北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【日曜特集】海上自衛隊60周年観艦式【05】くらま出航-横浜みなとみらいビル群とともに(2012-10-08)

2023-01-15 20:23:44 | 海上自衛隊 催事
■艦艇広報と観艦式と
 2023年も観艦式特集は続きます。

 観艦式、2022年国際観艦式は一般観客を乗せることなく実施されました、そして前回の自衛隊観艦式は台風直撃を受け中止されていますので最後に一般観客を乗せての自衛隊観艦式は2015年となっていまして、実に8年間もの空白が生まれています、次の観艦式は先だ。

 体験航海という体裁でもよいから、もう少し広報展示の機会が必要だと考えるのですが、このあたり海上自衛隊は限界がある。一方で、後方幹部のいないところで聞きます艦隊勤務というのはいろいろと厳しい話題が、この10年で増えているようにも思う、特に忙しさ。

 海に親しむ機会というものを増やしてゆきませんと、それは自衛隊の任務なのか、と問われるでしょうけれども、特に自衛官は外国人船員に依存できないという事情もありますので、ふっと、こう切れる様に募集難が防衛上の大きな課題として表面化するよう危惧する。

 浦賀水道を太平洋へ、相模湾へと艦隊が航行する中、行き交う商船などとともに一つの陣形のように護衛艦が掃海母艦が、訓練支援艦が潜水艦救難艦が、と進んでゆく様子、これは2012年の情景ではあるのですが、一つ思い出は十年以上経て鮮明に覚えているものです。

 艦艇広報という視点からは、特にもう少し多くの人が海となじめるようになりませんと、特に募集広報という視点を考えると難しい将来がくるのかもしれない、この8年間の空白というものは小さくはないものだと考えるのですね。なにしろ船乗りというだけで大変だ。

 海洋立国、こう呼ばれる我が国ではあるのですが、実のところ日本の気質は大陸的であるように思えます、専守防衛という認識などは古典的なゲオポリティクスの延長線上にありまして、そもそも専守防衛と海洋立国という認識が矛盾しますが世論は前者を選んでいる。

 専守防衛は国是ではあるのですが、一方で日本は資源の面で海洋自由原則に依存しているものであり、海との関係は拒絶できません、これは食料安全保障ともエネルギー安全保障とも密接に関係している命題で、専守防衛との整合性をもう少し戦後議論すべきであった。

 シーレーン防衛と専守防衛、ここを突き詰めすぎますとシーレーンも専守防衛だ、という理念を無理に押し進めますと、変な覇権論争に発展してしまいます。このあたりから、実は海との関係性というものを実感する機会が必要なのですけれども、機会さえ実は少ない。

 海上交通は日本では旅客移動の手段としても、たとえば九州や小笠原や瀬戸内海の多島海域で生活を営むでもしなければ実感はわくものではなく、そして付け加えれば多くの離島も近接する島嶼間では橋梁がかけられるようになりましたので海との親しみはみるだけに。

 海上勤務、しかし、これは難しいものです、なにしろ商船勤務でも労働基準法の枠外におかれるほどに特殊な環境でありまして、月月火水木金金、という表現ではありませんがいったん乗務しますと全休という概念そのものがなくなるという特殊な労働環境なのですね。

 やりがい、という言葉でも説明されるところなのですけれども、一応、代休のように長期航海のあとには一定の長期休暇は制度として認められている、これは商船の話ではあります、代理要員確保が難しければ休暇買い取りとして賃金上乗せなどでにおわることも多い。

 長期航海という場合でも、幸いにして当方が知ります船舶乗員の方には休暇買い取りのような制度で苦労している範疇のかたにかぎられるのですが、それでも余裕のない海運会社や観光船会社には休暇買い取り制度さえなく休暇は書類上にしか存在しないという話さえ。

 海上自衛隊の募集を考えますと、まず海での暮らしというものはどういうものなのか、という視点からもう少し広報しませんと、なにしろ時代は働きかた改革の時代、帰宅という概念の枠外、特に艦艇勤務は本籍地が艦艇、故に理解というものが応募に直結するのです。

 海上交通、考えるとフェリーという交通手段も減っています、航路は維持されているとの反論があるでしょうが、航路が維持されるというよりも、運行本数がへってしまいますと利便性のある時間帯に運行されていないという結果使われにくく、貨物輸送に重点が移る。

 海と親しもうにも、例えば鉄道と激烈な競争を繰り広げた瀬戸内海航路などは、まだまだ運行本数が多く、選べる立場でもありますから、阪神から九州まで利用してみますと、また乗ってみよう、次乗れるのはいつだろうか待ち遠しくはなるものなのです、ただほかは。

 北海道航路などを挙げますと、頑張ってはいるのだけれども所要時間とともに到着時刻をみますと、利用してみたいのだけれどもちょっと時間帯がなあ、と渋ってしまうものでして。他方、大阪と東京を結ぶ航路があったら船旅は豪華、と考えてみたりもするのですね。

 海上輸送の恩恵には預かる一方で、その一端に参加してみようといいますとなかなかに難しいものがあります、これが海上自衛隊となりますとなおさらというものでして、海上自衛隊はいいぞ、と多くの方に勧められるかといわれますと、まずは見てとしかいえません。

 COVID-19,自衛隊を見てもらう機会というものが減っているという背景にこのいまなお、いや今こそついに毎日の死者数は500名を越えてしまっている現状では認識すべきなのでしょうが、COVID-19による艦艇広報の断絶というものも大きな影響ではある、しかし。

 艦艇広報は2016年熊本地震、これも早いもので7年を経ることとなりましたが、この際に大規模な災害派遣に当たったことで海上自衛隊の訓練計画が大きく圧迫され、時の海上幕僚長が、艦隊を休ませるように命じた、しかし省ける業務がほとんどありませんでした。

 熊本地震の災害派遣、艦隊の任務はまず年次訓練計画がくまれていて、合間合間に艦艇広報を可能な範囲内で実施するのですが、例えば入港の際の一般公開は寄港地で行うことは出来るのですが、その先となりますと、例えば展示訓練となれば調整は複雑となります。

 難しいのはわかるのだけれども、広報の機会を確保しなければ何れ人が集まらなくなる、こう危惧するのは艦艇装備計画の推移です、護衛艦は近年大型化しており、これは必然的に航海期間の長期化を意味し、プレゼンスオペレーションなど任務も遠方に広がっている。

 たちかぜ型ミサイル護衛艦より大型の3900tの護衛艦、もがみ型がコンパクト護衛艦と呼ばれているのだからなあ、こう痛感するのですね。自動車はいつかはクラウンと呼ばれていた時代の人が最初からアウディやBMWやレクサスに乗っているような若者をみる想い。

 しかし、大型化するという事は個室の多かった掃海艇をこうした護衛艦が置換える、つまり長期航海が多くなり、上陸できない生活が続くということ、そして居住環境もそれ程良くならない、この当たりも広報でどうしても影響が及ぶのではないか、こう思うのですね。

 2012年と2022年、いやもう2023年ではあるのですが海上自衛隊は大きく変わりました、それは装備が多少変わってはいるのですが勤務環境も変わると共に周辺情勢の緊迫化、財政再建の為の公務員非正規化などもあり、ゆえに、広報の重要性を一層感じるのですよね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都発幕間旅情】京成電鉄スカイライナーAE特急と世代交代図る新鋭3100系電車

2023-01-15 18:11:31 | コラム
■スカイライナー!
 スカイライナーはCOVID-19による成田空港国際線事実上の封鎖で一番大変だったろうなあと思うのです。

 スカイライナー、優美なデザインとともに速度を感じさせるのは外見だけではなく、速度の面で特にすごいなあと思う、なんとなれ上野駅から成田スカイアクセス線を疾走してわずか36分で成田空港まで到達する、この距離実に64kmとこれは神戸と京都に匹敵する距離です。

 京成電鉄の早さをどの程度かと挙げますと、一部区間で新幹線こだま号を追い抜くという新快速でも、京都と芦屋が62kmなのですが所要時間はあの新快速でも43分、まあこう書いてしまいますと改めて新快速の速度も捨てたものではないと思うのですが、スカイライナー凄い。

 北総鉄道、ここ京成電鉄だよねえと思われるかもしれませんが、京成電鉄が筆頭株主となっています北総鉄道です、千葉ニュータウン鉄道に新京成電鉄、東葉高速鉄道も走っているこのあたりは、路線というのが複雑に思えてくるものです、千葉に行くにも路線がわかりにくい。

 7300系電車、もともとは千葉ニュータウン鉄道9800系とよばれていた電車ですが、千葉県営鉄道になる予定であった路線を都市基盤整備公団鉄道という難しくて格好良い名前の鉄道となりまして、この当たりの乗り入れ、なれていないと何処に行くのか迷ってしまうという。

 3100系、こちらは京成電鉄の電車です。ただ行先は浅草線の西馬込、この京成3100系というのは2019年に搭乗したばかりの、つまりCOVID-19感染拡大の直前に導入されたものでして、京成電鉄は過去にも3100系を運行していましたので、こちらは二代目となります。

 京成電鉄と云えば20年前に二代目の3000系電車、一時期のステンレス車を強調した通勤車両から重厚な安定性ある外見の、それでいて軽量化に成功した車両で印象を一新していますが、2019年に車体前部の形状をスピード感あふれる傾斜構造として世代交代を始めたものです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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兵庫県南部地震/阪神大震災から17日で28年-考えねばならない地域防災能力強化と住民負担

2023-01-15 07:01:05 | 防災・災害派遣
■追悼-阪神大震災
 次の災害に備える事こそ追悼と祈念のかたちとおもう。

 来週17日は兵庫県南部地震阪神大震災28年目の慰霊の日です。震災記憶の風化という時の経過と共に顕在化する認識があるようですが、実際のところは日本列島は新潟中越地震に長野県北部地震や鳥取県西部地震、東北太平洋沖地震東日本大震災、熊本地震に胆振東部地震と繰り返される地震被害により、防災という認識は一定程度定着しているとおもう。

 阪神大震災、しかし考えなければならないのは、災害について少子高齢化と地域過疎化による地域防災組織の弱体化が指摘される一方、地域防災組織の代替に阪神大震災以降依存度が高まっている自衛隊災害派遣、こうした制度の依存度の高まりが、長年続いた防衛費の抑制と昨年大転換を果たした安全保障政策の見直しにより見直しを求められる可能性が。

 1995年阪神大震災、この頃の日本における安全保障制度は現在よりも超法規措置を前提としたような未整備を有事の際に緊急整備するという建前での整備が進められ、いわば置き去りとされていました。この状況に社会党政権である当時の村山政権も、また兵庫県の貝塚知事を中心とする県庁も対応出来ず、自衛隊も法の枠内での行動に批判が集まりました。

 転換点となった、こう考えるのは続く橋本政権時代の周辺事態法整備と共に小泉政権での有事法制整備と共に、安全保障に関する議論が禁忌から危機管理の重要性に移り変わる景気が阪神大震災であり、また所謂革新自治体であっても災害派遣や防災訓練への自衛隊参加は自然な流れとして定着してゆく事となりました。もちろん、それだけではないのだが。

 法整備の背景には朝鮮半島有事、特にクリントン政権時代にかなり高い可能性として朝鮮半島核危機への米軍介入のリスクがあり、この為の法整備という背景はありました。ただ、この議論を単純に禁忌とさせなかった国民世論の背景には、巨大地震、別の軸線ではあっても国民全体が危機管理というものを認識させる事例が有った為ともいえるでしょう。

 しかし、二つの意味で、次の巨大地震に備えるには自衛隊への依存度から自治体防災、これは消防団や水防団への参加強化と、防災資材蓄積への住民負担、こうした厳しい視点を含めて住民自らが民間防衛という視点で参画を求められる可能性があります。まず防衛力の崩壊、緩慢に進んでおり気付かないでしょうが予算不足は着実に影響しています。

 2011年東日本大震災の時点から比較しますと、ヘリコプターはかなり縮小されました。いや1990年代に多用途ヘリコプターの師団配備など空中機動力強化という流れが有りましたので、2011年の時点では惰性のように航空機が充分あったという背景もあるのですが、これは10年以上前の話であり、老朽化した機体を更新できず、定数割れ部隊がかずおおい。

 安全保障政策の転換も影響しています、防衛費が増額される、防衛費GDP2%という方針が示されましたが、しかし、増額される防衛費は防災にも転用できる各種装備というよりも長距離打撃力整備などに用いられる指針であり、昔の様に、いや今までの様に自衛隊災害派遣能力に依存するのは難しくなる、こうした認識と備えが、必要なのかもしれません。

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