北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】GCAP日英伊共同戦闘機開発とイギリス労働党政権,グアムに配備された新レーダーAN/TPY-6,韓国版THAADのL-SAMミサイル

2025-01-07 20:21:40 | インポート
■防衛フォーラム
 今回は空軍関連の話題です。

 GCAP日英伊共同戦闘機開発とイギリス労働党政権について、イギリスのスターマー首相は11月9日までに開発を継続する方針を示した、こう関係者が明らかにしたことを共同通信などが報じました。保守党政権時代に開始されたGCAPグローバル戦闘機計画は、選挙敗北に伴う政権交代後、その去就が注目されていました。

 スターマー首相は、GCAPについて、イギリス全体では防衛戦略の見直しに着手したものの、この継続は日本とイタリアとの外交関係に直結しているものであるとともに、イギリス国内の雇用にも直結している事を総合的に判断し、外交防衛上重要な計画であると認識したかたち。GCAPはジョンソン政権時代に着手された国際共同開発です。

 イギリスはユーロファイタータイフーン戦闘機とF-35B戦闘機という比較的高い水準の航空戦力を維持していますが、イギリス空軍は本土から遠く離れた北大西洋上でのシーレーン防空など長距離飛行能力を有する戦闘機を伝統的に必要としており、F-35Bの航続距離には不満が伝えられています、GCAPはそのための重要な選択肢となります。


 韓国版THAADミサイルといわれるL-SAMミサイルの開発が完了しました。これは北朝鮮弾道ミサイル脅威が増大する中、従来は韓国に対しては短距離弾道弾の脅威が主体であり、これに対しては中距離地対空ミサイルにょり迎撃されると考えられていたものの、ロフテッド軌道による高高度からの脅威という状況に対応すべく開発されたもの。

 L-SAMは高度40㎞において弾道ミサイルを迎撃するものといい、そのミサイル迎撃技術は韓国とロシアの防衛協力が良好であった時代に、ロシアからのS-300V地対空ミサイルの9M82 迎撃ミサイル技術が応用されたと考えられています。開発には実に10年の時間を要しましたが、韓国国防省は改良型のL-SAMⅡの開発にも着手しています。


 グアムに配備された新レーダーAN/TPY-6について。先日グアムにおいて初のミサイル迎撃実験が実施され想定される中距離弾道弾の迎撃に成功しましたが、レドーム一基のみであることから、通常のイージスアショアミサイル防衛システムと異なり全周にわたる防空能力が付与されたものではなく、中国にのみ向けられている可能性があるという。

 AN/TPY-6という名称が、実験成功とともに発表されたものですが、ロッキードマーティン社製TPY-4レーダーのSPY-7仕様のものであると考えられ、これは同社が発表したものとして設置の時点で宇宙空間を想定し大幅に傾斜し角度を合わせているとしています。各装備は6基の40ftコンテナに収められ、レドームとともに配備されていました。


 ドイツ空軍はミーティア空対空ミサイルを増強します。ユーロファイタータイフーン戦闘機を運用するドイツ空軍は、同時にF-35戦闘機の導入計画を進めていますが、同時に既存のユーロファイター戦闘機の戦力維持も課題となっていました。これに対してドイツの連邦予算委員会がミーティアミサイルの増産予算を可決したとしています。

 ミーティアミサイルはドイツのMBDA社が開発したもので射程は100km以上、特筆すべきは強力な電子戦環境においても遠距離多目標への正確な誘導と命中能力を持つとしています。またユーロファイターの運用能力を強化するべくストライカーⅡヘッドマウントディスプレイの調達計画も了承されており、ユーロファイターは更なる強化を受ける。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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ウクライナ情勢-ロシア軍のクラホフ方面における進出状況と北朝鮮軍の投入状況,チャシブヤール戦線について

2025-01-07 07:00:27 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ情勢
 今年も自衛隊の運用に資するウクライナ軍の戦訓をまた丹念に見てゆきたいと思うのです。

 ロシア軍のクラホフ方面における進出状況について、ISWアメリカ戦争研究所は1月2日付ウクライナ戦況報告においてH-15高速道路までの進出を目指すものの攻撃強度が低下しているというウクライナ軍旅団報道官の発言を紹介しました。この道路はクラホフとザポリツイアを結ぶ高速道路型の道路となっています。

 ロシア軍はこの方面において昨年10月から11月にかけてかなりの数の装甲車両を投入していますが、これらを撃破された事で補填の見通しがつかなくなり、機械化部隊による攻撃をいったん断念して新兵を中心とした補充兵を絶えず投入する事でウクライナ軍防衛線へ圧力を加えているとのこと。犠牲は大きいがこうかは多少、という。

 北朝鮮軍の投入状況について、ISWはウクライナ軍事情報総局の発表を引用し、北朝鮮兵はクルスク州での戦闘に投入され死傷者を出し続けているとしています。これを受けロシア軍は北朝鮮軍をスジャ南東のウラノクやファンタシエフカ、チェルカスカヤコノメルカに転進させているとも発表しています。死傷者の規模については確認が出来ない。

 チャシブヤール戦線について。ウクライナ軍当局者の発言をISWが引用したところによれば、この方面においてもロシア軍は機械化部隊による攻撃を避けており、歩兵突撃を繰り返しているとの事です。ただ、攻撃を秘匿する為に発煙手榴弾を多用するという、これまでにみられなかった地上戦闘を展開しているとも報告しています。

 ロシア軍はポクロフスクを東西から包囲するきどうを採りつつある、これはポクロフスク南西のウダチュネとポクロフスク東方のヴォズドヴィジェンカにおいてロシア軍が攻勢を強めている為であり、この地域におけるポクロフスクは違位置を結ぶ要塞線の要諦の一つとなっている事から、今後の展開の推移を見守る必要があります。

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