週報:世界の防衛,最新11論点
今週は海軍関連の11論点を紹介しましょう。
イギリス海軍はヘリコプター用のマートレットミサイルとシーヴェノムミサイルの運用試験を完了しました、哨戒ヘリコプターに搭載する次世代ミサイルとしてイギリス海軍は9月から10月にかけ大西洋と地中海での一ヶ月に渡る各種の実験を実施、試験にはイギリス海軍の標準的艦載ヘリコプターであるワイルドキャットヘリコプターが使用されています。
マートレットミサイルは重量13kgという小型軽量のミサイルであり小型高速目標等に対して攻撃、過度な威力により相手を全損させない用途や近年の小型ボート等による攻撃を想定しています。マートレットミサイルの最大の特色は軽量であり、艦載ヘリコプターでは小型と部類に入るワイルドキャットヘリコプターへ20発を搭載する事が可能という点だ。
シーヴェノムミサイルはより大型のミサイルで、威力はマートレットミサイルの十倍に達するとの事ですが、その分大型でありワイルドキャットヘリコプターには4発しか搭載できません。マートレットミサイルはLMMミサイルという開発名称であり、今後は1000発の量産が開始される方針、イギリス海軍と共にフランス海軍でも運用される計画です。
■ハンター級フリゲイト
オーストラリア海軍の将来艦艇最新情報です。
オーストラリア海軍向けに建造がすすむハンター級フリゲイトの一番艦最初の建造ブロックが完成しました、これは南オーストラリア州のオズボーンにあるBAEシステムズオーストラリアの造船施設において進められる建造で、ブロックは140t、満載排水量で8800tに達するハンター級は22個のブロック構造を採用し、組み立てる方式を採用しています。
ハンター級フリゲイトはイギリスの26型フリゲイトの設計を元にイージスシステムを搭載した汎用艦で、SEA5000計画として9隻が量産される計画です。イージスシステムは搭載するもレーダーはタレスオーストラリア製CEAFAR2を採用、艦隊防空艦ではないもののスタンダードSM-2ミサイルを搭載するという興味深い設計の水上戦闘艦となっています。
オーストラリア海軍にはアメリカのOHペリー級をライセンス生産したアデレード級ミサイルフリゲイトが6隻配備されていましたが、2019年までに全て除籍されています、これは簡易型のターターシステムとスタンダードミサイル運用能力を持っており、建造中のハンター級はスタンダードSM-2を搭載する事で、この防空能力を受け継ぐ事となります。
■無人物資輸送試験
日本では民間で進められている船舶による無人物資輸送試験ですがアメリカでは海軍が艦艇輸送へ進めています。
アメリカ海軍は遠征高速輸送艦アパラチコーラによる無人物資輸送試験を完了しました。今回の輸送試験ではアラバマ州モービルからフロリダ州マイアミへの輸送試験が行われており、遠征高速輸送艦アパラチコーラはスピアヘッド級遠征高速輸送艦の13番艦であり、オースタルUSA社により建造された元々の設計は高速カーフェリーとなっています。
アパラチコーラはアラバマ州モービルからフロリダ州マイアミへの航行では、この海域は商船や漁船とヨットなどの航行が多い海域となっていますが、85%の時間が自律航行により推進され、また入港作業なども大幅に無人化されているとのこと。この無人航行技術はオースタルUSA社に加えL3ハリス社とジェネラルダイナミクス社が参加したとのこと。
スピアヘッド級遠征高速輸送艦は満載排水量2500t、中隊規模の車両を輸送可能、双胴船構造を採用している事で喫水が浅く、浅海域の港湾においても接岸が可能であり、また高速カーフェリーとしては43ノットとニミッツ級原子力空母やアーレイバーク級駆逐艦よりも速力が大きく、島嶼部戦闘における戦域内での部隊展開には重要な装備となっています。
■ハミナ級ミサイル艇点
日本では護衛艦に切替えられる運命といえるミサイル艇ですが世界では沿岸防備の艦艇として活躍は続くようです。
フィンランド海軍はハミナ級ミサイル艇4隻の近代化改修事業を完了しました。これはパトリア社において行われていたミサイル艇ウピニエミのMLU近代化改修が9月までに完了した事を受けてのもので、2018年から四年間にわたり実施されていた改修です。フィンランド海軍は長らく機雷戦と沿岸部におけるミサイル艇運用を第一とする防御運用でした。
ハミナ級は1998年に一番艇が竣工、満載排水量は250tで全長は51m、喫水は1.7mに抑えられ、MTU製ディーゼルエンジンとロールスロイス製ウォータージェットにより速力は30ノット、改修前はボフォース57mm単装砲とRBS-15艦対艦ミサイル、また個艦防空用に南アフリカ製ウムコント対空ミサイル、対潜用にエルマLLS-920対潜擲弾を装備します。
MLU近代化改修ではミサイルがRBS-15からイスラエル製ANAM/ガブリエルⅤミサイルへ換装、これはブルースピアミサイルとも呼ばれ、重量1250kgという巨大なミサイルで陸上目標にも対応し射程は400kmに達しています。なお、対艦ミサイルの重量増大に併せ艦砲は40mm機関砲へ小型化されています改修により2030年代半ばまで現役に留まります。
■MKE社独自開発76mm砲
艦砲は特殊な環境で運用される故に技術的に難しいのです。
トルコのMKE社は独自開発した76mm艦砲試験を実施中です。これはイタリアのOTOメララ社が開発し現在はガリレオ社製となっているコンパット砲と非常によく似た76mm艦砲で、砲システムや排莢装置が類似しシールド形状が異なります。この評価試験にはトルコ海軍が老朽化により試験艦に転用しているバラク級コルベットが用いられています。
MKE社製76mm砲は毎分80発の射撃性能が有り、砲身鍍金構造が従来砲と比較し寿命を延ばしているといい、対地攻撃を実施した場合の射程は20km、対空対地対水上用に運用可能であり、多種多様な弾薬を開発するとしていますが、その上でMKE社によればコスト面でガリレオ社製の76mmコンパット砲の半分というコストに抑えられるとしています。
■コルモラン級掃海艦
掃海艦艇は機雷掃討任務に重点かされることで船体の磁気などの制約に余裕が生まれています。
ポーランド海軍は8月12日、コルモラン級掃海艦2番艦アルバトロスを受領しました。グダニスクのレモントワ造船所にて建造されていたアルバトロスは就役後、第8沿岸防備群の第13掃海隊に配備、コルモラン級は満載排水量830tで全長58.5m、Toczek機雷処理システムを搭載する他、35mmトリトン機関砲とグロム簡易防空ミサイルを装備します。
コルモラン級掃海艦の任務は機雷掃海及び機雷掃討となっていますが、同時に船体設計はステルス性に配慮しており哨戒艦としての任務も対応しています。他方、船体は機雷戦艦艇の多くが採用するFPR樹脂構造ではなく非磁性鋼を採用、また掃海には機雷処分弾薬等水中ドローンを重視した運用です。ポーランド海軍はコルモラン級3隻を導入予定です。
■エンフォーサーⅢ無人艇
無人艦艇も国際法上の軍艦としての地位をゆうするのかは近い将来に重要な論点となるのかもしれませんね。
スウェーデン海軍はサーブエンフォーサーⅢ無人哨戒艇の試験を実施しました。スウェーデン海軍などに大量に配備されたCB-90強襲艇を航法装置と通信システム及びセンサーやカメラと航法用のレーザーセンサーを搭載し無人航行を可能とさせる改修を行ったもので、現在のところ最小限の人員が操艇に当っていますが、最終的に無人運用を目指します。
CB-90強襲艇は元々、18名を乗艦させ40ノットで沿岸部へ強襲作戦を行う両用艇ですが、優れた速力を応用し特殊部隊支援用や120mm自動迫撃砲、小型対艦ミサイル搭載の哨戒艇として活用されています。サーブエンフォーサーⅢ無人哨戒艇はサーブ社が本型の比較的大きな搭載能力を活用し、沿岸作戦などにおいて哨戒任務を想定し開発しているものです。
■コロンビア海軍将来艦艇
韓国から中古コルベットを導入し海軍が麻薬対策から水上戦闘艦による警備任務へ発展させる事が出来ましたので続いて新鋭艦を調達するもよう。
コロンビア海軍はオランダからシグマ級コルベット5隻を導入する20億ドルの調達計画を正式に開始します。シグマ級コルベットはヴェトナム海軍やインドネシア海軍などに輸出されているオランダ製の傑作輸出用コルベットです。調達計画は8月に当選した左派のグスタボペトロ大統領により中止されるかと思われましたが、この度正式に開始されます。
PES戦略水上プラットフォーム計画というシグマ級コルベット5隻の導入計画はコロンビアの造船企業コテクマー社がオランダのダーメン社からの技術協力を受けて建造される方針です。当初は満載排水量3000t規模の艦を導入し各艦には艦載ヘリコプター2機を搭載する構想でしたが、予算不足から2300tのシグマ級となり、艦載機も1機のみとなりました。
■クーパーズタウン
沿海域戦闘艦は今後どのように展開するのか。
アメリカ海軍は建造が進む沿海域戦闘艦クーパーズタウン竣工式典日程を公表しました、これは9月21日に発表されたもので、深刻な問題が判明していたフリーダム級沿海域戦闘艦のギアボックス部分設計を再設計したもので、フリーダム級には、高出力のエンジンを搭載するも変速装置の欠陥により性能を発揮出来ない深刻な欠陥が指摘されていました。
クーパーズタウンはフリーダム級の12番艦、現在は続いてマリネット、ナンタケット、ベロイト、クリーブランドの建造が続いています。フリーダム級は単胴型で満載排水量は3292t、沿海域戦闘艦にはこのほかに三胴船体構造を採用したインディペンデンス級が建造されていますが、こちらは船体のアルミ製船体構造物の海水腐食が問題となっています。
■ニュージーランドP-8A
P-8Aポセイドン海洋哨戒機運用國がまたひとつ。
ニュージーランド海軍が導入するP-8Aポセイドン海洋哨戒機が初飛行に成功しました、8月22日、ボーイング社は製造していたP-8Aを初飛行しています、既に操縦要員や整備要員は2020年9月にフロリダ州ジャクソンビルにおいて教育課程を修了、ニュージーランドへは2022年冬に初号機が到着、また残る機体も2023年に全て引き渡されるとのこと。
P-8Aポセイドン哨戒機は、ニュージーランド軍が老朽化したP-3Bオライオン対潜哨戒機の2025年の用途廃止までの後継機として模索しており、2018年にニュージーランド政府はP-8A哨戒機4機を14億6000万ドルで導入すると発表しています。P-8Aはアメリカと隣国オーストラリアやインド太平洋地域ではインド海軍や韓国海軍でも採用されています。
■海域戦闘艦コロナド
海域戦闘艦コロナドはほんとうに短命でしたね。
アメリカ海軍は沿海域戦闘艦コロナドを僅か9年間の現役期間を経て退役させました。これは9月14日にサンディエゴ基地において行われた退役式典が竣工式典からわずか9年であったためであり、アルミ合金製船体の劣化や、2017年には乗員ローテーションに失敗し、シンガポール訪問中に操艦要員が足りなくなり、置き去りにされる椿事もありました。
コロナドはインディペンデンス級沿海域戦闘艦2番艦、コロナド以外にも三胴船型を採用したインディペンデンス級沿海域戦闘艦はほぼ全ての艦に船体亀裂が発見される深刻な問題が確認されています。ただ、コロナドは建造中の火災事故がアルミ合金製船体に影響を及ぼした可能性もあり、NSMミサイル試験など沿海域戦闘艦開発には貢献しています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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今週は海軍関連の11論点を紹介しましょう。
イギリス海軍はヘリコプター用のマートレットミサイルとシーヴェノムミサイルの運用試験を完了しました、哨戒ヘリコプターに搭載する次世代ミサイルとしてイギリス海軍は9月から10月にかけ大西洋と地中海での一ヶ月に渡る各種の実験を実施、試験にはイギリス海軍の標準的艦載ヘリコプターであるワイルドキャットヘリコプターが使用されています。
マートレットミサイルは重量13kgという小型軽量のミサイルであり小型高速目標等に対して攻撃、過度な威力により相手を全損させない用途や近年の小型ボート等による攻撃を想定しています。マートレットミサイルの最大の特色は軽量であり、艦載ヘリコプターでは小型と部類に入るワイルドキャットヘリコプターへ20発を搭載する事が可能という点だ。
シーヴェノムミサイルはより大型のミサイルで、威力はマートレットミサイルの十倍に達するとの事ですが、その分大型でありワイルドキャットヘリコプターには4発しか搭載できません。マートレットミサイルはLMMミサイルという開発名称であり、今後は1000発の量産が開始される方針、イギリス海軍と共にフランス海軍でも運用される計画です。
■ハンター級フリゲイト
オーストラリア海軍の将来艦艇最新情報です。
オーストラリア海軍向けに建造がすすむハンター級フリゲイトの一番艦最初の建造ブロックが完成しました、これは南オーストラリア州のオズボーンにあるBAEシステムズオーストラリアの造船施設において進められる建造で、ブロックは140t、満載排水量で8800tに達するハンター級は22個のブロック構造を採用し、組み立てる方式を採用しています。
ハンター級フリゲイトはイギリスの26型フリゲイトの設計を元にイージスシステムを搭載した汎用艦で、SEA5000計画として9隻が量産される計画です。イージスシステムは搭載するもレーダーはタレスオーストラリア製CEAFAR2を採用、艦隊防空艦ではないもののスタンダードSM-2ミサイルを搭載するという興味深い設計の水上戦闘艦となっています。
オーストラリア海軍にはアメリカのOHペリー級をライセンス生産したアデレード級ミサイルフリゲイトが6隻配備されていましたが、2019年までに全て除籍されています、これは簡易型のターターシステムとスタンダードミサイル運用能力を持っており、建造中のハンター級はスタンダードSM-2を搭載する事で、この防空能力を受け継ぐ事となります。
■無人物資輸送試験
日本では民間で進められている船舶による無人物資輸送試験ですがアメリカでは海軍が艦艇輸送へ進めています。
アメリカ海軍は遠征高速輸送艦アパラチコーラによる無人物資輸送試験を完了しました。今回の輸送試験ではアラバマ州モービルからフロリダ州マイアミへの輸送試験が行われており、遠征高速輸送艦アパラチコーラはスピアヘッド級遠征高速輸送艦の13番艦であり、オースタルUSA社により建造された元々の設計は高速カーフェリーとなっています。
アパラチコーラはアラバマ州モービルからフロリダ州マイアミへの航行では、この海域は商船や漁船とヨットなどの航行が多い海域となっていますが、85%の時間が自律航行により推進され、また入港作業なども大幅に無人化されているとのこと。この無人航行技術はオースタルUSA社に加えL3ハリス社とジェネラルダイナミクス社が参加したとのこと。
スピアヘッド級遠征高速輸送艦は満載排水量2500t、中隊規模の車両を輸送可能、双胴船構造を採用している事で喫水が浅く、浅海域の港湾においても接岸が可能であり、また高速カーフェリーとしては43ノットとニミッツ級原子力空母やアーレイバーク級駆逐艦よりも速力が大きく、島嶼部戦闘における戦域内での部隊展開には重要な装備となっています。
■ハミナ級ミサイル艇点
日本では護衛艦に切替えられる運命といえるミサイル艇ですが世界では沿岸防備の艦艇として活躍は続くようです。
フィンランド海軍はハミナ級ミサイル艇4隻の近代化改修事業を完了しました。これはパトリア社において行われていたミサイル艇ウピニエミのMLU近代化改修が9月までに完了した事を受けてのもので、2018年から四年間にわたり実施されていた改修です。フィンランド海軍は長らく機雷戦と沿岸部におけるミサイル艇運用を第一とする防御運用でした。
ハミナ級は1998年に一番艇が竣工、満載排水量は250tで全長は51m、喫水は1.7mに抑えられ、MTU製ディーゼルエンジンとロールスロイス製ウォータージェットにより速力は30ノット、改修前はボフォース57mm単装砲とRBS-15艦対艦ミサイル、また個艦防空用に南アフリカ製ウムコント対空ミサイル、対潜用にエルマLLS-920対潜擲弾を装備します。
MLU近代化改修ではミサイルがRBS-15からイスラエル製ANAM/ガブリエルⅤミサイルへ換装、これはブルースピアミサイルとも呼ばれ、重量1250kgという巨大なミサイルで陸上目標にも対応し射程は400kmに達しています。なお、対艦ミサイルの重量増大に併せ艦砲は40mm機関砲へ小型化されています改修により2030年代半ばまで現役に留まります。
■MKE社独自開発76mm砲
艦砲は特殊な環境で運用される故に技術的に難しいのです。
トルコのMKE社は独自開発した76mm艦砲試験を実施中です。これはイタリアのOTOメララ社が開発し現在はガリレオ社製となっているコンパット砲と非常によく似た76mm艦砲で、砲システムや排莢装置が類似しシールド形状が異なります。この評価試験にはトルコ海軍が老朽化により試験艦に転用しているバラク級コルベットが用いられています。
MKE社製76mm砲は毎分80発の射撃性能が有り、砲身鍍金構造が従来砲と比較し寿命を延ばしているといい、対地攻撃を実施した場合の射程は20km、対空対地対水上用に運用可能であり、多種多様な弾薬を開発するとしていますが、その上でMKE社によればコスト面でガリレオ社製の76mmコンパット砲の半分というコストに抑えられるとしています。
■コルモラン級掃海艦
掃海艦艇は機雷掃討任務に重点かされることで船体の磁気などの制約に余裕が生まれています。
ポーランド海軍は8月12日、コルモラン級掃海艦2番艦アルバトロスを受領しました。グダニスクのレモントワ造船所にて建造されていたアルバトロスは就役後、第8沿岸防備群の第13掃海隊に配備、コルモラン級は満載排水量830tで全長58.5m、Toczek機雷処理システムを搭載する他、35mmトリトン機関砲とグロム簡易防空ミサイルを装備します。
コルモラン級掃海艦の任務は機雷掃海及び機雷掃討となっていますが、同時に船体設計はステルス性に配慮しており哨戒艦としての任務も対応しています。他方、船体は機雷戦艦艇の多くが採用するFPR樹脂構造ではなく非磁性鋼を採用、また掃海には機雷処分弾薬等水中ドローンを重視した運用です。ポーランド海軍はコルモラン級3隻を導入予定です。
■エンフォーサーⅢ無人艇
無人艦艇も国際法上の軍艦としての地位をゆうするのかは近い将来に重要な論点となるのかもしれませんね。
スウェーデン海軍はサーブエンフォーサーⅢ無人哨戒艇の試験を実施しました。スウェーデン海軍などに大量に配備されたCB-90強襲艇を航法装置と通信システム及びセンサーやカメラと航法用のレーザーセンサーを搭載し無人航行を可能とさせる改修を行ったもので、現在のところ最小限の人員が操艇に当っていますが、最終的に無人運用を目指します。
CB-90強襲艇は元々、18名を乗艦させ40ノットで沿岸部へ強襲作戦を行う両用艇ですが、優れた速力を応用し特殊部隊支援用や120mm自動迫撃砲、小型対艦ミサイル搭載の哨戒艇として活用されています。サーブエンフォーサーⅢ無人哨戒艇はサーブ社が本型の比較的大きな搭載能力を活用し、沿岸作戦などにおいて哨戒任務を想定し開発しているものです。
■コロンビア海軍将来艦艇
韓国から中古コルベットを導入し海軍が麻薬対策から水上戦闘艦による警備任務へ発展させる事が出来ましたので続いて新鋭艦を調達するもよう。
コロンビア海軍はオランダからシグマ級コルベット5隻を導入する20億ドルの調達計画を正式に開始します。シグマ級コルベットはヴェトナム海軍やインドネシア海軍などに輸出されているオランダ製の傑作輸出用コルベットです。調達計画は8月に当選した左派のグスタボペトロ大統領により中止されるかと思われましたが、この度正式に開始されます。
PES戦略水上プラットフォーム計画というシグマ級コルベット5隻の導入計画はコロンビアの造船企業コテクマー社がオランダのダーメン社からの技術協力を受けて建造される方針です。当初は満載排水量3000t規模の艦を導入し各艦には艦載ヘリコプター2機を搭載する構想でしたが、予算不足から2300tのシグマ級となり、艦載機も1機のみとなりました。
■クーパーズタウン
沿海域戦闘艦は今後どのように展開するのか。
アメリカ海軍は建造が進む沿海域戦闘艦クーパーズタウン竣工式典日程を公表しました、これは9月21日に発表されたもので、深刻な問題が判明していたフリーダム級沿海域戦闘艦のギアボックス部分設計を再設計したもので、フリーダム級には、高出力のエンジンを搭載するも変速装置の欠陥により性能を発揮出来ない深刻な欠陥が指摘されていました。
クーパーズタウンはフリーダム級の12番艦、現在は続いてマリネット、ナンタケット、ベロイト、クリーブランドの建造が続いています。フリーダム級は単胴型で満載排水量は3292t、沿海域戦闘艦にはこのほかに三胴船体構造を採用したインディペンデンス級が建造されていますが、こちらは船体のアルミ製船体構造物の海水腐食が問題となっています。
■ニュージーランドP-8A
P-8Aポセイドン海洋哨戒機運用國がまたひとつ。
ニュージーランド海軍が導入するP-8Aポセイドン海洋哨戒機が初飛行に成功しました、8月22日、ボーイング社は製造していたP-8Aを初飛行しています、既に操縦要員や整備要員は2020年9月にフロリダ州ジャクソンビルにおいて教育課程を修了、ニュージーランドへは2022年冬に初号機が到着、また残る機体も2023年に全て引き渡されるとのこと。
P-8Aポセイドン哨戒機は、ニュージーランド軍が老朽化したP-3Bオライオン対潜哨戒機の2025年の用途廃止までの後継機として模索しており、2018年にニュージーランド政府はP-8A哨戒機4機を14億6000万ドルで導入すると発表しています。P-8Aはアメリカと隣国オーストラリアやインド太平洋地域ではインド海軍や韓国海軍でも採用されています。
■海域戦闘艦コロナド
海域戦闘艦コロナドはほんとうに短命でしたね。
アメリカ海軍は沿海域戦闘艦コロナドを僅か9年間の現役期間を経て退役させました。これは9月14日にサンディエゴ基地において行われた退役式典が竣工式典からわずか9年であったためであり、アルミ合金製船体の劣化や、2017年には乗員ローテーションに失敗し、シンガポール訪問中に操艦要員が足りなくなり、置き去りにされる椿事もありました。
コロナドはインディペンデンス級沿海域戦闘艦2番艦、コロナド以外にも三胴船型を採用したインディペンデンス級沿海域戦闘艦はほぼ全ての艦に船体亀裂が発見される深刻な問題が確認されています。ただ、コロナドは建造中の火災事故がアルミ合金製船体に影響を及ぼした可能性もあり、NSMミサイル試験など沿海域戦闘艦開発には貢献しています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)