■安倍防衛改革の全否定へ
政府が検討しているという報道であっても記者と関係者の話が基点であり鵜呑みにはできないのですが、逆の意味で驚かされるものが多い。

政府は統合幕僚長と統合幕僚会議とは別系統の政府直下で命令を受ける常設統合任務部隊司令官を構想しているとのこと。これは現在、政府の直下に統合幕僚長を頂点とする統合幕僚監部が置かれており、この元に陸海空自衛隊が置かれ、有事の際には統合任務部隊を編成し対応します。安倍政権時代の防衛省改革としておこなわれた方式でした。

統合司令官を置く、岸田内閣での検討は統合幕僚長と統合幕僚監部を陸海空自衛隊から切り離し、統合幕僚長と並列する別系統として、統合司令官ポストを新設し、統合司令部を置くとしています。そして統合司令部隷下に陸海空自衛隊を置き、米軍との調整も行う、としています。これは画期的です、なにしろ15年ぶりに前の方式に改悪するのだから。

小泉政権時代まで、統合幕僚監部というものはなく、統合幕僚会議という陸海空の調整期間がありました、実質的に統合幕僚会議議長は陸海空自衛隊の頂点という位置づけではありましたが、統合幕僚会議は陸海空自衛隊とその頂点である陸上幕僚監部や海上幕僚監部および航空幕僚監部とは別の組織であり、いわば制度上指揮権はありませんでした。

安倍内閣、第一次安倍内閣時代に防衛庁を防衛省へ改編した際に、統合幕僚会議を改称することで統合幕僚監部を新設、そしてこの点が重要なのですが、統合幕僚監部の隷下に陸幕と海幕に空幕を置き、陸海空の統合運用体制を確立したのです。岸田内閣の検討は、これを再度切り離すということ、要するに統合幕僚監部に部隊運用をさせないという。

統合司令官を置くのですが、幕僚機構は置かない、凄い昔のやり方ですが参謀という制度がない、安土桃山時代の織田信長などが用いていた手法です、そして今そのやり方を行わないのは軍隊は参謀機構が必須であり、なぜならば一人の司令官がすべての情報を把握し判断するには軍事作戦は複雑で、なによりも寝る時間がなくなる故なのですね。

陸海空を統合運用する統合司令部、たとえば日本有事を統括する本土防衛司令部やシーレーン防衛を担う太平洋艦隊、ミサイル防衛を弾道ミサイルから巡航ミサイルに爆撃機まで担当する極東防空司令部、こうした統合司令部が必要だとは考えます、しかし、統合幕僚長をまた指揮系統から切り離すというのは全く理解できず素人の考えにすぎません。

幕僚機構は重要だ、情報を整理し作戦を立案する幕僚機構も切り離した上で司令官だけ置く、幕僚機構は隷下に置かない、意味不明です。トップダウン、と理解するのは真逆で、トップダウンでも幕僚機構が機能してこそ意味がある、情報が整理できず作戦を明確化できない、幕僚機構を欠けばあのナポレオンでさえワーテルローで敗北しているのです。

軍事面は、もちろんアメリカの制度を日本が丸々真似るというような思い切った指針を政治が示すならば別なのですが、どういった機能が必要なのかだけを政治が現場、防衛当局に示すべきであり、意味のない改編をおこなうべきではありません、それが適切でない場合は、よけい税金がかかることとなります、GDP3%でも不足する懸念があるのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
政府が検討しているという報道であっても記者と関係者の話が基点であり鵜呑みにはできないのですが、逆の意味で驚かされるものが多い。

政府は統合幕僚長と統合幕僚会議とは別系統の政府直下で命令を受ける常設統合任務部隊司令官を構想しているとのこと。これは現在、政府の直下に統合幕僚長を頂点とする統合幕僚監部が置かれており、この元に陸海空自衛隊が置かれ、有事の際には統合任務部隊を編成し対応します。安倍政権時代の防衛省改革としておこなわれた方式でした。

統合司令官を置く、岸田内閣での検討は統合幕僚長と統合幕僚監部を陸海空自衛隊から切り離し、統合幕僚長と並列する別系統として、統合司令官ポストを新設し、統合司令部を置くとしています。そして統合司令部隷下に陸海空自衛隊を置き、米軍との調整も行う、としています。これは画期的です、なにしろ15年ぶりに前の方式に改悪するのだから。

小泉政権時代まで、統合幕僚監部というものはなく、統合幕僚会議という陸海空の調整期間がありました、実質的に統合幕僚会議議長は陸海空自衛隊の頂点という位置づけではありましたが、統合幕僚会議は陸海空自衛隊とその頂点である陸上幕僚監部や海上幕僚監部および航空幕僚監部とは別の組織であり、いわば制度上指揮権はありませんでした。

安倍内閣、第一次安倍内閣時代に防衛庁を防衛省へ改編した際に、統合幕僚会議を改称することで統合幕僚監部を新設、そしてこの点が重要なのですが、統合幕僚監部の隷下に陸幕と海幕に空幕を置き、陸海空の統合運用体制を確立したのです。岸田内閣の検討は、これを再度切り離すということ、要するに統合幕僚監部に部隊運用をさせないという。

統合司令官を置くのですが、幕僚機構は置かない、凄い昔のやり方ですが参謀という制度がない、安土桃山時代の織田信長などが用いていた手法です、そして今そのやり方を行わないのは軍隊は参謀機構が必須であり、なぜならば一人の司令官がすべての情報を把握し判断するには軍事作戦は複雑で、なによりも寝る時間がなくなる故なのですね。

陸海空を統合運用する統合司令部、たとえば日本有事を統括する本土防衛司令部やシーレーン防衛を担う太平洋艦隊、ミサイル防衛を弾道ミサイルから巡航ミサイルに爆撃機まで担当する極東防空司令部、こうした統合司令部が必要だとは考えます、しかし、統合幕僚長をまた指揮系統から切り離すというのは全く理解できず素人の考えにすぎません。

幕僚機構は重要だ、情報を整理し作戦を立案する幕僚機構も切り離した上で司令官だけ置く、幕僚機構は隷下に置かない、意味不明です。トップダウン、と理解するのは真逆で、トップダウンでも幕僚機構が機能してこそ意味がある、情報が整理できず作戦を明確化できない、幕僚機構を欠けばあのナポレオンでさえワーテルローで敗北しているのです。

軍事面は、もちろんアメリカの制度を日本が丸々真似るというような思い切った指針を政治が示すならば別なのですが、どういった機能が必要なのかだけを政治が現場、防衛当局に示すべきであり、意味のない改編をおこなうべきではありません、それが適切でない場合は、よけい税金がかかることとなります、GDP3%でも不足する懸念があるのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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