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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

ウクライナ情勢-ロシア国防省アルミヤ24国際兵器展大幅縮小で実施,未知数の戦後課題と空白地域化懸念

2024-08-24 07:01:45 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ情勢
 北方から日本に伸びる脅威が減退することは日本として喜ばしい事ではあるのですが。

 ロシア国防省はアルミヤ2024兵器展を大幅に変更し実施しました。イギリス国防省ウクライナ戦況報告8月15日付版によれば、例年このアルミヤはロシア製兵器の海外販売に重点を置いたもので、故にロシアウクライナ戦争開戦後はロシア軍への兵器供給が優先されたために販売できる数が無く、従来は大幅に規模を縮小していた。

 アルミヤ2024は今回、海外企業のロシア誘致という新しい目標が掲げられ、ベラルーシ、イラン、北朝鮮の軍需産業をロシア国内に誘致し、ロシア国内での兵器生産能力を高めることが大きな目標となっていたもよう。なお、開戦前には各種兵器の行動展示が行われていましたが、こちらは今年も中止となっていたとのこと。

 ロシアにとり、この行事が重要な国威発揚の場であることはかわりないようで、開会式ではプーチン大統領とベローゾフ国防相が出席し、式辞をのべたとのこと。なお、国威発揚行事であってもウクライナでの莫大な損耗による兵器不足はかわらず、過去のアルミヤで契約されたロシア製兵器の引き渡し遅延も数十億ドル規模で多発しているもよう。
■防衛情報-ウクライナ情勢
 こういう話は停戦後に考えろといわれそうですが仮に空白地帯が生じて新しい勢力拡大の基点となってしまっても大変です。

 ロシア軍はウクライナ侵攻により膨大な重装備の喪失が続いています、特にソ連時代に大量生産されたT-72戦車等を近代化改修することでT-90やT-72B3など戦車製造を続けているロシアにとり、T-14戦車などゼロからの新造戦車を製造する能力が決定的に不足していて、ウクライナ侵攻は今後、軽歩兵への依存度がさらに高まると考えられます。

 問題は将来の停戦後です。停戦が有るのかと問われれば現時点では見通せません、しかし、現在はオートバイや市販車まで投入しており一日当たりの死傷者が千人を超えている状況、死者ではなく死傷者ではあるものの一年当たり36万もの死傷者を出し続けて十年二十年と戦争を継続できるようにも思えません、が、停戦後戦力再建は非常に難しくなる。

 ウクライナとしては短期間でロシア軍が戦力を再建できないよう徹底的に戦う必要があるのでしょうが、ソ連の遺産である予備装備をロシアが枯渇させた後、ロシアというユーラシア大陸に巨大な国土を有する国そのものが巨大な戦力空白に陥る事で次の緊張が生じる可能性もあり、決定的な引導を渡し早期の停戦を模索する必要もあるのかもしれません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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