北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

護衛艦隊集合訓練 舞鶴基地にて開始

2006-04-19 23:35:42 | 北大路機関 広報

 18日、海上自衛隊護衛艦隊による集合訓練が舞鶴基地にて開始された。以下のポスターは海上自衛隊舞鶴地方隊のホームページに掲載されていたものである。

18negokantaiposta1  護衛艦隊集合訓練とは有事の際の艦隊集結行動の演習であり、全国に分散する護衛艦隊の艦艇が一堂に集結する訓練である。

 護衛艦隊には護衛艦33隻、補給艦5隻、訓練支援艦などが所属するが、昨年度末の改編により自衛艦隊直轄であった第一輸送隊の輸送艦3隻が護衛艦隊隷下に異動したため、その作戦能力は極めて大きいものとなった。

 報道によれば、今回の参加艦艇は23隻、人員4000名の参加である。

 昨年度の集合訓練は例年よりも一ヶ月遅い五月に呉基地で実施された為、今年度は大湊基地で実施されるのでは、との観方があったが舞鶴基地で行われる事となり、18日は舞鶴市の江守市長による歓迎セレモニーが執り行われた。

Img_9219  なお、集合訓練は既に開始されているが、22日土曜日と23日日曜日、舞鶴基地桟橋が開放され一般の人も入る事が可能となる。

 舞鶴基地へは、小生も先月に展開したが、今回は久居駐屯地を断念し、長躯舞鶴基地へ展開する事を決定した。

 舞鶴港は、海上自衛隊基地のある東舞鶴港と商業港である西舞鶴港に分けられるが、東舞鶴港に入港できなかった艦は西港に係留されている。

Img_9209  目下、どの艦艇が入港しているかは鋭意調査中であるが、京都新聞電子版の掲載写真では、舞鶴基地を母港とする“はるな”に、横須賀基地の“しらね”が横付けする写真が載せられていた。

 また、演習に参加はしていないが先月の段階では映画『亡国のイージス』で一躍有名となった“みょうこう”が重整備状態でドック入りしていた。

Img_9228  舞鶴基地へはJR東舞鶴駅から徒歩で20分ほど、また平日であれば桟橋は事前に地方連絡部などを通じての特別許可がなければはいることは出来ないが、外側からも少なからず見る事が出来る。

 集合訓練となるとその参加艦艇は港内広域に広がっている為、外側からの撮影も選択肢に含める事をお勧めしたい。なお、写真は国道から望む舞鶴基地である。

Img_9350  舞鶴基地へ行く際に充分留意する事は、終電が非常に早いということだ。終電は2151時、京都や大阪に帰る場合はその一本前の2030時の列車に乗らなければならない。夜間電飾が2000時からである為、一歩間違えると終電を逃す恐れがある。一時間0~2本のダイヤであるため、充分な事前確認が必要であるが、小生は日帰りを諦め、一泊する手続きを行った。市内のビジネスホテルやカプセルホテルは若干の余裕があるとの事で、\3900~と意外と安価、Webなどで検索しご参考にされたい。

Img_9432  基地内には駐車場があり、週末の桟橋一般公開では基地入り口で必要事項を帳面に記載すれば駐車が可能であるが、数に限りがあることを考えれば鉄道を薦めたい。京都駅から特急舞鶴号が出ている。

 集合訓練に関しては情報収集中であり、情報が入り次第お伝えしたい。展開を計画される皆さんの参考の一助となれば幸いである。

HARUNA

(本ブログの写真及び本文は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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京都清水寺 桜花満開 春の夜間特別拝観

2006-04-15 11:31:05 | 写真

 清水寺(懲りずに)行ってきた。前回展開した際に情報収集不足で三分咲であったことから、再度の展開を決意した次第だ。学部生の相談にのっていた関係で撮影器材をとって展開した時間が遅くなり、残念ながら大舞台から向こう側は既に閉鎖となっていたが、まあ、学部生の相談とあれば致し方ない(笑)。

 他に行くところは無いのか、というお言葉もあろう。東山(円山公園・高台寺・法観寺・清水寺)は今年に入り四度目であるが、平安神宮や仁和寺や大徳寺や東福寺や伏見稲荷大社や上加茂神社や下鴨神社や色々あるが、まあ、次シーズンにご期待という事でネ。フィルム時代(2005.8よりデジタル一眼に部分移行、2005.9より完全移行)のこれらの写真をまんまスキャナーで取り入れるというのも考えないでもないが山積した写真群からの発掘は困難を要し(面倒くさい)、また夜景以外のものも多く目下、検討外という状況である。一方で、本ブログは文章が多すぎるのではないかとのご指摘を友人から頂いたが、電車内での零細時間の有効活用(つまり暇つぶし)に、携帯電話により閲覧していただく方も少なくないとの事で、写真を見ることにも限界があり、やはり相応に文章は必要かな?と。

 閑話休題、清水寺夜間特別拝観は16日まで、大舞台より向うへは2100時に閉鎖となるが、清水寺そのものへの受付は2130時まで、また拝観も2200時まで公開されている。三脚使用不可の場所もある為注意が必要である。

 HARUNA

(本ブログの文章及び写真の著作権は北大路機関に属し、無断転載は厳に禁じる)

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資料調査の狭間から 詳報準備中の備忘録

2006-04-14 22:45:38 | コラム

 詳報は後日お伝えしたい、と記載し暫定的に短報を掲載したもののうち、まだ幾つかが詳報を未掲載、若しくは掲載途上という状況にある。多少時間を要しているが必ず、詳報を掲載したい所存である。決して面倒くさい訳ではない。

 掲載準備中の詳報は以下の通り。木更津駐屯地祭、海上自衛隊舞鶴基地探訪、近海練習航海部隊名古屋港寄港、AH-64D明野駐屯地撮影紀行、信太山駐屯地祭第37普通科連隊。

 お楽しみに。

HARUNA

(本ブログの写真及び文章は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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海上自衛隊厚木基地 平日散策の勧め

2006-04-12 11:29:49 | 海上自衛隊 催事

 信太山駐屯地祭の日程や当日の天候といった複合要因で小生は四月八日の厚木基地桜祭りへの展開を断念したが、今年度は毎年恒例の「ちびっこヤングフェスタ」が中止となっており、あとは盆踊り位しか期待できる行事は無いという。

Img_4352  しかしながら、厚木基地は平日行ってみても中々楽しめるという事を本日の記事としたい。

 厚木基地は小田急線にて新宿から展開が可能で、比較的撮影は容易である。昨年度ブログに掲載した既出写真を含め再度ご案内を行う。海上自衛隊厚木基地は米海軍の艦載機部隊のホームベースとしても知られ、同部隊の移転は普天間ヘリポート移転と絡み、米軍再編問題の一大テーマである。

Img_4378  厚木基地の所属部隊は、航空集団司令部、第4航空群、第51航空隊、第61航空隊、航空管制隊、航空プログラム開発隊、厚木航空基地隊である。

 なお、最新鋭のSH-60K哨戒ヘリコプターやMCH-101掃海輸送ヘリコプターの評価試験が実施されているのも厚木基地である。画像偵察機UP-3(改良型の通称はエアボス)の配備基地でもあることで知られ、非常に珍しい機体も見る事が可能だ。

Img_1030  しかし、航空ファンにとっては西太平洋艦隊航空部隊司令部とタスクフォース70の空母キティーホーク艦載機が配備されている事で有名である。米軍再編により同部隊が岩国に移転すれば海兵隊の第12海兵航空群とあわせF/A-18の一大拠点となろう。

 艦載機がいれば、横須賀基地にキティーホークが入港している、若しくは近海を遊弋していることを意味し、そのまま東京から京浜急行にて横須賀に展開するのも一興である。

Img_4344  厚木基地は正門付近は通常、神奈川県警が警備しており、安易に撮影すれば拘束される恐れがあると、厚木基地広報の方殻教えていただいたが、基本的に基地のフェンス外から撮影する上では問題は無いという。相模原鉄道線付近からであると滑走路の端にあたり、恒常的に上空を航空機がフライパスするという稀有な状況に恵まれる。

 写真は1630時頃の撮影であるが頻繁にタッチアンドゴーを繰り返していた。

Img_4321  厚木基地であるが、終戦に断固反対し、徹底抗戦を叫び蜂起した海軍第302航空隊の基地として知られる。戦後、米海軍機飛び交う基地周辺の空き地に続々住宅街が林立、陸上空母発着訓練に対する苦情が政治問題化、今日の米軍再編の一大テーマとなったが、余りにもミクロ的な問題と感じるのは小生だけであろうか。

 さて閑話休題、このように厚木基地は平日に展開しても充分見応えのある基地である事がお分かりいただけたであろうか。なお、安全保障という国際問題に直接関係するだけに、お出かけの際や現地では充分に自己の行動に責任を持ち、マナーを心がけなければならないのは云うまでもない。

HARUNA

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久居駐屯地祭(第33普通科連隊)展開を検討中の方へ

2006-04-11 15:41:38 | 北大路機関 広報

■北大路機関 広報

 四月二十三日(日)、三重県久居市に所在する陸上自衛隊久居駐屯地におきまして駐屯地祭が実施されます。この情報は陸上自衛隊中部方面隊ホームページにおいて公開されていました。

Img_0714  写真は本ブログにも短報を掲載しました第37普通科連隊駐屯地記念行事の写真ですが、久居駐屯地には第33普通科連隊が駐屯しています。

 第33普通科連隊は名古屋市守山区の守山駐屯地に司令部を置く第十師団指揮下にある部隊で、第37普通科連隊は伊丹市の千僧駐屯地に司令部を置く第三師団の指揮下にある部隊です。普通科連隊は、師団改編により従来の本部管理中隊、四個普通科中隊、重迫撃砲中隊に加えて対戦車中隊が新設されていますので、その作戦能力は従来編成のものと比べ大きく向上しているといえます。

Img_9866  駐屯地までの交通ですが、近鉄久居駅の徒歩圏内に駐屯地はあります。

 写真は明野駐屯地に向かう途上に撮影したもので、駅のホームの向うに“第33普通科連隊”という記載が為された建物が見えます。正門までの正確な距離は目下調査中ですが充分に歩いていけるという事がこの写真からお分かりいただけると思います。

 所要時間及び費用を挙げますと近鉄名古屋駅から急行で約73分、交通費は片道1040円です。また、写真には一般の駐車場のようなものが写っていますが、鉄道利用の方が無難でしょう。当日は多くの方が車両乗り入れをしますと周辺の交通に大きな影響が及ぶ事を留意した上で慎重にご検討下さい。

Img_9864  久居駐屯地に駐屯する第33普通科連隊は、中部方面隊で最も初期に軽装甲機動車の配備を受けた部隊で、推測ですが2001年度末に配備されたようです。2002年度の中部方面隊記念行事において第33普通科連隊の軽装甲機動車は観閲行進に参加しました。なお、確度の高い情報としまして、2001年度末に配備された軽装甲機動車は14輌といわれています。

 写真は同じく近鉄電車車内から撮影したものですが、車輌置場とみられる場所には多数の高機動車が配置されているのが確認できます。訓練展示の有無は不明ですが、実施されるのであれば、重迫撃砲、対戦車ミサイルと協同し、普通科部隊による攻撃前進や占領、若しくは閉所戦闘の様子が展示されるのかもしれません。

Img_0378  観閲行進に参加する車輌は不明ですが、恐らく今津駐屯地からは第十戦車大隊の74式戦車が、豊川駐屯地からは第十特科連隊のFH-70榴弾砲が、春日井駐屯地からは第十後方支援連隊や第十施設大隊、第十偵察隊が、そして明野駐屯地からは第十飛行隊のヘリコプターが参加すると思われますが、2005年度第十師団記念行事では、UH-1J×1、OH-6D×2、UH-60JA×1、CH-47D×1の祝賀飛行が行われ、特にUH-60JAやCH-47Dは第十飛行隊以外からの参加ですから、地理的に近い事もあり、最新鋭のAH-64D戦闘ヘリコプターの祝賀飛行参加も僅かではありますが期待できます。

 久居駐屯地祭へのお出かけを検討中の方は以上の情報を参考にしていただけると幸いです。

北大路機関

(本情報は北大路機関の行動計画に基づき収集したもので変更などの情報は各自自己責任にて実施をお願いします、明示の展示内容は天候その他により変更される事がありまして、その実施を北大路機関が保証するものではありません)

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陸上戦闘 戦車の有する意義を再考する

2006-04-10 13:16:09 | 防衛・安全保障

■戦車の時代は終わったのか

 幾つかの駐屯地祭を巡りつつ、いわば無駄話零細時間の有効活用として、自衛官の方々と色々な話をしてみる。陸上自衛隊は転換期にあり、ハード面では60式装甲車、60式自走無反動砲、35㍉高射機関砲L90というような装備が第一線を退き、解体、または永久展示という第二の人生に移行する中、装軌式車輌や戦車、特科火砲から軽装甲機動車のような装輪装甲車を主体とした編成への移行が今後の陸上戦闘において不可欠であるとのお話を方々で伺っている。

Img_3739_1  軽装甲機動車は、乗車戦闘を念頭に開発された四輪駆動の小型装輪装甲車で、小銃弾に対する防御力と高い路上機動力を備えている。年間200輌前後が陸上自衛隊へ配備され、警備用に航空自衛隊も配備を進めている。

 既に小生が確認した限り、第十師団隷下の35、14、33、49普通科連隊、第三師団隷下の36、7、37普通科連隊一部中隊に配備されており、全国的に配備が進められているようだ。車輌はMINIMI分隊軽機銃座を有する車輌と、01式軽対戦車誘導弾と89式小銃を用いる車輌の二両で一個小銃班を構成する。

 冷戦時代から陸上自衛隊の予算が、戦車の更新、地対空ミサイルホークの近代化、ヘリコプター関係予算に重点配分された関係で普通科部隊の装甲化が遅れていたが冷戦後になり漸くこの点が是正されたといえよう。

Img_0595  一方で、新防衛大綱制定後、戦車勢力を冷戦時代の半分にまで削減され、第13戦車大隊は戦車中隊へ、第五戦車大隊、第三戦車大隊が戦車隊に格下げとなっている。同時に特科連隊も特科隊などへの改編が行われ、一部では普通科連隊を連隊戦闘団に組織する際に全ての普通科連隊に対して戦車中隊や特科大隊を配属させる事が非常に困難な状況となった閉まっている。

 隊員の方々のお話では、普通科連隊が中心となる連隊戦闘団では、戦車の数量がある程度少なくても任務遂行に支障は無いといい、かつて各普通科中隊の無反動砲小隊に配属されていた60式自走無反動砲に対しても、近接戦闘に際しては展開が困難で用途が限定される、との話であった。

Img_0178  また、戦車の脅威に対しては、普通科隊員の方のお話では、専ら対戦車ミサイルによって対処可能との話であった。

 1973年の第四次中東戦争以来、戦車が固定陣地を攻撃する際には歩兵による対戦車火器駆除を充分行わないうちに戦闘を行えば大きな損耗が生じる事が戦車戦闘における大原則となっている。

 2000年代に入り、01式軽対戦車誘導弾や96式多目的誘導弾といった新装備配備が行われた 普通科部隊からすれば、あくまで小生が会話の端々から推測したものではあるものの、進出に時間が掛かり、秘匿性に問題のある戦車の重要性は下がっているといった感じさえ受けた。

■ゲリラコマンド対処

 陸上自衛隊では、1999年における北朝鮮工作船浸透事案のあたりから、ゲリラコマンド対処の重要性が提唱され、新しい脅威への対応をスローガンに、都市部における閉所戦闘や、少数の特殊部隊浸透に対して対遊撃戦を以て無力化する訓練が全国規模で展開されている。

Img_8587_1  また、こうした風潮は普通科部隊だけに留まらず、誌上報道を参考にするならば普通化連隊の訓練に要員を参加させる形で機甲科や特科、はたまた需品科や輸送科というような後方支援職種の隊員までも近接戦闘に対応する訓練を展開しているという。

 イラク人道復興支援派遣任務には施設科や輸送科というような後方支援職種が任務遂行上の主力であり、また本来業務格上げとなる国際貢献任務に際しても、スーダン派遣など一部で囁かれるように今まで以上に緊張度の高い地域への派遣の可能性が上げられ、従来型の野戦特科による撹乱射撃、攻撃破砕射撃による漸進的攻勢防禦、機甲科・普通科による突撃破砕射撃、特科による攻撃準備射撃の下で機甲科による敵防禦線の無力化と続く普通科による突撃占領というような戦闘形態は過去のものになりつつあるというような印象も受けなくは無い。

Img_2433   屋内に立てこもるテロリストの排除というような状況であれば、確かにヘリコプターや軽装甲機動車で防禦の下で接近し、屋内に進入、市民への損害を避けつつ至近距離にて89式小銃や9㍉拳銃を発砲、無力化するという構図に納得がいこう。

 しかし、単一の建造物に立てこもるテロリストや都市ゲリラの対処殲滅は司法警察業務に含まれるならば警察の機動隊銃器対策班や特殊急襲部隊SATの任務となる。無論、都市部における陸上戦闘は充分予想されるものではあるが、これは正規軍同士によるものを重点とし、都市ゲリラに対するものは傍流としなければならない。即ち米軍のファルージャ攻略のような都市部全域における地域制圧が主任務の際に市街戦は必要となり、また国際貢献活動における後方支援部隊の自衛に関する訓練が主体となる必要のほうが大きいのではないだろうか。

Img_2439  他方、重要施設防護や野外における対遊撃戦闘の重要性は痛感する。普通科は近接戦闘と地域占領に際する全般戦闘を受け持つものであり、当然そこには対遊撃戦も含まれるものである。

 だが、こうした中では普通科万能という考え方には賛成しにくい。というのも、直接火力支援に際しては朝鮮戦争における高地争奪戦やヴェトナムにおける市街戦、イラク治安作戦における戦車の治安作戦対応など、圧倒的な防御力を有し、高い夜間監視能力とを兼ね備える戦車の重要性は些かも減少してはいないと考える訳だ。

 少なくとも、原子力発電所などの重要施設防護に関しては重要な地区に戦車を置けば携帯対戦車火器を有する特殊部隊がその有効射程距離に入る前に発見する事や、また土嚢などにより防護策を講じていれば第一撃での被無力化も防ぐ事が期待できる。

Img_0217_1  直接照準にて戦車砲を正確に発射する戦車は、本質的には練度が高いだけの軽歩兵である特殊部隊にとっては天敵というべき存在であり、同様に装甲戦闘車が運用する正確な照準の下での機関砲も脅威である。

 また、市街地においても明確に敵の位置が把握されている場合を除き、例えば待伏のような突発的戦闘に際しては防御力の高い戦車の重要性が上がる。加えて対戦車榴弾を選択すれば貫徹力が限定されている関係で都市ゲリラが構築した応急銃座が置かれた部屋に被害を限定して無力化が可能である。つまり、ゲリラコマンド対処には、戦車もかなり有力な装備となる事を此処に明記したい。

■戦車の本質の再考

 戦車とは、陸上戦闘に際してその衝撃力と機動力、全天候作戦能力を併用し、機動打撃の主柱として、また地点防禦の要衝として用いられるものであり、その地域突破能力と衝撃力では他の比肩し得る装備を見ない。

Fh000028  そもそも、戦史においては敵戦車を如何に無力化するかが重要であり、イラク戦争においてもカルバラ地峡殲滅戦において米軍の欺瞞情報に際して進出してきたイラク軍共和国防衛隊機甲部隊の撃破がバクダッド攻略の最後の一手となった。

 対戦車ミサイルが対戦車戦闘の決め手のように言われるがこれは誤解で、戦車は30㌢程度の直径の樹木であれば連続突破する事が出来る。74式戦車では過去に主砲後座防止措置が充分ではなかった為森林地帯突破時に主砲が樹木に当たり後座し、死亡事故に発展した事があるが改善されたと聞く。

Fh000016  森林地帯であれば、レーザー誘導方式のミサイルであれば乱反射で、有線誘導方式のミサイルであればワイヤーの絡まりにより誘導は非常に困難であるし、そもそもミサイルが樹木に衝突し命中以前に爆発飛散してしまうだろう。発射位置をブラストで発見されれば戦車は同軸機銃により対戦車火力を無力化してしまうだろう。

 また、平野部においても熱線暗視装置を充分に保有していなければ濃霧時に戦車を発見する事は出来ず、逆に戦車に捕捉されてしまう危険がある。夜間も暗視装置の性能では携帯式よりも戦車に搭載された車載式のものの方が索敵距離が長く、先に発見される危険がある。しかし仮に我がほうに戦車があれば、徹甲弾を送り込み、撃破が可能である。

Fh010015  しかも、戦車は攻撃を受ければ発煙弾を発射し煙幕を形成する。

 対戦車ミサイルを運用する側に煙幕を通して敵戦車を発見する能力が無ければ対応は不可能となり、煙幕が晴れるまでの間待たなければならない。戦車に第三世代戦車が標準装備する熱線暗視装置があればその間射撃が可能であるし、搭載していなくともその間に退避し、態勢を立て直すであろう。このように、対戦車火器は防禦時の受動的な手段であるとの認識をするべきであろう。

Img_6989  対戦車ヘリコプターと戦車の関係であるが、確かに戦車は分が悪い点が否めない。自走高射機関砲が同行していなければ携帯SAM、若しくは仰角が間に合えば戦車砲、射程が短く気休めだが機銃位しか有効な対処法が無い。

 しかし、ヘリコプターには全天候作戦能力が限定されているものが多く、戦車も既にイスラエルでは主砲発射対空ミサイルの研究が進んでおり、大型散弾というべきフレシット弾であればヘリコプターへも対処が可能となろう。技術は完成と同時に陳腐化がはじまり、言い換えれば完熟となることはない。

 対して、根本的な疑問として、わが国に侵攻する仮想敵が戦車とともに上陸してくる可能性があるかとの疑問に対しては、“敵が上陸する”という仮定があるならば、“戦車とともに上陸してこない確証は何か”という問いを返したい。

HARUNA

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陸上自衛隊 信太山駐屯地祭 短報

2006-04-09 21:38:15 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

■信太山駐屯地祭

 大阪府和泉市に所在する陸上自衛隊信太山駐屯地において、駐屯地創設49周年記念行事が実施された。同駐屯地は、大阪府唯一の普通科部隊駐屯地であり、駐屯地そのものも、米軍管理時代以前は帝国陸軍の砲兵連隊が駐屯していた由緒正しき帝国防衛の拠点だった。

■第37普通科連隊

 駐屯地に駐屯する第37普通科連隊は伊丹駐屯地の第36普通科連隊、福知山駐屯地の第7普通科連隊とともに第三師団を構成し、京阪神地区及び日本海若狭湾地域の防衛を受け持っている。2005年度末、第三師団は即応近代化師団に改編され、戦車大隊、特科連隊を縮小し戦車隊、特科隊に縮減した一方で、各普通科中隊を増強、全連隊の一部中隊へ軽装甲機動車の配備が完了し、対戦車中隊を新編、対戦車誘導弾などを更新した。信太山駐屯地には第37普通科連隊の隊員1200名が駐屯している。

■記念行事

 記念行事は観閲部隊入場、観閲式、指揮官訓示、指揮官巡閲、観閲行進、訓練展示、装備品展示の順番で行われた。また、展示広場には、春日井でみたアノ新装備も置かれていた。今回はその様子を短報写真にてお伝えしたい。

 HARUNA

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京都 八坂神社・円山公園・高台寺・高瀬川夜景写真

2006-04-08 11:05:09 | 写真

■京都 神社仏閣巡り

 京都はいよいよ、桜が満開に近付いてきた良い時期である。情報によれば、阪神地区は散り始め、中京地区、特に名古屋市内は満開と聞くが、京都市内は開花時期が若干遅れているようだ。だんだん、今日と観光ブログ化してきた観は否めないが、実は小生、ここまで京都観光や撮影を熱心にやったのは初めてである。暫くお付き合いいただきたい。

 さて、清水寺、二条城と夜間特別公開の写真撮影を実施してきたが、私事ながら小生の学部時代、同じ専攻にて机を並べ、憲法や国際法について議論を交わした友人が研修にて神戸より長躯京都に来ていることで、京都らしい事、という発想から上記の八坂神社、円山公園、高台寺、そして繁華街にある高瀬川の桜を撮影し、高瀬川に面した鉄板焼屋にて近況報告を交わした。その際の写真を今回は掲載したい。

 参考までに地理的な補足を行うと、八坂神社は祇園に隣接する神社で、新京極や試乗河原町といった繁華街から鴨川を越えたところにある。京阪四条駅、阪急河原町駅から程近く、京都市営地下鉄東西線東山駅から徒歩圏内にある。JRの場合は山陰線二条駅から地下鉄東西線六地蔵行きに乗り換え、十五分ほどでいける距離だ。

 八坂神社は先日掲載した清水寺への参道の起点でもあり、円山公園、高台寺、そして参道の店舗街の上り坂をあがると清水寺に通じる。今回は時間的な関係上、清水寺は断念し、再び鴨川を渡河、繁華街にある高瀬川沿いの店に入り、夜桜を見物しつつ鉄板焼きに舌鼓を打った次第だ。なお、高瀬川とは森鷗外の『高瀬舟』の舞台となったことで知られる。なお、写真冒頭 の風景は午前中に共同研究室より撮影した母校である。五つの学部と七つの研究科が置かれるキャンパスだが、写真にはその内二つの学部校舎が写っている。

HARUNA

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京都 二条城 春期夜間特別公開撮影紀行

2006-04-07 23:53:55 | 写真

■二条城

 昨日、京都市中京区にある二条城の夜間特別公開を撮影した。清水寺に引き続き、その様子を写真を通じ紹介したい。

 大政奉還という今日の日本を形成した国体への転換点の舞台となった二条城は、京都市内の繁華街や御所からも程近く、堀川通に面し、JR二条駅や京都市営地下鉄二条城前駅からの交通が良好な立地にあり、桜の時期にはライトアップと夜間特別公開が実施される。二条城の入城料金は400円、特筆する情報として、脚立は使用禁止である。

 今回は、先日報じたとおりの高台にある清水寺夜間特別拝観に引き続き、市街地に所在する二条城の桜を通じて、京都市内の桜の状況を知る上で一助となる情報の提供にある。城前の桜花掲示板によれば、ソメイヨシノは満開、ヤマザクラは五分、シダレザクラは三分咲きであった。京都展開の際には参考情報の一つにしていただければ幸いである。

HARUNA

(本ブログにおける文章及び写真は北大路機関に著作権があり無断転載は厳に禁じる)

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信太山駐屯地祭(第37普通科連隊)展開を検討中の方へ

2006-04-06 16:03:19 | 北大路機関 広報

■北大路機関 広報

 四月九日、大阪府和泉市にある陸上自衛隊信太山駐屯地において駐屯地祭が実施されます。大阪府下唯一の普通科部隊として第37普通科連隊が駐屯しており、他の駐屯地より駆けつけた第三師団隷下の部隊が参加する観閲行進や、空包を用いた訓練展示が行われるようです。

 中部方面隊HP、大阪地方連絡部HPでは詳細が明記されていなかった為、駐屯地広報の方へ電話にて問合せを行いましたところ、駐屯地祭は0900時より開始との事です。これは推測ですが、式典は各駐屯地の例を見る限り1000時より開始である為、部隊の式典会場入場は0945時頃に行われるものと思われます。

 駐屯地広報の方からのお話ではJR阪和線信太山駅から駐屯地まで、0850時より連絡バスが運行されるとの事です。駐屯部隊の規模としましては春日井駐屯地より若干少ないですが、駐屯しているのは普通科連隊ですから、高機動車の車列による勇壮な観閲行進が期待できます。訓練展示ですが、恐らく閉所戦闘訓練展示が行われるのではないでしょうか。同駐屯地には連隊本部前に退役したV-107大型ヘリコプターが展示されているとの事で、詳細は本ブログにてご報告したい所存です。

 第37普通科連隊は、本部管理中隊、四個普通科中隊、一個重迫撃砲中隊より編成されており、他に対戦車火力として無反動砲小隊が各中隊に配属されていましたが連隊改編により対戦車中隊に置換された可能性があります。なお、同部隊は映画『ガメラⅢ』において巨大生物撃退の為、奈良県明日香村に出動したという設定の部隊です。映画では実際に演習場において空包を用いた戦闘の様子が撮影されており、64式小銃や62式機銃の発砲シーンがありました。高機動車や82式指揮通信車といった装備や駐屯地の様子も劇中に出ていますので見比べてみるのも一興でしょう。

  なお、目安として大阪駅からの所要時間は約五十分、費用は片道540円。

 京都からは目安として、阪急線大阪乗換えで二時間十五分、費用は片道930円です。

北大路機関

(本情報は北大路機関の行動計画に基づき収集したもので変更などの確認は各自自己責任にて実施をお願いします、明示の展示内容は天候その他により変更される事がありまして北大路機関が保証するものではありません)

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