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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

地域配備師団には地対艦ミサイル連隊が必要だ【2】普通科連隊をSSM連隊・警備隊・高射中隊の連隊へ改編

2023-04-20 20:01:23 | 防衛・安全保障
■当面は9000発必要
 地域配備師団の普通科連隊を地域から動かず全国へ火力支援可能なSSM連隊と警備隊に高射中隊基幹の部隊へ全面改編する試案のつづき。

 地域配備師団と即応機動師団への二分化と、反撃能力整備という2022年防衛政策転換を背景に考えた地域配備師団改編案、地域配備師団隷下の普通科連隊を地対艦ミサイル連隊と警備隊に高射中隊を置く沿岸警備連隊へ全面的に改編するという、試案を全会示してみました。核兵器を持つ相手に通常戦力だけで挑むのです、中途半端な改編は亡国に繋がる。

 即応機動師団ですが、こちらについても、現在は師団隷下に一個だけ即応機動連隊へ改編するという中途半端な案ですが、こんな編成は不十分で、師団隷下の全ての普通科連隊を即応機動連隊に改編する。ここまで踏み込んで初めて、師団から火砲も戦車も、そして自衛隊から戦闘ヘリコプターと対戦車ヘリコプターを廃止する大改編につり合いが採れます。

 戦闘ヘリコプターの廃止に対しては、しかし反対です。もちろんアメリカ海兵隊のような航空団を陸上自衛隊に配置して、F-35B戦闘機でもAH-64D戦闘ヘリコプターの後継に置くというならば別なのですが。もっとも、F-35Bがあれば、反撃能力の目標位置などを評定するには役立ちます。すると更に踏み込んでF-35Bの視点も検討すべきかもしれません。

 地対艦ミサイル連隊の3斉射分という弾薬基数は、そもそもどう概算されたのは、これは北海道に接近するソ連上陸船団を着上陸前に可能な限り殲滅するとして、概算された数字です。当たり前ですが、反撃能力は相手本土攻撃を含めますので、弾薬基数の概算からやり直さねばなりません。そして目標の性質も船団攻撃とは根本的に異なる点があるのです。

 上陸船団は洋上に出航していなければたたくことは出来ませんが、地上目標への攻撃を行う場合は、施設は移動しませんし地下に潜るような施設もありません、そうした施設は地下に建設されている。故に攻撃の時機は戦機が左右するため、船団の上陸前を叩くような、ある特定の期間のみ攻撃を行う種類ではないため、基数は部隊当たりの整備を増すべきだ。

 飽和攻撃という単語がありますが、陸上自衛隊の同時射撃能力が2880発、ここに航空自衛隊のスタンドオフミサイルが加わりますと同時着弾は3000発規模となります、中国海軍は航空母艦などを護衛するべく055型ミサイル駆逐艦など大型艦を多数整備していますが、同時に3000発を同時弾着するよう調整され攻撃を受ければ、どうなるでしょうか。

 ミサイル発射装置と、なにより国産ミサイルの開発を急がねばなりません。そして不足はするでしょうが当面は3斉射分、これでも要するに9000発を準備するという、今の視点からは現状の2000発よりも遙かに多い数ですが、この水準にとどめます。ミサイルよりも現状で不足している発射装置を先に揃えるということです。その先に当面の整備目標を置く。

 現在の地対艦ミサイルと異なり、もちろん発射後の素早い陣地変換は、相手の弾道ミサイル攻撃胃を考えれば相応に必要でしょうが、しかし現在の射程200㎞前後のミサイルが想定する相手からの反撃よりは時間的猶予はあります、すると一基数あたり5斉射分は想定可能だと考える、そして発射器当たり、二基数から三基数の弾薬があれば、十分でないか。

 現状の2000発、これをすべて反撃能力に置き換える、数字をみれば例えば2010年代に概算したとしたら、十分な数、とおもわれるかもしれません。しかし、ロシアウクライナ戦争がすべての前提条件を置き換えました、ウクライナはロシアから最初の半年間で4800発の巡航ミサイルや弾道ミサイルを打ち込まれましたが、影響は限定的なものとなっている。

 中国、ロシア、北朝鮮、日本へ着上陸するであろう国は限られているのですが、反撃能力を公使しなければならない状況、つまり"撃たれたら打ち返すゾ"という能力を誇示して"撃つことを躊躇させる"という"報復的抑止力"を、相手に躊躇させる水準におくのは、ロシアの実際の事例をみれば通常戦力のミサイルでは4800発では全く足りないという事がわかる。

 イランから自爆用無人機などを受領し逐次投入の形で8000発を打ち込んでいますが、ウクライナの士気は旺盛です。これをみれば、当面自衛隊が保有する反撃能力は9000発、と示した数字でも、中国やロシアはウクライナよりも国土が広大ですのでぎりぎり最小限、といえるかもしれません。それではある程度十分な弾薬基数はどの程度であるかを考えよう。

 10斉射分程度が当面の目標、しかしロシアウクライナ戦争をみれば年単位の戦闘の長期化を考える必要がありますので、その場合はいくらあっても不足します、ただ、予算は無限ではありませんので、3基数で15斉射分くらいを弾薬補給処に集積する、つまり十年以内に30000発を量産し、その後おおむね45000発の整備が目標として必要だと考えるのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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