北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】護衛艦かがF-35B戦闘機サンディエゴ沖認証試験完了,P-1哨戒機能力向上型初飛行

2025-01-06 20:22:09 | インポート
■防衛フォーラム
 2025年最初の防衛フォーラムはインポート記事にて今回は自衛隊関連の話題をお伝えしましょう。

 護衛艦かがF-35B戦闘機認証試験が完了しました。海上自衛隊は11月7日、カリフォルニア州サンディエゴ沖においてF-35B戦闘機発着試験の様子を報道陣に初公開、またこの11月7日にF-35B戦闘機運用認証試験が完了した事も併せて発表しています。艦上でのF-35Bは発着自動誘導装置により極めて高い精度で自動発着ができるという。

 かが報道公開、海上自衛隊は2021年に岩国沖においてヘリコプター搭載護衛艦いずも艦上でのF-35B発着試験をアメリカ海兵隊支援とともに実施し甲板強度の認証を行っていますが、この時には報道公開は行われていません。なお、いずも改修として自動発着支援装置の追加などを行うべく入渠が始まっている、今後同様の試験が行われるでしょう。

 F-35B戦闘機は年度内に新田原基地へ臨時F-35B飛行隊の新設が発表されています。問題はF-35B戦闘機が年度内に納入されるかということですが、自動着艦能力の高いF-35Bは従来の空母艦載機が抱えていた厳しい発着艦資格という問題はある程度解決してくれることとなるでしょう、あとは海上自衛隊と航空自衛隊の運用調整が課題です。


 海上自衛隊のP-1哨戒機能力向上型が初飛行を迎えたとのこと。P-1哨戒機は情報融合能力を有した戦闘指揮システムの搭載とレーダーや光学及び音響センサーの信号処理技術の改良により探知識別能力や飛行性能及び情報処理能力が向上したとのこと。改良型の開発は2013年より防衛装備庁により開始され2016年に所内試験を完了しました。

 P-1哨戒機改良型は36号機以降の機体で、川崎重工岐阜工場において製造されていた36号機が11月初旬から飛行試験を開始しています。防衛装備庁ではこのほか、次期電子情報収集機の情報収集システムの研究、としてEP-3電子情報収集機やOP-3C画像情報収集機後継機にP-1哨戒機の派生型を充てる構想があり、研究開発が継続されています。

 36号機、P-1哨戒機の量産はもともと70機の製造が想定されていましたので、36号機の初飛行はその量産が広範段階に入ったことを示します。海上自衛隊ではP-3C哨戒機80機を70機のP-1哨戒機で置き換える構想ですが、併せて上記のEP-3やOP-3C後継機の製造によりP-1は各種派生型で80機が製造され、続くP-Xへ置き換えられます。


 潜水艦たいげい型9番艦は一部設計が変更される、これは従来の潜水艦たいげい型と比して操舵機器や監視機器の統合による自動化が進められ、乗員を10名分省力化する事が出来たとのことです。少子高齢化に伴う慢性的な人員不足と、潜水艦という適正が求められる任務において、人員10名を省力化することの意味は非常に大きいといえる。

 たいげい型の省力化は、通常動力潜水艦として第一に必要な酸素の量が乗員と共に減るために潜水中の時間を延伸でき、また10名少なくなるという事は艦内容積や食料の搭載などについても余裕が生まれるとともに、従来の潜水艦6隻の要員で7隻の潜水艦を運用できることとなり、たいげい型後期艦と位置付けられることとなるのかもしれません。


 海上自衛隊最後のUH-60J救難ヘリコプターが退役しました。除籍行事は79号機に対して行われ、12月10日に除籍式がおこなわれました。自衛隊の救難ヘリコプターは航空自衛隊と海上自衛隊が従来分担していましたが、救難ヘリコプターには機内容積を活かしての空輸能力なども期待されていたものの、任務増大の負担が課題となっていた。

 UH-60J救難ヘリコプターは退役しましたが、海上自衛隊ではSH-60哨戒ヘリコプターの任務に一部救難任務が含まれており、例えば外洋において発生した航空遭難事案に対しては、US-2救難飛行艇とともにヘリコプターを捜索救難に対応させることは可能です、が専門部隊としての救難ヘリコプター運用が終了した事は、一つの節目と言えるでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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ウクライナ情勢-ウクライナ空軍は2024年内だけで無人機1万4400機を撃墜

2025-01-06 07:00:34 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 2025年代一回のウクライナ情勢戦訓検証です。

 ウクライナ空軍は2024年内だけで無人機1万4400機を撃墜した、ISWアメリカ戦争研究所2024年12月31日付ウクライナ戦況報告によれば、ウクライナ空軍が2024年に撃墜した戦果を発表、ロシア軍の各種ミサイル1300発、攻撃用無人航空機1万1200機、偵察用無人航空機3200機、固定翼航空機40機、ヘリコプター6機を撃墜したとのこと。

 空軍の戦果として特筆されるべきは、やはり1万4400機もの無人航空機を撃墜したという点が特筆されるでしょう。この中には長距離を飛行するシャヘド型自爆用無人機も含まれますし、小型で近距離を偵察するクワッドドローンも含まれる、もちろん手榴弾をくくりつけた市販無人機も含まれますが、一年間だけでこうした数が投入された。

 日本が学ぶ視点としては、今後、日本に対して軍事攻撃が加えられる場合、こうした膨大な数が投入される懸念があるということともに、これを迎撃する防空システムの構築、ウクライナ軍は供与ミサイルに加え軽飛行機やヘリコプターからの機銃掃射、高射機関砲は勿論、小銃射撃まで含めて攻撃している柔軟性も注目すべきでしょう。

 航空機の撃墜数について。ウクライナ空軍は2024年より待望のF-16戦闘機受領を開始していますが、ロシア軍は最前線から極めて離れた空域より滑空爆弾を投下しており、固定翼航空機の損耗をかなり避けられているとみるべきか、もしくは40機という数字は一週間強に1機の割合で撃墜されているため、まだ余力があるとみるべきなのか。

 ヘリコプター6機の撃墜については、既にロシア軍は大規模なへリボーン攻撃を行う余地がなく、飛ばしていないために損耗を避けている、飛ばないものは落とせない、という状況を表している可能性が高い。なお、同じISW報告ではロシア軍がクラホフ方面において自家用車を歩兵機動に活用、車両不足が顕著であることをしめしています。

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