員は3名で兵員8名を乗車させます。
■ブラッドレー改良型
日本は89式装甲戦闘車の車体を置換えようとしていますが基本は車体を取り換えるのではなく延命改修ですよね。
アメリカ陸軍はM-2ブラッドレイ装甲戦闘車最新改良型のM-2A4装甲戦闘車装備を開始しました、これは第3歩兵師団第2機甲旅団戦闘団の3/67大隊に配備され、受領したのは21両、4月22日、フォートシュチュワートにて納入式典が行われました。M-2A4装甲戦闘車は既存の車両から能力向上改修を実施したもので、後継車両装備までの繋ぎとなる。
M-2A4装甲戦闘車は、M-2ブラッドレイがこれまで30年間運用されており、2002年に現行型のM-2A3へ改修を完了しています、25mm機関砲を搭載する先進的設計ですが1980年代の完成でもありふるい。M-2A4への能力向上は2029年まで700両以上が改修配備される計画です。M-2A3の M-2A4への近代化改修費用は一両当たり435万ドルとのこと。
■CROWSⅡを装甲車に
ジャベリンミサイルが持ち上げられていますが発射に際してどのように敵の砲弾から生き残るかが肝要です、射程は長くないですからね。
アメリカ陸軍のストライカー装輪装甲車用CROWS II遠隔操作銃搭はジャベリン対戦車ミサイル発射訓練を実施しました。訓練を行ったのは4月28日、第4歩兵師団の第2ストライカー旅団戦闘団のストライカー装輪装甲車でコロラド州フォートカーソン訓練場にて訓練を実施しました。FGM-148ジャベリン対戦車ミサイルは最新のロシア戦車に有効だ。
CROWS II遠隔操作銃搭はコングスベルク社製12.7mm重機関銃用の装備ですが、従来のストライカー装甲車は戦車と遭遇した際に歩兵がミサイルによる下車戦闘を実施しています、しかし遠隔操作銃搭の優れた全天候戦闘能力を活かし、ジャベリンミサイルを一体化させたもの。再装填は人力にて行いますが2km先の戦車に対して交戦が可能となります。
■M-SHORAD防空
ストライカー装甲車は装甲プラットフォームとして多用されてゆくもよう。
アメリカ陸軍は最新のストライカーM-SHORAD短距離防空システムを実戦運用開始しました。しかし、この新装備のお披露目はロシア軍ウクライナ侵攻という緊張下で行われたエストニアとの合同軍事演習、セイバーストライク22の演習場にて披露されたという点が特筆されます。演習はドイツやポーランド、チェコやラトビア、リトアニアも参加した。
ストライカーM-SHORAD短距離防空システムはストライカー装輪装甲車に30mm機関砲とスティンガー四連装発射装置及びヘルファイアミサイル2発を搭載しています、ヘルファイアは対戦車ミサイルで万一の戦車との遭遇に備えたものですが、将来はレーザー砲に換装するとのこと。第4防空砲兵連隊第5大隊の装備で、2021年から試験運用されている。
■中古LAV-25をチリ取得
LAV-25は日本でももう少し評価されるべきだと考える装備なのですが。
チリ海軍はニュージーランド陸軍より中古のNZLAV軽装甲車22両を取得します。チリ海軍では海兵隊用の小型装甲車を必要としており、ここでニュージーランド軍が余剰となっているNZLAV軽装甲車導入を交渉する事となり、22両を1986万ドルにて取得できる事となりました。車体は2003年までに調達されたもので、やや老朽化しているものです。
NZLAV軽装甲車とはアメリカ海兵隊がLAV-25軽装甲車として導入したスイスのモワク社製ピラーニャ装輪装甲車であり、乗員は3名で6名の兵員が乗車可能であり、また八輪型の車体には25mm機関砲塔が搭載されている。ニュージーランドからの引き渡しは2022年から2023年にかけ行われる。なお、NZLAVはニュージーランドで引続き運用予定です。
■リトアニアのボクサー
ボクサーは上掲のLAV-25と比べると車体規模が怪物みたいなものになっている。
リトアニア軍は周辺情勢緊迫化を受けボクサー装輪装甲車の増強を検討開始しました。リトアニア軍ではボクサー装輪装甲車をビルカス歩兵戦闘車として採用しており、30mm口径のMk-44S機関砲塔を搭載、91両の調達計画を進めている。ビルカス歩兵戦闘車は対戦車ミサイル搭載型もあり、戦車を装備していないリトアニア軍には重要な重戦力です。
ビルカス歩兵戦闘車は120両以上に追加する構想であり、陸軍常備兵力が1万0600名のリトアニアには大きな戦力です。しかし、リトアニア軍にはアメリカから供与された中古のM-113装甲車が270両あり、これらもビルカス歩兵戦闘車で置換える構図です。戦車を保有しない陸軍ですが、NATO各国がNATO即応戦闘群として戦車を展開させています。
■イスラエルCH-53K増強
重輸送ヘリコプターは日本の場合で川崎がライセンス生産しておりありがたみが分り難いものですが。
イスラエル国防省はCH-53K重輸送ヘリコプター4機を3億7200万ドルで導入します、これは2022年2月16日にイスラエル国防省が公式表明したもので、イスラエルが既に調達を表明しているCH-53K重輸送ヘリコプター18機の34億ドルに上る調達計画を更に追加したかたち、これらの機体は2025年11月にもシコルスキー社により製造される見込み。
CH-53K重輸送ヘリコプターはイスラエル軍が現在運用しているCH-53D重輸送ヘリコプターの後継に充てられ、これらの機体は運用開始から既に50年を経ており老朽部分の補修を実施していたものの限界となったためのもの。CH-53KはボーイングのCH-47と競合したが、エンジン出力と吊下げ輸送能力の大きさからCH-47に打ち勝って採用されています。
■ヨルダンGMLRS取得
自衛隊もMLRSの削減は棚上げしてGMLRSによる全般支援火力体系を再構築すべきと思う。
ヨルダン政府が要請するGPS誘導型MLRSロケット弾輸出をアメリカ国務省が承認しました。GPS誘導型MLRSロケット弾はGMLRSといい誘導ロケット弾である為に事実上のミサイルとなっています。ヨルダン政府は114発のM-31GMLRS弾薬を114発導入するよう要請しており、この有償軍事供与の規模は7000万ドルに上るとされています。
ヨルダン軍は2009年にHIMARS高機動ロケット砲兵システム12両を導入しており、ヨルダン軍第29王立砲兵連隊へ配備、この際に72発のGMLRS弾薬が有償供与されており、ヨルダン軍は2016年にはイスラム武装勢力ISILとの戦闘にてGMLRSによる正確な砲兵射撃を加えています。射程は80kmですが改良型のER-GMLRSは135kmに達しています。
■セネガル新榴弾砲取得
120mm迫撃砲を製造するネクスターは105mm榴弾砲も製造を継続している。
セネガル陸軍はフランスからネクスターLG-1榴弾砲8門を導入します、セネガル軍はフランスより哨戒艇3隻と哨戒艇用遠隔操作銃搭を導入した際に追加契約を持ちかけられており、哨戒艇と共に訓練支援を受けられる事から榴弾砲を導入したかたち。LG-1榴弾砲は105mm口径で重量は1.65tとこの種の装備では極めて軽量な砲であることで知られている。
LG-1榴弾砲は射程17km、軽量である分砲身寿命は同種の砲と比較し短いものとなっていますが、軽量である為に各国の空挺部隊や山岳部隊、ヘリコプター部隊等で重用されているもの。また11kmまでの射程では低伸弾道により対砲兵戦では対砲レーダーの標定を避ける運用が可能で、2kmまでの距離では対戦車砲として直接照準射撃も可能な榴弾砲です。
■アメリカのXM-5小銃
全く新しい規格の銃弾は拳銃で云えば40SW弾のように開発されても普及できるのかが疑問です。
アメリカの6.8mm弾NGSW次期分隊火器計画にシグザウエルのXM-5小銃とXM-250自動小銃が契約を獲得したとのこと。これは5.56mm弾と7.62mm弾の中間威力を有する6.8mm弾薬を将来弾薬とし、XM-5小銃とXM-250自動小銃は陸軍や海兵隊が運用するM-4カービンと部分的にM-249分隊機銃や海兵隊のM-27ISR分隊支援火器の後継を担う。
XM-5小銃とXM-250自動小銃とともにXM-157射撃統制照準器も評価されます、これは所謂ライフルスコープ型の照準装置で等倍から八倍までの可変照準とともに測距装置や電子投影型見越し角照準が可能となり、歩兵の交戦距離や小型無人機など移動目標への対処能力を飛躍的に向上させるものです。評価試験は27カ月間にわたり実施される計画です。
■マンティコア中型戦術車
要するに日本でいえば高機動車に当る車両を今から導入ということですね。
オランダ国防省は新しく開発されたマンティコア中型戦術車輛を発表しました、マンティコアは防弾装甲を有する中型戦術車輛で、2019年にオランダでの導入計画が発表されたもの、MRAP耐爆車両や最前線への物資を含む装甲輸送車両として機能する車両で、原型としてイタリアのイヴェコ社が製造しているイヴェコMTV耐爆車輛が採用されています。
マンティコア中型戦術車輛は四輪駆動、車体重量は13tでNEF67EUⅢディーゼルエンジンを搭載し90km/hの速度を発揮、後部に1.2tの貨物を含む2tの装備品や人員を輸送可能で、オランダではM-113装甲車のオランダ仕様であるYPR-765装甲車やM-577指揮通信車、また連絡用のメルセデスベンツGウルフ連絡車等の後継として期待されています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
各国陸軍関連の特に装甲車両の話題を中心に情報を纏めました、日本も予算不足と経済悪化を口実に機械化を遅らせますと人命と国民の不動産で支払う事になるという危機感が必要です。
ギリシャ軍のケンタウルス装甲戦闘車後継の次期装甲戦闘車開発計画が開始されました。ケンタウルス装甲戦闘車はM-113シリーズの改良型であるAIFV軽装甲戦闘車技術を元にギリシャが独自開発した装備ですが、30mm機関砲を搭載するものの戦闘重量は19.8tでありエンジン出力も420hp、ギリシャ軍戦車部隊の近代化に随伴できる水準ではありません。
ピロクテーテース装甲車として現在有力視されているのは、フランスのネクスター社が開発したVBCI装輪装甲戦闘車のギリシャ軍仕様で、VBCIの一人用25mm機関砲塔に代えネクスター社製T-40/40mm機関砲塔を搭載するもので、更にMMP対戦車ミサイルも搭載しており、装輪装甲車ながら600hpのエンジンを搭載し戦闘重量は32tとなっています。
■ボルスク装甲戦闘車
日本も頑張らないとなと思わせるもの。K-9自走砲の車体部分はポーランドの装甲戦闘車車体転用の他にインドでも軽戦車に転用する動きが。
ポーランドが開発するボルスク装甲戦闘車はZSSW-30mm機関砲塔搭載型の完成を発表しました。ボルスク装甲戦闘車はポーランド軍が装備する旧式化したBMP-1/BWP-1装甲戦闘車を置換えるべく開発しているもので、韓国が開発したK-9自走榴弾砲の車体部分設計をライセンス生産により導入、ここにポーランドが設計した装甲を搭載しているもの。
ボルスク装甲戦闘車の砲塔はMk44ブッシュマスター機関砲を搭載、これは30mm口径となっていますが40mm弾薬へ換装を前提として設計されたMk44-s型を採用しイスラエル製スパイク対戦車ミサイルを砲塔に2発搭載するほか、火器管制装置は目標自動追尾能力を備える先進的なもので、またさらに車体そのものには水陸両用能力が付与されています。
ボルスク装甲戦闘車は韓国のK-9自走榴弾砲車体設計を応用しているのですが、履帯についてはカナダのソウシーディフェンス社が開発したゴム製履帯を採用し音響ステルス性を向上させているほか、車体後部にはウォータージェットを採用、BMP-1と同じく水上航行が可能です。防御力はモジュラー装甲方式を採用、乗員は3名で兵員8名を乗車させます。
■ブラッドレー改良型
日本は89式装甲戦闘車の車体を置換えようとしていますが基本は車体を取り換えるのではなく延命改修ですよね。
アメリカ陸軍はM-2ブラッドレイ装甲戦闘車最新改良型のM-2A4装甲戦闘車装備を開始しました、これは第3歩兵師団第2機甲旅団戦闘団の3/67大隊に配備され、受領したのは21両、4月22日、フォートシュチュワートにて納入式典が行われました。M-2A4装甲戦闘車は既存の車両から能力向上改修を実施したもので、後継車両装備までの繋ぎとなる。
M-2A4装甲戦闘車は、M-2ブラッドレイがこれまで30年間運用されており、2002年に現行型のM-2A3へ改修を完了しています、25mm機関砲を搭載する先進的設計ですが1980年代の完成でもありふるい。M-2A4への能力向上は2029年まで700両以上が改修配備される計画です。M-2A3の M-2A4への近代化改修費用は一両当たり435万ドルとのこと。
■CROWSⅡを装甲車に
ジャベリンミサイルが持ち上げられていますが発射に際してどのように敵の砲弾から生き残るかが肝要です、射程は長くないですからね。
アメリカ陸軍のストライカー装輪装甲車用CROWS II遠隔操作銃搭はジャベリン対戦車ミサイル発射訓練を実施しました。訓練を行ったのは4月28日、第4歩兵師団の第2ストライカー旅団戦闘団のストライカー装輪装甲車でコロラド州フォートカーソン訓練場にて訓練を実施しました。FGM-148ジャベリン対戦車ミサイルは最新のロシア戦車に有効だ。
CROWS II遠隔操作銃搭はコングスベルク社製12.7mm重機関銃用の装備ですが、従来のストライカー装甲車は戦車と遭遇した際に歩兵がミサイルによる下車戦闘を実施しています、しかし遠隔操作銃搭の優れた全天候戦闘能力を活かし、ジャベリンミサイルを一体化させたもの。再装填は人力にて行いますが2km先の戦車に対して交戦が可能となります。
■M-SHORAD防空
ストライカー装甲車は装甲プラットフォームとして多用されてゆくもよう。
アメリカ陸軍は最新のストライカーM-SHORAD短距離防空システムを実戦運用開始しました。しかし、この新装備のお披露目はロシア軍ウクライナ侵攻という緊張下で行われたエストニアとの合同軍事演習、セイバーストライク22の演習場にて披露されたという点が特筆されます。演習はドイツやポーランド、チェコやラトビア、リトアニアも参加した。
ストライカーM-SHORAD短距離防空システムはストライカー装輪装甲車に30mm機関砲とスティンガー四連装発射装置及びヘルファイアミサイル2発を搭載しています、ヘルファイアは対戦車ミサイルで万一の戦車との遭遇に備えたものですが、将来はレーザー砲に換装するとのこと。第4防空砲兵連隊第5大隊の装備で、2021年から試験運用されている。
■中古LAV-25をチリ取得
LAV-25は日本でももう少し評価されるべきだと考える装備なのですが。
チリ海軍はニュージーランド陸軍より中古のNZLAV軽装甲車22両を取得します。チリ海軍では海兵隊用の小型装甲車を必要としており、ここでニュージーランド軍が余剰となっているNZLAV軽装甲車導入を交渉する事となり、22両を1986万ドルにて取得できる事となりました。車体は2003年までに調達されたもので、やや老朽化しているものです。
NZLAV軽装甲車とはアメリカ海兵隊がLAV-25軽装甲車として導入したスイスのモワク社製ピラーニャ装輪装甲車であり、乗員は3名で6名の兵員が乗車可能であり、また八輪型の車体には25mm機関砲塔が搭載されている。ニュージーランドからの引き渡しは2022年から2023年にかけ行われる。なお、NZLAVはニュージーランドで引続き運用予定です。
■リトアニアのボクサー
ボクサーは上掲のLAV-25と比べると車体規模が怪物みたいなものになっている。
リトアニア軍は周辺情勢緊迫化を受けボクサー装輪装甲車の増強を検討開始しました。リトアニア軍ではボクサー装輪装甲車をビルカス歩兵戦闘車として採用しており、30mm口径のMk-44S機関砲塔を搭載、91両の調達計画を進めている。ビルカス歩兵戦闘車は対戦車ミサイル搭載型もあり、戦車を装備していないリトアニア軍には重要な重戦力です。
ビルカス歩兵戦闘車は120両以上に追加する構想であり、陸軍常備兵力が1万0600名のリトアニアには大きな戦力です。しかし、リトアニア軍にはアメリカから供与された中古のM-113装甲車が270両あり、これらもビルカス歩兵戦闘車で置換える構図です。戦車を保有しない陸軍ですが、NATO各国がNATO即応戦闘群として戦車を展開させています。
■イスラエルCH-53K増強
重輸送ヘリコプターは日本の場合で川崎がライセンス生産しておりありがたみが分り難いものですが。
イスラエル国防省はCH-53K重輸送ヘリコプター4機を3億7200万ドルで導入します、これは2022年2月16日にイスラエル国防省が公式表明したもので、イスラエルが既に調達を表明しているCH-53K重輸送ヘリコプター18機の34億ドルに上る調達計画を更に追加したかたち、これらの機体は2025年11月にもシコルスキー社により製造される見込み。
CH-53K重輸送ヘリコプターはイスラエル軍が現在運用しているCH-53D重輸送ヘリコプターの後継に充てられ、これらの機体は運用開始から既に50年を経ており老朽部分の補修を実施していたものの限界となったためのもの。CH-53KはボーイングのCH-47と競合したが、エンジン出力と吊下げ輸送能力の大きさからCH-47に打ち勝って採用されています。
■ヨルダンGMLRS取得
自衛隊もMLRSの削減は棚上げしてGMLRSによる全般支援火力体系を再構築すべきと思う。
ヨルダン政府が要請するGPS誘導型MLRSロケット弾輸出をアメリカ国務省が承認しました。GPS誘導型MLRSロケット弾はGMLRSといい誘導ロケット弾である為に事実上のミサイルとなっています。ヨルダン政府は114発のM-31GMLRS弾薬を114発導入するよう要請しており、この有償軍事供与の規模は7000万ドルに上るとされています。
ヨルダン軍は2009年にHIMARS高機動ロケット砲兵システム12両を導入しており、ヨルダン軍第29王立砲兵連隊へ配備、この際に72発のGMLRS弾薬が有償供与されており、ヨルダン軍は2016年にはイスラム武装勢力ISILとの戦闘にてGMLRSによる正確な砲兵射撃を加えています。射程は80kmですが改良型のER-GMLRSは135kmに達しています。
■セネガル新榴弾砲取得
120mm迫撃砲を製造するネクスターは105mm榴弾砲も製造を継続している。
セネガル陸軍はフランスからネクスターLG-1榴弾砲8門を導入します、セネガル軍はフランスより哨戒艇3隻と哨戒艇用遠隔操作銃搭を導入した際に追加契約を持ちかけられており、哨戒艇と共に訓練支援を受けられる事から榴弾砲を導入したかたち。LG-1榴弾砲は105mm口径で重量は1.65tとこの種の装備では極めて軽量な砲であることで知られている。
LG-1榴弾砲は射程17km、軽量である分砲身寿命は同種の砲と比較し短いものとなっていますが、軽量である為に各国の空挺部隊や山岳部隊、ヘリコプター部隊等で重用されているもの。また11kmまでの射程では低伸弾道により対砲兵戦では対砲レーダーの標定を避ける運用が可能で、2kmまでの距離では対戦車砲として直接照準射撃も可能な榴弾砲です。
■アメリカのXM-5小銃
全く新しい規格の銃弾は拳銃で云えば40SW弾のように開発されても普及できるのかが疑問です。
アメリカの6.8mm弾NGSW次期分隊火器計画にシグザウエルのXM-5小銃とXM-250自動小銃が契約を獲得したとのこと。これは5.56mm弾と7.62mm弾の中間威力を有する6.8mm弾薬を将来弾薬とし、XM-5小銃とXM-250自動小銃は陸軍や海兵隊が運用するM-4カービンと部分的にM-249分隊機銃や海兵隊のM-27ISR分隊支援火器の後継を担う。
XM-5小銃とXM-250自動小銃とともにXM-157射撃統制照準器も評価されます、これは所謂ライフルスコープ型の照準装置で等倍から八倍までの可変照準とともに測距装置や電子投影型見越し角照準が可能となり、歩兵の交戦距離や小型無人機など移動目標への対処能力を飛躍的に向上させるものです。評価試験は27カ月間にわたり実施される計画です。
■マンティコア中型戦術車
要するに日本でいえば高機動車に当る車両を今から導入ということですね。
オランダ国防省は新しく開発されたマンティコア中型戦術車輛を発表しました、マンティコアは防弾装甲を有する中型戦術車輛で、2019年にオランダでの導入計画が発表されたもの、MRAP耐爆車両や最前線への物資を含む装甲輸送車両として機能する車両で、原型としてイタリアのイヴェコ社が製造しているイヴェコMTV耐爆車輛が採用されています。
マンティコア中型戦術車輛は四輪駆動、車体重量は13tでNEF67EUⅢディーゼルエンジンを搭載し90km/hの速度を発揮、後部に1.2tの貨物を含む2tの装備品や人員を輸送可能で、オランダではM-113装甲車のオランダ仕様であるYPR-765装甲車やM-577指揮通信車、また連絡用のメルセデスベンツGウルフ連絡車等の後継として期待されています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)