■米軍東欧へ更に追加派遣
ウクライナ危機に関して昨夜動きがありました。アメリカ政府が自国民退避勧告を発令し連動するように我が国外務省も発令、一方米軍の更なる東欧増強が発表されました。
東欧へ更に3000名の米軍部隊を増援、アメリカ国防総省の発表ではバイデン大統領が11日、東欧地域へ現在進められている増強を更に強化するべく、3000名規模の部隊を増派するよう命令したとしています。現在アメリカ本土からは第82空挺師団の将兵が輸送機により東欧へ緊急展開を進めています。ただ、空挺部隊では対戦車能力に限界があるのです。
バイデン大統領が11日に発表した更なる増強部隊3000名はポーランドへ派遣されるとしていますが、詳細は不明です。陸軍には軽歩兵主体の歩兵旅団戦闘団、ストライカー旅団戦闘団と戦車や装甲戦闘車を装備する機甲旅団戦闘団があるのですが、輸送機での緊急展開可能な部隊は空挺部隊しかなく、その装備は歩兵旅団戦闘団で、戦車は有していません。
ポーランドへの増強はウクライナの隣国であるとともに、ロシアの飛び地であるカリーニングラードとも隣接しており影響が必至の為であるのですが、バイデン政権の東欧増援は3000名単位ごとに泥縄式の派遣決定を伝えており、戦力逐次投入という軍事常識では敗北に直結する悪手として警鐘されています。そして軽装備部隊以外の派遣も示していません。
外務省は昨日11日夜、ウクライナに関する邦人安全情報をより高い警戒度“レベル4”に引き上げ“邦人国外退避勧告”へ切り替えました。これは10日からロシア軍のベラルーシ軍との合同演習が開始され、ウクライナの首都キエフとベラルーシ国境とは直線距離で90km程しか離れておらず、侵攻が開始されてからでは退避が間に合わないとの判断です。
政府は外務省の邦人国外退避勧告を受け首相官邸に官邸連絡室を設置しました。ただ、10日から演習開始という発表は前から為されており、ウクライナ危機を岸田政権が軽視していたのではないかという危機管理の不手際も感じざるを得ない状況です。なお、ウクライナ国内の在留邦人は150名程度、これは昨年のアフガニスタンよりも状況は深刻といえる。
外務省は、予てより民間航空機が運行されている間に国外退去を検討するよう安全情報のレベルを上げていますが、今回正式に国外退避勧告を発令し、警戒を呼び掛けています。ウクライナは海路とポーランドやルーマニアとの陸路もありますが、海路はロシア黒海艦隊に封鎖される懸念があり、また空港も民航機がいつまで運行されるか確証がありません。
空港については、ウクライナの国際空港は首都キエフのキエフジュリャーヌイ国際空港、キエフ州のボルイースピリ国際空港、ドニプロペトローウシク州のドニプロペトローウシク国際空港、ドネツク州のドネツク国際空港とマリウポイ国際空港、サポリージャ州のサポリージャ国際空港、そしてオデッサ州のオデッサ国際空港などに国際線が乗入れている。
東部地域はウクライナ東部紛争の影響を受けています、中でも4000m滑走路を有するドネツク国際空港は2015年に親ロシア派武装勢力により占拠破壊されており、2022年時点で旅客機は運行されていません。また、この地域には2014年7月17日に発生したマレーシア航空17便撃墜事件のように、民航機であっても地対空ミサイルの脅威があるのです。
S-400地対空ミサイル、今回ロシア軍は射程の長いS-400地対空ミサイルを極東地域よりウクライナ北部国境に展開させています、その射程は400kmに及び、これではキエフ州のボルイースピリ国際空港やキエフジュリャーヌイ国際空港を発着する旅客機は完全に射程に収められており、開戦となった直後に、民間機は事実上飛行出来なくなる可能性が高い。
シベリア航空1812便撃墜事件。これは9.11アメリカ同時多発テロの記憶新しい2001年10月4日にイスラエルのベングリオン国際空港を離陸しロシアのトルマチョーヴォ空港に向かっていたシベリア航空の旅客機が、240kmも離れたウクライナ軍演習場から誤射され命中し乗員乗客全員が死亡した事故でした。使用されたのはS-200地対空ミサイルという。
西側のミサイルは、海軍のスタンダードSM-2が射程100km、そして陸空軍のペトリオットミサイルが射程100kmで、ミサイルの長射程地対空ミサイル射程の相場は100km前後というものが基本です、しかし、旧ソ連が設計したミサイルは広大な国土を防衛する必要から射程が長く、離れている民航機にも誤射の危険は及ぶ非常に厳しい教訓となりました。
邦人国外退避勧告。可能な限り早く出国が求められるのですが、NATOなど韓国は自国民救出の軍用機派遣等の準備を行っているとの報道も一部にはあり、場合によっては最悪の事態を避ける為に邦人救出任務への自衛隊派遣も、為政者は考えておくべきです。昨年日本はアフガニスタン邦人救出に失敗しています、岸田政権の危機管理が問われるのです。
ユニオンカレイジ2022演習、ロシア軍によるベラルーシ国内でのベラルーシ軍との合同演習が10日より実施されています。NATOのストルテンベルク事務総長は3日の記者会見ですでにロシア軍3万名がベラルーシに展開しているとしていて、展開兵力が大きく、このままベラルーシウクライナ国境より南進を開始するのではないかとの危惧があります。
ロシア政府のぺスコフ報道官は、現在ベラルーシが冷戦終結後最大の危機に曝されておりベラルーシをNATOの侵略から守る為には軍事演習を行うしかないとし、今回の軍事演習は防衛目的であると強調しています。一方、ウクライナ軍はこの演習がそのまま進攻作戦へ転換した場合に備え、対抗演習を実施するとしています。ウクライナ軍の対抗演習とは。
対抗演習そのものは自衛隊も実施しています、ロシア軍が北方領土や沿海州などで大規模演習を実施する場合、その演習参加部隊がそのまま北海道に着上陸した場合に備えて北部方面隊隷下部隊を演習場などに展開させるというもの。旅団祭などと重なりますと参加部隊が大きく削減されるという事が在りまして、前にわたしも実際経験したことがあります。
ロシア軍は2022年にロシア南部地域で3000回の演習を計画していると2021年に発表しています。ベラルーシでのユニオンカレイジ2022演習と並行する形で、ロシア南部では8日より三週間に渡る夜間演習を開始しました。ロシアのプーチン大統領はフランスマクロン大統領との首脳会談で演習終了後部隊は撤収するとしていますが、演習は3000回行う。
海上での緊張も増大しています、9日にロイター通信がインタファックス通信を引用する形で地中海に展開していたロシア海軍艦艇が黒海へとトルコのボスポラス海峡を航行したと報じていまして、8日にコロレフ、ミンスク、カリーニングラードが確認されたという。ミンスクは、キエフ級空母ミンスクが有名ですが30年前に廃艦となり、同名の艦でしょうか。
地中海から黒海へ航行した艦艇はロシア国防省によれば6隻が予定されており、ジブラルタル海峡を航行し地中海に展開した北海艦隊の艦艇でしょうか。地中海に展開するNATO合同空母部隊を牽制するとともに、インド洋に遊弋するアメリカ事前集積船部隊へも圧力を加える配置といえます。戦端いつ開かれるかという緊張が、今この瞬間も続いています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ウクライナ危機に関して昨夜動きがありました。アメリカ政府が自国民退避勧告を発令し連動するように我が国外務省も発令、一方米軍の更なる東欧増強が発表されました。
東欧へ更に3000名の米軍部隊を増援、アメリカ国防総省の発表ではバイデン大統領が11日、東欧地域へ現在進められている増強を更に強化するべく、3000名規模の部隊を増派するよう命令したとしています。現在アメリカ本土からは第82空挺師団の将兵が輸送機により東欧へ緊急展開を進めています。ただ、空挺部隊では対戦車能力に限界があるのです。
バイデン大統領が11日に発表した更なる増強部隊3000名はポーランドへ派遣されるとしていますが、詳細は不明です。陸軍には軽歩兵主体の歩兵旅団戦闘団、ストライカー旅団戦闘団と戦車や装甲戦闘車を装備する機甲旅団戦闘団があるのですが、輸送機での緊急展開可能な部隊は空挺部隊しかなく、その装備は歩兵旅団戦闘団で、戦車は有していません。
ポーランドへの増強はウクライナの隣国であるとともに、ロシアの飛び地であるカリーニングラードとも隣接しており影響が必至の為であるのですが、バイデン政権の東欧増援は3000名単位ごとに泥縄式の派遣決定を伝えており、戦力逐次投入という軍事常識では敗北に直結する悪手として警鐘されています。そして軽装備部隊以外の派遣も示していません。
外務省は昨日11日夜、ウクライナに関する邦人安全情報をより高い警戒度“レベル4”に引き上げ“邦人国外退避勧告”へ切り替えました。これは10日からロシア軍のベラルーシ軍との合同演習が開始され、ウクライナの首都キエフとベラルーシ国境とは直線距離で90km程しか離れておらず、侵攻が開始されてからでは退避が間に合わないとの判断です。
政府は外務省の邦人国外退避勧告を受け首相官邸に官邸連絡室を設置しました。ただ、10日から演習開始という発表は前から為されており、ウクライナ危機を岸田政権が軽視していたのではないかという危機管理の不手際も感じざるを得ない状況です。なお、ウクライナ国内の在留邦人は150名程度、これは昨年のアフガニスタンよりも状況は深刻といえる。
外務省は、予てより民間航空機が運行されている間に国外退去を検討するよう安全情報のレベルを上げていますが、今回正式に国外退避勧告を発令し、警戒を呼び掛けています。ウクライナは海路とポーランドやルーマニアとの陸路もありますが、海路はロシア黒海艦隊に封鎖される懸念があり、また空港も民航機がいつまで運行されるか確証がありません。
空港については、ウクライナの国際空港は首都キエフのキエフジュリャーヌイ国際空港、キエフ州のボルイースピリ国際空港、ドニプロペトローウシク州のドニプロペトローウシク国際空港、ドネツク州のドネツク国際空港とマリウポイ国際空港、サポリージャ州のサポリージャ国際空港、そしてオデッサ州のオデッサ国際空港などに国際線が乗入れている。
東部地域はウクライナ東部紛争の影響を受けています、中でも4000m滑走路を有するドネツク国際空港は2015年に親ロシア派武装勢力により占拠破壊されており、2022年時点で旅客機は運行されていません。また、この地域には2014年7月17日に発生したマレーシア航空17便撃墜事件のように、民航機であっても地対空ミサイルの脅威があるのです。
S-400地対空ミサイル、今回ロシア軍は射程の長いS-400地対空ミサイルを極東地域よりウクライナ北部国境に展開させています、その射程は400kmに及び、これではキエフ州のボルイースピリ国際空港やキエフジュリャーヌイ国際空港を発着する旅客機は完全に射程に収められており、開戦となった直後に、民間機は事実上飛行出来なくなる可能性が高い。
シベリア航空1812便撃墜事件。これは9.11アメリカ同時多発テロの記憶新しい2001年10月4日にイスラエルのベングリオン国際空港を離陸しロシアのトルマチョーヴォ空港に向かっていたシベリア航空の旅客機が、240kmも離れたウクライナ軍演習場から誤射され命中し乗員乗客全員が死亡した事故でした。使用されたのはS-200地対空ミサイルという。
西側のミサイルは、海軍のスタンダードSM-2が射程100km、そして陸空軍のペトリオットミサイルが射程100kmで、ミサイルの長射程地対空ミサイル射程の相場は100km前後というものが基本です、しかし、旧ソ連が設計したミサイルは広大な国土を防衛する必要から射程が長く、離れている民航機にも誤射の危険は及ぶ非常に厳しい教訓となりました。
邦人国外退避勧告。可能な限り早く出国が求められるのですが、NATOなど韓国は自国民救出の軍用機派遣等の準備を行っているとの報道も一部にはあり、場合によっては最悪の事態を避ける為に邦人救出任務への自衛隊派遣も、為政者は考えておくべきです。昨年日本はアフガニスタン邦人救出に失敗しています、岸田政権の危機管理が問われるのです。
ユニオンカレイジ2022演習、ロシア軍によるベラルーシ国内でのベラルーシ軍との合同演習が10日より実施されています。NATOのストルテンベルク事務総長は3日の記者会見ですでにロシア軍3万名がベラルーシに展開しているとしていて、展開兵力が大きく、このままベラルーシウクライナ国境より南進を開始するのではないかとの危惧があります。
ロシア政府のぺスコフ報道官は、現在ベラルーシが冷戦終結後最大の危機に曝されておりベラルーシをNATOの侵略から守る為には軍事演習を行うしかないとし、今回の軍事演習は防衛目的であると強調しています。一方、ウクライナ軍はこの演習がそのまま進攻作戦へ転換した場合に備え、対抗演習を実施するとしています。ウクライナ軍の対抗演習とは。
対抗演習そのものは自衛隊も実施しています、ロシア軍が北方領土や沿海州などで大規模演習を実施する場合、その演習参加部隊がそのまま北海道に着上陸した場合に備えて北部方面隊隷下部隊を演習場などに展開させるというもの。旅団祭などと重なりますと参加部隊が大きく削減されるという事が在りまして、前にわたしも実際経験したことがあります。
ロシア軍は2022年にロシア南部地域で3000回の演習を計画していると2021年に発表しています。ベラルーシでのユニオンカレイジ2022演習と並行する形で、ロシア南部では8日より三週間に渡る夜間演習を開始しました。ロシアのプーチン大統領はフランスマクロン大統領との首脳会談で演習終了後部隊は撤収するとしていますが、演習は3000回行う。
海上での緊張も増大しています、9日にロイター通信がインタファックス通信を引用する形で地中海に展開していたロシア海軍艦艇が黒海へとトルコのボスポラス海峡を航行したと報じていまして、8日にコロレフ、ミンスク、カリーニングラードが確認されたという。ミンスクは、キエフ級空母ミンスクが有名ですが30年前に廃艦となり、同名の艦でしょうか。
地中海から黒海へ航行した艦艇はロシア国防省によれば6隻が予定されており、ジブラルタル海峡を航行し地中海に展開した北海艦隊の艦艇でしょうか。地中海に展開するNATO合同空母部隊を牽制するとともに、インド洋に遊弋するアメリカ事前集積船部隊へも圧力を加える配置といえます。戦端いつ開かれるかという緊張が、今この瞬間も続いています。
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