北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

沖縄“県民集会”で海兵隊撤退を求める声、在沖海兵隊なき日本防衛戦略を模索する必要性

2016-06-20 23:11:37 | 国際・政治
■独力防衛、検討の余地は必要
 沖縄県知事主宰の沖縄米軍属事件追悼行事においてアメリカ海兵隊の沖縄からの撤退を求める声が大きく主張、ロイター通信やAFP通信など海外メディアも報じる事となりました。

 アジア太平洋地域の一員である日本は、アジア太平洋地域での平和と安定が維持されなければ国家を維持できず、基本的に平和憲法に基づき周辺国での事態に対し介入できない日本では、独力での、つまり沖縄県を基点として西太平洋地域への平和維持へ大きな役割を担うアメリカ海兵隊を撤退させたうえでの安全保障政策は有り得ない、という前提ではありますが、このアメリカ海兵隊撤退を望む声が広範に広がることがあるならば、その可能性を肯定的に考える選択肢は絶無とすべきではありません。そこで、野党が仮に安全保障面で呈示出来得る施策から、日本独自の防衛力を、という提案を列挙してゆきましょう。軍属の犯罪で海兵隊の撤退要求、という視点は一つ、置いておいて。

 昨日、独力防衛力の整備のむずかしさを強調したばかりで恐縮ですが。そこで、嘉手納基地の米空軍第18航空団の航空戦力を維持した上で、第七艦隊との連携も視野に、自衛隊の能力により、在沖海兵隊なき日本防衛戦略を模索する必要性という視点から考えてみる事としましょう。単純な話ですが、安全保障協力法制や有事法制は冷戦時代に制定しておらず、当時の防衛庁は有事の際に衆参両院に一括し法案を提出し、即座に有事法制を発動するという非常に綱渡りの施策を考慮しつつ、ソ連軍の圧力を目の前に専守防衛を維持していました。

 冷戦時代の防衛力は戦車1000両、火砲1000門、13個師団2個混成団18万名、護衛艦60隻、潜水艦16隻、戦闘機350機、という防衛力を整備していました。潜水艦は冷戦時代よりも6隻増強されていますが、その他の装備は縮小されており、戦車700両、火砲700門、4個師団、人員3万5000名、護衛艦12隻、戦闘機70機、を造成すればその水準に戻す事が出来るもので、非常に単純な視点ではありますが、まず、提案として、“海兵隊に依存しない防衛力の再整備”を念頭に、防衛力の総合再構築を、実行する施策は考えられるでしょう。

 実際問題荒唐無稽、と思われるかもしれませんが、旭川の第2師団のような、戦車連隊、3個普通科連隊、特科連隊、を中心とした防衛力を整備し、展開させる事は不可能ではありません。ただ、現代陸上戦闘の前線火力を考慮すれば、装甲化しなければ部隊が生き残る事は出来ず、重装備に見合う師団の装備体系は相応に大きなものとなるでしょう。その上で、13個師団2個混成団の編成の内、混成団は四国と沖縄に配置されていますが、四国の混成団を山陽山陰地区の師団管区へ編入するかたちで沖縄に転地し、沖縄に2個混成団を配置し、実質師団を置く体制に近づければ、海兵隊を沖縄に置かない、日本防衛の体制は構築する、少なくとも構図だけは成り立つ。

 戦闘機に関しても、冷戦時代と比較し数の上では70機、定数が縮小しています。その分早期警戒管制機や戦闘機教育部隊が増強されているのですが、一方冷戦時代には補助戦闘機として使用可能な型を含む超音速練習機が90機以上配備されていました。この点について、航空自衛隊が練習機と攻撃機を併用できるジャギュア攻撃機、またはJAS-39戦闘機、などを160機程度導入し、F-4の後継機となるF-35戦闘機と併用運用する態勢を乞うしくすれば、少なくとも冷戦時代の水準には戻ります。JAS-39は航続距離が限定される小柄な戦闘機ですが、中立政策を採ったスウェーデンの戦闘機ということで、増勢には世論の理解も得られる部分は出てくるかもしれないところ。

 護衛艦については、護衛艦隊の32隻という護衛艦は能力的に十分なものを有していますので、地方隊に冷戦時代沿岸防衛用に配備された護衛艦、横須賀、佐世保、舞鶴、呉、大湊、の地方隊へ2個護衛隊各6隻程度の護衛艦が配備されていましたが、沿岸防備と対潜戦闘を展開し得る満載排水量で3000t程度の護衛艦を、あぶくま型が2800tですので若干強化した護衛艦を量産することで、数の上では冷戦時代の抑止力の水準を再構築することはできます。

 この水準の防衛力を整備した上で、日本独自の防衛力を整備し、沖縄の海兵隊駐留を前提としない独自の防衛力を検討する端緒につけるのだろう、こう考える次第です。現代の海上戦闘や航空戦闘は冷戦時代の数的優位と質的優位の均衡が大きく転換していますので、数的整備に着手した場合、個々の装備の取得費用や全体のシステムとしての整備費用は大きく増大する事を意味しますが、米軍の負担、米軍駐留による沖縄県民への負担を日本全体が防衛力を整備する負担に置き換えて防衛力を整備する、こうした主張は、特に野党の駐留なき安保を求める視点からはあってしかるべき、ではないでしょうか。

 日本は憲法の問題から周辺情勢へアジア西太平洋諸国の一員として防衛上の責任を共有する事が出来ない、という問題がありますが、野党ならば一つの選択肢があります、それはベ平連、です。ベ平連、という、ヴェトナム戦争時代にヴェトナムに平和を求める市民運動がありました。この視点から、日本の防衛力をヴェトナムやフィリピンと協同し、防衛協力を図るという選択肢を含めればもう一つ、日本の防衛負担を日米同盟にのみ求めず構築する事が出来るでしょう。野党の視点ですが、左翼運動としてヴェトナム戦争時代にベ平連へ参加した代議士が多い野党ならば、今こそベ平連、としてヴェトナムとの防衛協力を進める事は出来ない案ではありません。

 防衛力を冷戦時代の数的規模に再構築し、その上でヴェトナムやフィリピンとの防衛協力を維持する、アメリカは海兵隊を沖縄に置かない体制で海兵隊主力をグアム若しくは可能であればフィリピンに移転させ、その上でアメリカ第七艦隊やアメリカ第五空軍、陸軍第1軍団と協力し、自衛隊の能力と連携させる、こうした施策です。海兵隊撤退を、という提案だけで許されるのは小学生の学級会までです、中学校の生徒会以上となれば代案が無ければなりません、野党が代案を示し反対したのは民主党政権時代の野党自民党位のもので、現代の代替電力なき原発反対、財源無き所得再配分促進、などなど、現実味を欠いた野党の提案を越えた、現実的な案として防衛力整備へ国民の理解を求め、その分、沖縄の海兵隊基地負担の代替案とする、こうした視点を示してみました。

北大路機関:はるな くらま
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アメリカのリスク 大統領選にみる変容と国際公序再構築【5】 スイス型防衛戦略を採用するリスク

2016-06-19 22:03:09 | 国際・政治
■スイス型防衛戦略採用のリスク
 アメリカのトランプ氏の意見を文字通り尊重し、我が国がスイス型防衛戦略を採用するリスク、という視点から防衛負担の問題を見てみましょう。

 アメリカの悪夢は日本が自国を一国だけで防衛する、スイス型の専守防衛への転換でしょう、国土を戦術ミサイルや機械化部隊で徹底要塞化し第三国に使わせないことで中立を勝ち取る事です。トランプ氏は日本に一国での自国の防衛力整備を促していますが、世界の海洋安全保障政策において海上自衛隊の護衛艦部隊と陸上哨戒機部隊の代わりとなる勢力は中々ありません。

 そして、米軍施設など我が国の米軍駐留経費を全て地対地ミサイルや機械化装備と戦術戦闘機の調達へ移行すればかなりの正面装備を調達し維持する事が可能となりますので、文字通り日本国土から一切出ないが入ってくる外的は確実に消滅させるというスイス型防衛政策へ転換する事は不可能ではない、という事です。

 シーレーン防衛をかなりの部分で断念し保護貿易政策へ転換しつつ、国土の徹底した陸上戦力及び航空防衛力へ転換した場合、これは不可能ではありません、が、この場合、中国海軍及びロシア海軍の太平洋における行動を阻止するにはアメリカ海軍が主体となり西太平洋方面へ艦隊を遊弋させる必要性が高まります。

 実際問題としまして、海上自衛隊の護衛艦部隊の勢力は膨大であり、満載排水量5000t以上の大型水上戦闘艦総数では海上自衛隊は中国海軍を依然として凌駕しています、海上自衛隊護衛艦の主力は6000t前後の汎用護衛艦であり、対艦対空対水上の能力において均衡がとれた防衛力を構成しており、大型水上戦闘艦の総数では欧州NATO諸国の海軍力全体に準じる規模を有しています。

 加えて掃海艇による対機雷戦能力はアメリカ海軍を上回る規模を有しており、海洋哨戒航空部隊はアメリカ海軍の半分強程度の規模でしかありませんがそれでも海上自衛隊航空集団の哨戒機は質と量双方で欧州NATO加盟国の海軍空軍哨戒航空部隊を凌駕する規模を有しています。

 この整備費用は膨大で、特に哨戒機は派生型を合わせ80機以上を運用しているのですが、哨戒機の調達費用は2000t級のコルベットに匹敵する費用を要します、仮に我が国がアメリカ海軍との協同を重視でき無い状況に転換する場合、哨戒機の多くの調達費用を沿岸用護衛艦へ移行する必要が生じてしまうでしょう。

 また、食料などの海洋輸送への依存度を高める事は有事の際の海上交通への重大な懸念と両立する事を意味しますので、農業生産品への更なる保護政策を強いられることとなるでしょう。逆にアメリカ海軍の負担は、大きく増大します。第一に、日本での艦艇基地を撤収しアメリカの拠点、グアム及びハワイの真珠湾へ後退した場合、どうなるのでしょうか。

 在日米軍の拠点はアメリカにとり重要です、簡単に自衛隊に移管したとして、自衛隊は例えば韓国軍の様にアメリカ軍の指揮下にあるのではありません。日本での展開には施設整備費用や借地料と周辺対策費用は元より、乗員の娯楽施設建設から運営費用と人件費まで、また電気料金もアメリカ自身が負担する必要が生じてくるわけで、この点アメリカには日本駐留以上の利点は無い。

 費用にして数千億円程度、アメリカの国防費全体から見ればアメリカが負担した場合でも大きすぎる負担とは言い切れませんが、アーレイバーク級ミサイル駆逐艦数隻分に匹敵する毎年の費用です。もう一つの不確定要素は、嘉手納や三沢と横田といった施設から撤収した場合、距離の負担が大きくなる。

 アメリカの海軍海洋哨戒機P-8Aでは西太平洋地域の哨戒飛行が航続距離の面から難しくなる点で、これは中距離旅客機であるボーイング737を原型とするP-8Aの想定外の飛行を求められることとなります、新たに航続距離の大きなボーイング777やエアバスA-330等を原型とする新型哨戒機の開発を行う必要も出かねません。更に、水上戦闘艦も、我が国の施設を使用できる意味の大きさを理解すべきでしょう。

 一方で、これは相互互恵の関係があります、日本は憲法上国土を大きく超えた領域へ展開する事は難しいのですが国家である以上その必要はある、そこで互恵関係が成り立つわけでして、逆に在日米軍は日本国土の防衛を元に非常に大きな能力を持つ自衛隊との関係と自衛隊により守られた、そして政治的に安定した同盟国の国土に非常に厚遇されて駐留する事が出来る。

 逆に日本自身の防衛力を高めアメリカが安定した日本国内の基地施設使用を望むのであるならば、日米地位協定の枠外の負担、思いやりという表現のほかない、毎年護衛艦数隻分に匹敵する、同盟国としては駐留分担金以外の思いやり予算の費用を突き返して、娯楽や家族住居費用を米軍自身が負担するか家族を本国に置きその分の費用で自衛隊自身の近代化を求めてもいい程ではないか、とさえいえるのです。

北大路機関:はるな くらま
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将来小型護衛艦の量的優位重視視点【6】 沿岸の地対艦・地対空ミサイル・レーダー部隊と協同

2016-06-18 22:09:01 | 先端軍事テクノロジー
■警備隊が沿岸部で運用
 将来小型護衛艦の量的優位重視視点、ゆうばり型護衛艦を参考として、海上保安庁くにがみ型巡視船に範をとった建造方式を採用する、こうした視点から考えてみます。

 地方隊の警備隊が沿岸部で運用、という前提の背景ですが、これは沿岸部の部隊と連携するためにほかなりません。護衛艦はシステムと兵装の取得費用割合が大きく、実のところ小型艦艇であっても必要な装備を搭載すれば建造費は大きくなってしまいます、この点に留意しなければなりません。くにがみ型巡視船は海上保安庁が大量建造しており、昨今尖閣諸島警備用に大量配備された大型巡視船です。

 勿論、この巡視船を艦砲やミサイルを搭載、という発想ではなく、その建造方式です。くにがみ型巡視船、総トン数1700t、全長96.6mで全幅11.5m、ディーゼル推進方式を採用し最高速力25ノット、20mm多銃身機銃か30mm管制式単装機銃を搭載しヘリコプター甲板を配備する海上保安庁の巡視船です。

 しかし、特筆すべきは大量建造により船体建造費用を大きく低減させた点にあり、一番船くにがみ、同年建造もとぶ、の建造費は2012年就役で74億円を要したのに対し、2012年度予算予備費で2014年に4隻の建造再開を行った際は一隻当たり54億円まで建造費を縮小する事が出来ました。大量建造、もちろん一部装備品の省略も考えられますが、実に23%も縮小する事が出来た訳です。

 ゆうばり型護衛艦を再度大量建造する、という意味ではありません、というのも、ゆうばり型護衛艦は1980年代初頭の就役艦ですので電装品や兵装の陳腐化もさることながら、設計思想そのものが今日的には次元が異なるものとなっています。そこで、船体は同程度ですが、例えばデータリンク能力を重視し、システムネットワークを構成する、という視点が必要でしょう。

 艦艇を一つの自己完結したシステムと考えるのではなく、ひとつは、航空自衛隊の地上防空管制網の中での運用を念頭とし最大限陸上自衛隊の高射特科群や航空自衛隊の高射隊の03式中距離地対空誘導弾システムやペトリオットミサイルの防空網に隣接し、行動する、というものが考えられます、勿論、こうしますと余り沿岸部から離れる事は出来ません。

 対空レーダーの能力限界や対空戦闘能力の限界を元に、最小限度の個艦防空能力を保持し、一方で対水上打撃や対潜戦闘を展開できる能力を保持、ヘリコプターの運用能力は、これ負うよしようとした場合には船体がどうしても2000t規模に増大してしまいますので飛行甲板を有する範囲内にとどめるべきでしょう。

 ただ、航空機運用能力をすべて省くのではなく飛行甲板は維持、哨戒ヘリコプターは海上自衛隊が保有する機体は基本的に大型機であるSH-60がk本ですので格納庫を配置する事は難しいですが、可能な範囲内でSH-60規模の機体へは給油能力を有する程度にとどめ、TH-135やMD-500/OH-6程度の機体を、若しくは同程度の無人航空機の運用能力を保持させ船体周辺空域での海域哨戒能力を付与、という新しい発想を有する水上戦闘艦、が青写真として構想します。

 必要な視点は、将来三胴船構想やコンパクト護衛艦のような、前者については技術的途上部分を盛り込んでいるため実現に時間を要するという部分がありますし、コンパクト護衛艦については基準排水量が3000t程度を想定しているため満載排水量は確実に4000tを越えますので大型過ぎ短期間の大量建造には不向きとなっているものです。

 そこで、ここまで建造されている艦艇が護衛艦の枠に含まれる水上戦闘艦であっても、地方隊の警備隊に配備される程度の水上戦闘艦であり、最小限度の能力を、それも明らかに不十分であり実際の運用では不具合が指摘されるであろう部分を容認した上で、短期間で設計し建造できるものを想定しなければなりません。

 無理に掃海艇としての設計を盛り込めば、必要な船体の仕様は磁性特性や速力と音響特性からも異なりますし、多目的区画を配置し様々な用途に対応させようとすれば狭い船体が過度に大型化するか、中途半端な区画を持て余す事となるでしょうから、保守的でしかし早く建造できるものが、いま必要とされるものと考えます。

北大路機関:はるな くらま
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平成二十八年度六月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2016.06.18/19)

2016-06-17 22:00:00 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
沖縄では梅雨明けが報じられ、首都圏では梅雨の渇水という中、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 今週末の自衛隊行事は師団行事と航空部隊行事が行われます、一方、ヘリコプター搭載護衛艦いせ、が四日市港に入港するとのことで、このほか、自衛隊関連行事ではありませんが大阪ではガールズ&パンツァー関連イベントとしてジーストア大阪ANNEXにて、ラジコン戦車道“プラウダ雪原フィールド”が開催されるとの事です。

 第2師団創設66周年記念旭川駐屯地祭、道北を防衛警備管区とする陸上自衛隊の精鋭師団で軍都として栄えた旭川市に司令部を置きます、戦車連隊や自走榴弾砲で充足した特科連隊に装甲化中隊を有する普通科連隊など、敵を押し返すという本土師団に対し、敵を圧倒できる火力を有する師団の行事、是非見ておきたいお勧めの行事の一つです。

 航空学校北宇都宮駐屯地創設43周年記念行事、航空学校北宇都宮分校や第12ヘリコプター隊第1飛行隊が置かれる駐屯地で、UH-1やAH-1S,AH-64Dの生産を行う富士重工業宇都宮製作所も隣接しています。航空学校北宇都宮分校の行事という事でTH-480の編隊飛行が行われるほか、第12ヘリコプター隊第1飛行隊はUH-60JAを運用する部隊です。

 北部方面航空隊創設63周年記念丘珠駐屯地祭、北部方面航空隊は北部方面隊の全般航空支援委当たる部隊で、北部方面ヘリコプター隊が丘珠に展開する他、帯広に第1対戦車ヘリコプター隊が駐屯しています。丘珠飛行場は札幌空港とも呼ばれ、札幌市内にあり、千歳市の千歳空港の補完的な役割を担いました。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭
・6月19日:第2師団創設66周年記念旭川駐屯地祭…http://www.mod.go.jp/gsdf/nae/2d/
・6月19日:北部方面航空隊創設63周年記念丘珠駐屯地祭…http://www.mod.go.jp/gsdf/nae/11d/jgsdf-post/images/okadama/
・6月19日:航空学校北宇都宮駐屯地創設43周年記念行事…http://www.mod.go.jp/gsdf/eae/12b/haichi/haichi/0404kitautsunomiya/kitautsunomiya.htm

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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イギリス欧州連合離脱国民投票6月23日実施、その安全保障上のリスクを検証する

2016-06-16 22:20:42 | 国際・政治
■イギリス欧州連合離脱問題
 イギリス脱退はありえるのか、欧州連合からのイギリス離脱是非問題について今回は考えてみましょう。

 欧州連合からのイギリス離脱是非問題はいよいよ来週6月23日に国民投票となりますが、土壇場になって離脱派への支持が大きくなっているとの報道がでており、世界経済におけるイギリスリスクというものが現実味を帯びています、イギリスへ世界各国が投資する工場は、現時点で欧州へ関税を掛けず輸出する事が出来ますし、多国間国際分業による、欧州で製造した部品をイギリスで組み立てる、あるいはその逆の手法に関税がかかり、イギリス国内の欧州連合の一員としての地位が失われます。

 イギリス脱退か否かは結論を待たねばなりません。イギリスは、代わりの案を出していません、例えば英連邦諸国との貿易投資自由化協定やTPP加盟などの施策を採っていませんので、単純にイギリスからの産業が失われる危惧がある訳です、また、欧州通貨基金からの完全な遮断も大きな打撃となるでしょう。少し考えればわかるのですが、イギリスのEU脱退におけるリスクの最たるものは、EUに加盟したイギリスがポンドを維持しユーロを導入していない、為に欧州通貨基金の緊急帰還規制の枠外にいる、という点をイギリス刻印は其処からの恩恵を忘れている、というものです。

 欧州連合、イギリス脱退となればどうなるのか。欧州通貨基金に加盟するユーロ導入諸国は金融機関の自己資本比率規制や、金融取引における手数料規制などの監督を受けますが、イギリスはEUに加盟しており資本の移動が自由化されていますが、欧州通貨基金の規制を受けません、この為株式取引の手数料を欧州全域よりも若干低くすることで、欧州全域の金融取引拠点として金融業が製造業に代わる基幹産業となった訳でした、この利点が失われる、イギリス国民は今後、製造業へ後退し国家を支える必要が出てくる、このリスクを正しく理解させられるのかが、問題となるのではないでしょうか。

 一方、この問題を防衛安全保障問題としてとらえた場合のリスクですが、イギリス脱退と仮になった場合、EUは欧州共通安全保障政策として外交防衛分野での協力を展開しています、論理の上からはEUをイギリスが脱退する事で共通安全保障政策へ齟齬が生じるのではないか、というものは一応間違いではありません、ただ、欧州連合はその草創期こそ、欧州の普遍的な安全保障協力枠食い、NATOの代替としての枠組構築を志向した事はありますが、元々経済協力機構としての枠食いを基点に地域統合へ進んだ欧州連合と、同盟条約であるNATOとの機能の相違は大きいものでした。

 欧州連合は最終的に協力枠組みは軍事分野以外の要素が多く介在する事から合意形成や軍事指揮権への拡大への各国間の齟齬を克服する事は出来ず、当初構想されたEU緊急展開部隊構想も、部隊指定などは実施されたものの派遣や部隊運用への軍事参謀委員会設置や装備品共通化と訓練体系の共通化は実現していません、この枠組みを揃えているのはNATOであり、更にNATOは2002年よりPFP協定として加盟国以外との防衛協力枠組みを構築、オブザーバー国制度など拡大し、EUはこれに代わる方式を呈示する事は出来ていません。

 イギリスはNATO加盟国であり、イギリス国内ではNATO脱退の機運は生じていません。また、NATOの枠組は装備体系の共通化や弾薬規格の統一、部隊編制の共通化への促進の取り組み、共通兵站基盤の構築、指揮系統と軍事参謀委員会の設置、部隊訓練評価基準の共通化、常設待機部隊の維持、運用体系の多国籍化、など防衛政策へ深くコミットしている為、関与する事での利益の方が、特に規範や枠組み構築への関与の度合いを創設以来高く維持している関係上、大きい、という点がイギリスとNATOの関係を高めているといえるでしょう。

 それでは安全保障上の問題は全く皆無であるのか、と問われますと実は冒頭に記した介在上の変動、という部分が大きく影響を及ぼし、欧州の安全保障へ深い影を落とす可能性があります。具体的にはイギリスが景気後退に陥る、特に基幹産業である金融業での欧州通貨基金との関係が完全に途絶する事での激変がイギリス経済に2007年の金融危機以来の変動を与えるほか、イギリス国内の製造業の欧州域内移転等を経て、欧州地域での多国間国際分業体制への影響は確実にドイツなどEU諸国の製造業を直撃します。

 安全保障上への影響は、この景気後退が欧州地域全域へ波及する場合で、更にイギリスがEU脱退を掲げる最大の理由である、東欧からの安い人件費の労働力の流入が停止する事は、東欧地域での大規模な失業者の発生を意味します。そしてこの東欧地域は、現在、ロシアとの緊張関係の最前線であり、特にポーランドなどは防衛力の強化を進めています。この地域での大規模な景気後退の波及は防衛力整備への影響はどうしても避ける事は出来ません。イギリス脱退を回避できることに妥協案を模索できることを切に願うのですが、仮に離脱する場合ならば、離脱の手続きと共に影響を局限化するソフトランディングの枠組を構築する必要がある、といえますね。

北大路機関:はるな くらま
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中国海軍艦鹿児島県領海侵犯!東調級情報収集艦855号が口永良部島西方海域へ侵入

2016-06-15 22:56:25 | 防衛・安全保障
■鹿児島に東調855号領海侵犯
 本日は最初にコンゴウさんの写真と共に昨日のメンテナンスに関するお知らせから。昨日は長時間のメンテナンスと終了後のアクセス不能、ご不便おかけしました。

 gooブログサービスによれば、メンテナンス完了後コメント機能をはじめ幾つかの機能に対し不具合が確認されているとのことです。また、記事掲載に関しても画像データ等の準備に時間を要する不具合が生じており、この他にも幾つかの仕様変更に伴う混乱が発生しています。今後改善されるとみられますが、しばらく不具合ご不便おかけします事となるかもしれません。

 今朝未明、中国海軍東調級情報収集艦855号が鹿児島県へ領海侵犯した事を海上自衛隊のP-3C哨戒機が確認、一時間以上にわたり我が国領海を航行する事案が発生しました、東調級情報収集艦は満載排水量6000tの電子情報収集艦で、この種の情報収集艦としては珍しく、複数の機関砲で武装しています。中国海軍艦艇の我が国領海侵犯は2004年11月10日の漢級原子力潜水艦領海侵犯事件以来二回目となり、防衛省では先日発生しました沖縄県中国海軍フリゲイト接続水域進入事案と併せ中国海軍の動向へ警戒を強めています。

 中国海軍情報収集艦が領海侵犯に至ったのは鹿児島県口永良部島の沖合で15日0330時頃口永良部島西方海域へ侵入しました。領海侵犯を行った情報収集艦は南東へ航行し鹿児島県屋久島沖合へ浸透、0500時頃に屋久島南方沖合で領海を出たということです。中国海軍はこの海域を国際海峡と主張しています、海軍艦艇に対しては国連海洋法条約に無害通航権が認められる場合がありますが、鹿児島県口永良部島屋久島沖合が航行しなければ他の海域へ通行できない国際海峡と主張する事には少々無理がある事は否めません。

 現在太平洋上では日米印共同訓練マラバール2016が実施されています。これは佐世保から沖縄県東方海域に掛け10日から17日まで実施されているもので、第3護衛隊群司令眞鍋浩司海将補、アメリカ海軍第3空母打撃群司令官マーカスAヒッチコック海軍少将、インド海軍東部司令部派遣部隊指揮官スニールVボカレ海軍少将、が訓練統裁官となり、海上自衛隊からはヘリコプター搭載護衛艦ひゅうが、等が参加し対潜戦、対水上戦、対空戦、捜索救難訓練、等を実施しています。中国海軍情報収集艦の目的はこの日米印共同訓練マラバール2016を受けての示威行動にあるのでしょうか。

 インド海軍と海上自衛隊の協力関係は、ともに海洋自由原則を共有する二国間での安全保障協力関係が、特に近年の中国海軍による海洋占有政策を掲げ自国以外の商船などを排除する行動に対し、南シナ海及び東シナ海での海洋交通を保持するという施策が時刻を含む周辺諸国の共通利益に繋がる事から強化されており、インド海軍艦艇の海上自衛隊基地親善訪問や観艦式への参加など関係を強化してきまして、今後も続くことでしょう。

 領海侵犯事案は、2004年の漢級原子力潜水艦領海侵犯事件以降中国海軍は我が国周辺での行動を大きく封じ込められることとなりました。この事件は北海艦隊青島海軍基地から出港した漢級原子力潜水艦が初のグアム方面への長距離航行を実施した帰路、日本領海を潜行したまま領海侵犯を行ったものです。潜水艦は浮上し旗国を明示した場合を除いて無害通航権を有しません、この為日本政府は即座に海上警備行動命令を発動しました。

 海上自衛隊は、ヘリコプター搭載護衛艦くらま、護衛艦ゆうだち、P-3C哨戒機により漢級原子力潜水艦を追尾していました。この際に海上自衛隊はパッシヴオペレーションとして音波などを出さない対潜オペレーションを実施していた為、漢級原子力潜水艦が自艦が完全に捕捉されている事を気付かず、護衛艦部隊に包囲されている事を知らないまま領海侵犯に至った為、日本政府は即座の行動をとり、作戦行動で潜行中の潜水艦が上空でソナーを降ろすヘリコプターと共に世界中に位置を中継されるという史上まれにみる程の大恥をかくこととなり、中国海軍潜水艦はこの海域で行動できなくなってしまった訳です。

 領海警備任務では海上自衛隊の奮戦は特筆すべきものです。先頃発生しました沖縄県中国海軍フリゲイト接続水域浸透事案では、当初報じられた護衛艦せとぎり、が中国海軍艦艇を警戒した際、せとぎり、が先に浸透したロシア海軍艦艇に挟撃される形を採られたような印象がありましたが、防衛省発表によれば、ロシア海軍艦艇に対しては海上自衛隊はミサイル護衛艦はたかぜ、を派遣し警戒しており、充分な体制を以て行動しています。

 今回の鹿児島県中国海軍情報収集艦領海侵犯事件は、その目的などについては今後の中国海軍の行動と併せて検証する必要がありますが、先日発生しました沖縄県中国海軍フリゲイト接続水域浸透事案を並び、中国海軍の我が国近海での行動が活性化している事を示します。併せて、中国海軍によりヴェトナムやフィリピンと摩擦が続く南シナ海での緊張状態と重なる部分も否定できず、西太平洋地域での新しい多国間協力関係を検討すべき時機が到来しているともいえるでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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原子力空母ハリーSトルーマン,六か月以上の対ISIL洋上作戦を地中海上で展開中

2016-06-14 12:55:56 | 世界の艦艇
■アメリカ巨大空母の激務
 北大路機関広報、お陰様をもちましてgooブログサービスメンテナンスが完了し、Weblog北大路機関閲覧も12時間ぶりに再開することとできました。

 十二時間にわたるメンテナンスは今回、メンテナンス実施中はブログサービスが全面的に中断される事となり、ご迷惑御心配をおかけしました。今後とも北大路機関を宜しくお願いいたします。それでは本日の記事は若干早い時間帯となりますが、原子力空母ハリーシップトルーマンの地中海での激務とアメリカの海軍航空母艦について、特にその一隻である空母ロナルドレーガンの事実上の母港としてアメリカ本土以外唯一空母が前方展開しています我が国の視点から知っておきたい実情について、みてみることとしましょう。

 空母ハリーシップトルーマンよりAFP通信が長く続く対ISIL作戦の状況を報じました、地中海に遊弋し半年を越えたとの事で、アメリカ海軍の航空母艦は5500名が乗艦し、70機前後の艦載機を運用します。この巨大な打撃力を持つ航空母艦は、世界の海軍艦艇においても最も激務の艦艇として知られ、また、艦内には売店や図書館にフィットネスジムはもちろん、テレビ放送局が置かれるほど充実した環境を有しているものの、一旦出港すれば平均して三か月間は母港へ戻る事が出来ません。

 今回のISIL対処作戦では、既に半年以上の長期にわたる作戦行動となっており、疲労感も相当となっているようです。何故これだけ長期間の作戦行動となるのか、と言いますと、世界には全通飛行甲板を有する艦艇を有する海軍は多々ありますが、艦載機を30機以上搭載できる艦艇は世界に25隻程度、フランスとロシアが各1隻、それ以外は全てアメリカ海軍の航空母艦と強襲揚陸艦です、それだけ数が限られており、貴重であるわけです。

 空母任務群指揮官のブレットバチェルダー海軍少将は、間もなく七か月を迎える海上での任務と共にチェス大会や歌コンテストなどを開きつつ、しかし隷下の乗員の多くは帰国を待ち望んでいる、としています。少将はアフガニスタンやイラクでの経験もあるとのことですが、流石に七か月間の任務、特に原子力空母は燃料を補給へ寄港する必要が無く、航空機用の燃料や弾薬、乗員への補給品は補給艦から受け取る事が出来、乗員の疲労感を感じているとのこと。

 空母勤務空母は全長330mと水上戦闘艦艇としては空前の大きさを有しますが、外を眺められる場所は限られ、特に広大な飛行甲板は全長330mの空間に通常の4000mの敷地を持つ空軍基地に匹敵する航空機を扱う関係上世界で最も危険な場所と呼ばれ、乗員は実に5500名、安易に日光浴を愉しむ事が出来ません、また、昼夜分かたず艦載機の発着を行う事から文字通り常に緊張が続き、文字通り乗員の使命感により支えられているといって過言ではないでしょう。

 しかし、アメリカ海軍の負担は着実に増えています、アメリカ海軍の航空母艦は年々減少しており、1990年代には15隻が運用されていましたが、現在はニミッツ級原子力空母10隻のみ、他方でISIL対処任務やアフガニスタン作戦支援、朝鮮半島の緊張や台湾海峡と東シナ海南シナ海での緊張へ対処しなければならず、空母一隻当たりの負担は確実に増大しているといえ、実際、かつてアメリカ海軍では最低でも15隻がなければ世界規模の展開が出来ないといわれていました。

 アメリカ海軍以外に正規空母、ニミッツ級に匹敵するような航空団規模の部隊を収容できる航空母艦を保有する動きが無い点ですが、これは一隻だけでは海軍の象徴的なものとしかならず、実用任務に充てる為には一隻が重整備中であってももう一隻を稼働させる体制が無ければ、艦載機の乗員の練度を維持する事が出来ません、これは僅か330mの滑走路でオーバーランさせれば海面に落下する状況での航空機を運用するために必要な訓練がある為で、しかし二隻の空母とその航空団を維持する事は、中堅国の空軍に匹敵する艦載機を揃える必要があり、とてもではありませんが予算をねん出できない為です。

 ただ、アメリカ海軍に対抗するべく中国海軍がロシア製中古空母を修繕し練習空母として運用しているほか、新たに国産航空母艦の建造を進めています。ロシア製航空母艦は発着装置に限界があり運用に上限がありますが、平時の周辺国威圧には多大な威力を発揮するため、平時におけるアメリカ海軍の任務は更に巨大化する事でしょう。我が国も全通飛行甲板を有する満載排水量27000tのヘリコプター搭載護衛艦を整備中ですが、今後世界規模のアメリカ海軍の展開と友好国の負担という問題も大きくなるでしょう。この点についても、同盟国である我が国は長い視点で考えてゆかなければならないのかもしれません。

北大路機関:はるな くらま
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榛名防衛備忘録:国際協力任務増大、護衛艦居住環境向上と通信教育体制強化の必要性

2016-06-13 07:00:34 | 先端軍事テクノロジー
■自衛隊長期任務への対応
 今夜零時を回ると同時に14日0000時よりブログサービスメンテナンスが開始され、1200時まで12時間閲覧不能となります。この関係から、同時刻でのコメント受付及びコメント公開も停止されます、ご注意ください。
予備ブログ:第二北大路機関…http://harunakurama.blog10.fc2.com/

 イオナさんの写真と共に今夜から明日正午までのメンテナンス情報を掲載しました。さて。横須賀で一杯やっていますと護衛艦乗員の方々とカウンターで雑談となる事は多々ありますが、海上自衛隊の方にはサブカルチャーに理解のある方も少なくなく、その中でも“蒼き鋼のアルペジオ”は人気があります、いいなあ、というのは、あのイ401、私物持ち込み放題だし食事も自動で出てくるし艦そのものがダメコンからCICの自動情報処理までやってくれてすごく楽そう、とのこと。1クルーで交代要員がいませんが、あれならば長くやっていけそう、というお言葉でした。それほどではなくとも、イギリスの駆逐艦は兵員室にIpodドックがあるらしい、BARがある、など羨望の声を耳にします。

 そのイギリス海軍の方が海上自衛隊の海洋安全保障シンポジウムにて語られたお話で、ソマリア沖海賊対処任務の派遣について触れ、海上自衛隊の護衛艦は水上戦闘艦であり、居住性を重視した外用哨戒艦のような艦船を整備した方がよいのではないか、という話題がありました。45型駆逐艦では極力乗員を個室、士官は最大限個室でそれ以外は下士官も個室、兵員室も少人数部屋を重視しているとのこと。

 フランス海軍のミストラル級強襲揚陸艦なども兵員室に客船設計を応用した設備を配置し、個人用居住区画などはフランス陸軍の陸上設備よりも高度な物が付与されているとのことです。もっとも、海上自衛隊も掃海艇などをみますと一人部屋といいますか、居室に名札が一枚、という個室の艦艇が存在しますので、居住設備は一概に過酷、とはいえないのかもしれませんが。

 ただ、護衛艦は、むらさめ型が少人数区画を多数配置していたのに対し、たかなみ型から大人数区画少数へ再編していますので、個人空間の確保という意味では険しい状況となっています。二段ベット方式の護衛艦が増えていますが、カプセルホテル方式程度の個人区画を設け、もちろん二段ベットのように乗員増大に応じ三段化することができない難点はありますが、施錠できずとも乗員環境に配慮した設計が、護衛艦の長期任務が増大する昨今、真剣に検討されるべきでしょう。

 自衛隊の海外派遣任務増大や、統合機動防衛力整備に関する待機部隊増大は、教育課程に通信教育の導入を必要とするようになるやもしれません。アメリカ軍では1990年代初頭から通信教育体制の拡充に努めてきまして、これは海外勤務要員の増大にたいして集合教育を行う限界が生じたための措置でした。もちろん、レンジャー課程などは通信教育にて行うことができませんし、調査学校が実施する一日17時間英語漬けというような語学教育を行うことは、部隊勤務と両立して行うことはできないでしょう。

 しかし、PCによる自習室方式の教育課程、電子通信回線の近代化は双方向遠隔教育を実現しており、すべての課程ではなく可能な分野に限定するという形で、たとえばMOSなど特技課程の座学を可能な限り通信教育により対応し、検定などの実技を絶対必要とする場合のみ、教導隊巡回協力や一日の集合教育などで対応できるやもしれません。しかし集合教育は人員と任務の増大に不均衡が生じている現状にはある程度解決策となるのではないでしょうか。

 現時点では通信基盤を構築する新しい予算をこうじるほどではなくとも、任務は着実に増大し人員は確実に減っていることは、過去十年間の任務増大や部隊増大などをみれば納得できるところ。また、零細時間の有効活用という意味から、課業時間でも駐屯地での待機時間がある場合に、二時間単位で録画教育映像を用いて教育を受ける体制があるならば、部隊全般の能力強化へつながると考えます。

北大路機関:はるな くらま
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航空防衛作戦部隊論(第三八回):航空防衛力、基地機能は戦闘機に匹敵する重要度

2016-06-12 22:08:48 | 防衛・安全保障
■拠点基地機能維持
 明後日14日0000時から1200時までの12時間、Weblog北大路機関はgooブログメンテナンスにより非表示となり閲覧不能となります。

 Weblog北大路機関閲覧不能の時間は12時間、日付が零時とともに変わり、午後のお茶の時間までとなります、その間は予備ブログとして運用しています第二北大路機関をご覧ください。
第二北大路機関・・・http://harunakurama.blog10.fc2.com/
 拠点航空基地、これは臨時分屯基地が有事の際の第一撃から航空部隊を分散し、一撃での全滅を回避するという観点から配置される航空部隊の究極的な離隔配置としたした。

 拠点航空基地の位置づけは臨時分屯基地が暫定的な離隔配置であるのに対し、拠点航空基地は一時的な航空攻撃などを受け機能不随が生じた場合でも、長期的に稼働状態を継続し、第一撃から始まる緒戦においてはその防空戦闘の主軸を臨時分屯基地へ分散し、防空監視網として防空監視所や移動監視隊など全ての装備をネットワーク化した防空システムとして維持する事を期しています。

 ここにはレーダーピケット任務を担う海上自衛隊のミサイル護衛艦、そして最重要装備となる早期警戒機及び早期警戒管制機による警戒管制網と共に戦闘機部隊のみ分散しつつ、防空管制のネットワークにより作戦基盤としての一体性を持ち、一種のシステムとして航空優勢確保を展開する、という運用を担うわけです、ただ、末端の臨時分屯基地は事前集積能力に限界があり、長期的に運用を継続すれば、問題が生じる事は明らかです。

 問題、具体的には戦闘継続が予備部品や燃料弾薬と防空器材や滑走路補修機材等の面で機能不随に至ることは明白で、且つ、臨時分屯基地は数多く存在する地方空港を利用し分散するというもの、明確な位置が暴露すれば弾道ミサイルや戦略爆撃機からの巡航ミサイル飽和攻撃に対処しきれず、各個撃破となる事は間違いありません。

 故に、臨時分屯基地は分屯基地ではなく臨時、という呼称を用いた訳でした。すると、拠点航空基地の任務は恒常的な役割を担う。アメリカ空軍の試算では、嘉手納基地やアンダーセン基地等は滑走路周辺へ弾道ミサイルで5発程度が落下した場合滑走路の機能が停止する、としています。暫定的な滑走路応急修理が必要、ということです。

 ミサイルが基地施設へ15発が落下した時点で基地機能が一定期間麻痺する、としており、この為、アメリカ陸軍防空砲兵のペトリオットミサイルPAC-3を運用する弾道ミサイル防衛部隊が実に一個大隊という例外的な密度で嘉手納基地周辺へ展開しており、射撃陣地へ展開している様子は基地周辺の一般道路からも見る事が出来ます。

 航空自衛隊が拠点航空基地を運用する場合、まず、基地機能を維持するため、航空基地を中心に航空自衛隊高射隊のペトリオットミサイル、特に弾道ミサイル防衛部隊を展開させ、基地機能を維持しなければなりません。航空自衛隊の拠点航空基地は可能な限り、航空攻撃とミサイル攻撃から基地機能を維持する必要があります。

 この為に必要となるのは基地施設の可能な限りの離隔か地下化です。実のところ航空自衛隊は航空機を航空攻撃から防護するシェルター、航空掩体については冷戦時代、あまり建設が進んでいないとの指摘がありましたものの、1980年代からソ連に最も近い千歳基地での航空掩体建設が飛行隊単位で完了できるでしょう。

 その後、三沢基地と小松基地という日本海沿岸やロシアからの戦闘爆撃機航続圏内の飛行場について航空掩体建設が完了しました。航空掩体は弾道ミサイルの直撃には耐えられませんが、付近に落下した弾道ミサイルの破片からは航空機を防護可能です。また、飛行場を狙うクラスター弾等は子弾の威力に対して航空機を防護可能です。

 その一方、基地施設そのものを可能な限り地下化しなければ、これは全部地下に埋めるというところまで進まずとも、可能な限り、という意味ですが、戦闘機以外の必要な諸設備が破壊され、最終的に基地機能を喪失する事となりかねません。戦闘機数には防衛大綱上の上限がありますが、基地機能は上限が無く、重要です。

北大路機関:はるな くらま
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冷戦後最大規模!NATOアナコンダ2016演習、東からの圧力に対しポーランドにて展開中

2016-06-11 21:44:00 | 防衛・安全保障
■我が国が見習うべき軍事演習
 タカオさんの写真と共に連日のお知らせです、来週火曜日0000時から1200時まで十二時間、Weblog北大路機関はメンテナンスのため閲覧できなくなります、ご注意ください。

 アナコンダ2016演習はポーランドにおいて実施されるNATO北大西洋条約機構が在欧米軍を主力として実施する多国間演習で、演習では域内への大規模な部隊の展開及び防衛作戦の展開と作戦後方支援基盤維持能力を実証するとともに、この行動を通じ抑止力を誇示するものです。この演習へはアメリカおよびイギリス、トルコを筆頭にアルバニア、ブルガリア、カナダ、クロアチア、チェコ共和国、エストニア、フィンランド、ドイツ、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、マケドニア、ポーランド、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデンを含む24カ国以上から31000名が参加します。

 多国間演習の在り方については我が国も学ぶべき点が多く、今回この視点について少し考えてみましょう。アナコンダ2016演習はノルマンディー上陸記念日に当たる6月6日、ポーランドの首都ワルシャワの国防大学校において開会式を迎え、訓練統裁官にはポーランドのアントニマチワズ国防大臣、アメリカ陸軍マークミリー陸軍大将が当たると共に訓練参加部隊はアメリカ在欧米軍司令官ベンホッジス中将、ポーランド陸軍作戦総監マレクトマズゾチ中将と訓練参加国である24ヶ国の部隊指揮官が整列、冷戦後ウクライナ危機を契機として年々高まるロシアからの軍事圧力へ対抗するための欧州諸国が示す決意を示すべく、編制完結式及び観閲行進を実施しました。

 今回のアナコンダ2016は第六回目となるアナコンダ演習となりまる。我が国でも自衛隊が例年日米合同演習を実施しますが、こちらの方が規模が大きく、演習は6月17日まで実施予定です。最大の参加国はポーランド軍と米軍で、特に米軍は、第3歩兵師団第1機甲旅団戦闘団、第2騎兵連隊、第4歩兵師団司令部、第173空挺旅団、第10航空連隊、ミサイル防衛司令部、第12戦闘航空旅団、第19戦域戦闘支援群支隊、第66軍事情報旅団、第30衛生旅団、共同多国籍訓練コマンド、コロラド州兵、イリノイ州兵、などが参加し、加えてNATO加盟国、欧州連合加盟国、その他の諸国が参加しています。

 自衛隊が実施するものも含め軍事演習の役割には検証と予行という意味合いがあります、もちろんセレモニーのような形として多国間関係が良好だという実情を脅威対象の諸国に対し誇示するものや、親善訓練として信頼醸成や二国間の友好関係を強化するという目的で実施されるものも当然ありますが、平時訓練・仮想想定・実働実演・能力解釈・固定と維持、という一連の流れの中で実際の有事における作戦運用、作戦の画定とその遂行能力の検証、という要素がある事は理解すべきでしょう。

 平時訓練・仮想想定・実働実演・能力解釈・固定と維持、とは平時訓練として小規模な基礎訓練及び機能別訓練、仮想想定として脅威を実際に想定し求められる対処能力の数値画定及び必要な火力と機動力の検証、実働実演として実際の演習を行い兵站や集結と火力展開等への机上理論の実証、能力解釈として実動演習を通じ確認される諸問題の明確化と部隊編制や兵站計画への反映、固定と維持として平時訓練や基礎訓練体系への問題点の解決策反映、という流れがある。

 アナコンダ2016を含む、軍事演習は平時訓練・仮想想定・実働実演・能力解釈・固定と維持、の流れの中では仮想想定の正しさの確認と問題点の洗い出し、実働実演として計画通りに実際に動かす事が出来るかと動くことが出来るかの部隊における検証、能力解釈の要素を導き出す、というものがあります。平時訓練・仮想想定・実働実演・能力解釈・固定と維持、これらは循環しているものでして、仮想想定・実働実演・能力解釈、この部分から異なる状況の総和、これを戦闘能力として画定します。部分から異なる状況の総和とは一種数学の公式にあたるもので、この戦闘能力に則り、作戦を有事と平時に画定させる、ということ。

 作戦とは仮想想定・実働実演・能力解釈から異なる状況の総和を導き出すものですので、つまり、この能力を点検する事で今後、ポーランドにおけるNATOの共同作戦を展開する場合の様々な問題を洗い出し、次の訓練までに訓練参加部隊や機能別訓練の体系へ反映させ、新しい能力を付与させるという構図です。陸軍の実動演習は、国ごとに異なる道路法制、物資集積への各国制度の差異、通信規格から戦術体系、勿論文化的背景に基づく言語の相違に至るまで数多く、負担もそれなりに大きなものがあります、しかし、それを差し引いても実施すべき意味は大きいといえるでしょう。

 この種の演習ですが、図上演習だけでは得られない部分が多くあります。一方、我が国では憲法上の制約から多国間演習に参加する場合、多国間演習の機会を利用し日米合同演習を実施しているという非常に難し解釈を行い参画してきました。更に陸上での訓練には演習場や平時における弾薬輸送などの制約が数多くあり結果的に国土防衛に際しては同盟国の陸上防衛力における欠缺部分への検証も十分行われているとは言えません。

 また、軍事行動における協力関係と実際の法的制約の問題は大きく、実のところ、現段階では平時訓練・仮想想定・実働実演・能力解釈・固定と維持、という流れが法律上位留められていないという事で実施できないのです、これは演習を作戦能力の検証としてとしつつ、その作戦全般を法律が制限している為で、この問題は安全保障協力法整備により多少緩和されましたが、端緒であり充分ではありません。このままでは有事の際には教条主義に陥り軍事合理性の枠外での行動を強いられる可能性がある為、法整備の下での訓練ではなく、法整備へ繋げる検証実験としての研究、その手段としての演習という位置づけ、発想の転換を行うべきともいえるかもしれません。

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