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スーダンへ邦人救出部隊派遣-政情不安と政府軍・准軍事組織戦闘続く現地の在留邦人,ジブチ航空拠点部隊など

2023-04-20 07:00:39 | 国際・政治
■臨時情報-スーダン情勢
 自衛隊が邦人救出へスーダンへ派遣されます。

 政府は政情不安のスーダンへ邦人救出部隊派遣の調整を開始しました。スーダンでは先週発生した準軍事組織RSFによる国軍部隊への攻撃により、政情不安が広範囲での戦闘状態へ拡大する状況となり、在留邦人の安全確保が難しい状況となりました。ただ、準軍事組織RSFは国際空港等を中心に戦闘を展開しており、在留邦人の出国は簡単ではありません。

 スーダン在留邦人は60名規模、外務省によれば在留邦人の多くは大使館員とNGO関係者などとのことで19日までに全員の安全確認が取れているとのことです。しかし、首都ハルツームでは停電や断水が続き食料供給などが途絶しがちであり、またRSFはアメリカ外交官の車列や病院などにも攻撃を加えており、戦闘による死者も増え続けている状況です。

 政府は、現在ソマリア沖海賊対処任務派遣航空部隊として、アフリカ東部のジブチに自衛隊航空拠点が設置されており、海上自衛隊哨戒機と警備の陸上自衛隊部隊などが駐屯、そして哨戒機維持部品などの補給へ輸送機が定期的に往復しており、このジブチに展開している航空自衛隊輸送機などを邦人救出任務に充てたい方針で、外務省などとも調整中です。

 スーダン政府と日本政府は現在邦人救出の自衛隊機受入へ調整中である、松野官房長官は19日の臨時記者会見において発言しています。他方、留意事項ですが前述の通りRSFのスーダン軍への攻撃は国際空港や航空拠点等に対し行われており、輸送機の展開に際しスーダン政府の了承を受けられた場合でもRSFからの攻撃を受ける可能性が否定できません。

 RSFの動静、状況は刻一刻と変化する為、高度な政治判断をどのように現場において下すかの枠組みと、戦闘となった場合の想定も必要な段階です。しかし唯一の楽観要素は、在留邦人が60名規模とC-2輸送機はもちろんC-130輸送機1機に収容できる人数である事と、大使館員とNGO職員は首都ハルツーム市内で連絡が取れているということでしょう。

 自衛隊による邦人救出は2021年アフガニスタンカブール陥落などでは派遣準備に時間を要した為に、救出対象の邦人が自衛隊機に収容できない厳しい状況がありましたが、その後法改正が行われ、危機的状況が顕在化する前にも輸送機派遣などが可能となりました。スーダン情勢はまだ破たん状態には至っておらず、円滑な調整と輸送機の派遣が望まれます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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