■艦艇広報と観艦式と
2023年も観艦式特集は続きます。
観艦式、2022年国際観艦式は一般観客を乗せることなく実施されました、そして前回の自衛隊観艦式は台風直撃を受け中止されていますので最後に一般観客を乗せての自衛隊観艦式は2015年となっていまして、実に8年間もの空白が生まれています、次の観艦式は先だ。
体験航海という体裁でもよいから、もう少し広報展示の機会が必要だと考えるのですが、このあたり海上自衛隊は限界がある。一方で、後方幹部のいないところで聞きます艦隊勤務というのはいろいろと厳しい話題が、この10年で増えているようにも思う、特に忙しさ。
海に親しむ機会というものを増やしてゆきませんと、それは自衛隊の任務なのか、と問われるでしょうけれども、特に自衛官は外国人船員に依存できないという事情もありますので、ふっと、こう切れる様に募集難が防衛上の大きな課題として表面化するよう危惧する。
浦賀水道を太平洋へ、相模湾へと艦隊が航行する中、行き交う商船などとともに一つの陣形のように護衛艦が掃海母艦が、訓練支援艦が潜水艦救難艦が、と進んでゆく様子、これは2012年の情景ではあるのですが、一つ思い出は十年以上経て鮮明に覚えているものです。
艦艇広報という視点からは、特にもう少し多くの人が海となじめるようになりませんと、特に募集広報という視点を考えると難しい将来がくるのかもしれない、この8年間の空白というものは小さくはないものだと考えるのですね。なにしろ船乗りというだけで大変だ。
海洋立国、こう呼ばれる我が国ではあるのですが、実のところ日本の気質は大陸的であるように思えます、専守防衛という認識などは古典的なゲオポリティクスの延長線上にありまして、そもそも専守防衛と海洋立国という認識が矛盾しますが世論は前者を選んでいる。
専守防衛は国是ではあるのですが、一方で日本は資源の面で海洋自由原則に依存しているものであり、海との関係は拒絶できません、これは食料安全保障ともエネルギー安全保障とも密接に関係している命題で、専守防衛との整合性をもう少し戦後議論すべきであった。
シーレーン防衛と専守防衛、ここを突き詰めすぎますとシーレーンも専守防衛だ、という理念を無理に押し進めますと、変な覇権論争に発展してしまいます。このあたりから、実は海との関係性というものを実感する機会が必要なのですけれども、機会さえ実は少ない。
海上交通は日本では旅客移動の手段としても、たとえば九州や小笠原や瀬戸内海の多島海域で生活を営むでもしなければ実感はわくものではなく、そして付け加えれば多くの離島も近接する島嶼間では橋梁がかけられるようになりましたので海との親しみはみるだけに。
海上勤務、しかし、これは難しいものです、なにしろ商船勤務でも労働基準法の枠外におかれるほどに特殊な環境でありまして、月月火水木金金、という表現ではありませんがいったん乗務しますと全休という概念そのものがなくなるという特殊な労働環境なのですね。
やりがい、という言葉でも説明されるところなのですけれども、一応、代休のように長期航海のあとには一定の長期休暇は制度として認められている、これは商船の話ではあります、代理要員確保が難しければ休暇買い取りとして賃金上乗せなどでにおわることも多い。
長期航海という場合でも、幸いにして当方が知ります船舶乗員の方には休暇買い取りのような制度で苦労している範疇のかたにかぎられるのですが、それでも余裕のない海運会社や観光船会社には休暇買い取り制度さえなく休暇は書類上にしか存在しないという話さえ。
海上自衛隊の募集を考えますと、まず海での暮らしというものはどういうものなのか、という視点からもう少し広報しませんと、なにしろ時代は働きかた改革の時代、帰宅という概念の枠外、特に艦艇勤務は本籍地が艦艇、故に理解というものが応募に直結するのです。
海上交通、考えるとフェリーという交通手段も減っています、航路は維持されているとの反論があるでしょうが、航路が維持されるというよりも、運行本数がへってしまいますと利便性のある時間帯に運行されていないという結果使われにくく、貨物輸送に重点が移る。
海と親しもうにも、例えば鉄道と激烈な競争を繰り広げた瀬戸内海航路などは、まだまだ運行本数が多く、選べる立場でもありますから、阪神から九州まで利用してみますと、また乗ってみよう、次乗れるのはいつだろうか待ち遠しくはなるものなのです、ただほかは。
北海道航路などを挙げますと、頑張ってはいるのだけれども所要時間とともに到着時刻をみますと、利用してみたいのだけれどもちょっと時間帯がなあ、と渋ってしまうものでして。他方、大阪と東京を結ぶ航路があったら船旅は豪華、と考えてみたりもするのですね。
海上輸送の恩恵には預かる一方で、その一端に参加してみようといいますとなかなかに難しいものがあります、これが海上自衛隊となりますとなおさらというものでして、海上自衛隊はいいぞ、と多くの方に勧められるかといわれますと、まずは見てとしかいえません。
COVID-19,自衛隊を見てもらう機会というものが減っているという背景にこのいまなお、いや今こそついに毎日の死者数は500名を越えてしまっている現状では認識すべきなのでしょうが、COVID-19による艦艇広報の断絶というものも大きな影響ではある、しかし。
艦艇広報は2016年熊本地震、これも早いもので7年を経ることとなりましたが、この際に大規模な災害派遣に当たったことで海上自衛隊の訓練計画が大きく圧迫され、時の海上幕僚長が、艦隊を休ませるように命じた、しかし省ける業務がほとんどありませんでした。
熊本地震の災害派遣、艦隊の任務はまず年次訓練計画がくまれていて、合間合間に艦艇広報を可能な範囲内で実施するのですが、例えば入港の際の一般公開は寄港地で行うことは出来るのですが、その先となりますと、例えば展示訓練となれば調整は複雑となります。
難しいのはわかるのだけれども、広報の機会を確保しなければ何れ人が集まらなくなる、こう危惧するのは艦艇装備計画の推移です、護衛艦は近年大型化しており、これは必然的に航海期間の長期化を意味し、プレゼンスオペレーションなど任務も遠方に広がっている。
たちかぜ型ミサイル護衛艦より大型の3900tの護衛艦、もがみ型がコンパクト護衛艦と呼ばれているのだからなあ、こう痛感するのですね。自動車はいつかはクラウンと呼ばれていた時代の人が最初からアウディやBMWやレクサスに乗っているような若者をみる想い。
しかし、大型化するという事は個室の多かった掃海艇をこうした護衛艦が置換える、つまり長期航海が多くなり、上陸できない生活が続くということ、そして居住環境もそれ程良くならない、この当たりも広報でどうしても影響が及ぶのではないか、こう思うのですね。
2012年と2022年、いやもう2023年ではあるのですが海上自衛隊は大きく変わりました、それは装備が多少変わってはいるのですが勤務環境も変わると共に周辺情勢の緊迫化、財政再建の為の公務員非正規化などもあり、ゆえに、広報の重要性を一層感じるのですよね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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2023年も観艦式特集は続きます。
観艦式、2022年国際観艦式は一般観客を乗せることなく実施されました、そして前回の自衛隊観艦式は台風直撃を受け中止されていますので最後に一般観客を乗せての自衛隊観艦式は2015年となっていまして、実に8年間もの空白が生まれています、次の観艦式は先だ。
体験航海という体裁でもよいから、もう少し広報展示の機会が必要だと考えるのですが、このあたり海上自衛隊は限界がある。一方で、後方幹部のいないところで聞きます艦隊勤務というのはいろいろと厳しい話題が、この10年で増えているようにも思う、特に忙しさ。
海に親しむ機会というものを増やしてゆきませんと、それは自衛隊の任務なのか、と問われるでしょうけれども、特に自衛官は外国人船員に依存できないという事情もありますので、ふっと、こう切れる様に募集難が防衛上の大きな課題として表面化するよう危惧する。
浦賀水道を太平洋へ、相模湾へと艦隊が航行する中、行き交う商船などとともに一つの陣形のように護衛艦が掃海母艦が、訓練支援艦が潜水艦救難艦が、と進んでゆく様子、これは2012年の情景ではあるのですが、一つ思い出は十年以上経て鮮明に覚えているものです。
艦艇広報という視点からは、特にもう少し多くの人が海となじめるようになりませんと、特に募集広報という視点を考えると難しい将来がくるのかもしれない、この8年間の空白というものは小さくはないものだと考えるのですね。なにしろ船乗りというだけで大変だ。
海洋立国、こう呼ばれる我が国ではあるのですが、実のところ日本の気質は大陸的であるように思えます、専守防衛という認識などは古典的なゲオポリティクスの延長線上にありまして、そもそも専守防衛と海洋立国という認識が矛盾しますが世論は前者を選んでいる。
専守防衛は国是ではあるのですが、一方で日本は資源の面で海洋自由原則に依存しているものであり、海との関係は拒絶できません、これは食料安全保障ともエネルギー安全保障とも密接に関係している命題で、専守防衛との整合性をもう少し戦後議論すべきであった。
シーレーン防衛と専守防衛、ここを突き詰めすぎますとシーレーンも専守防衛だ、という理念を無理に押し進めますと、変な覇権論争に発展してしまいます。このあたりから、実は海との関係性というものを実感する機会が必要なのですけれども、機会さえ実は少ない。
海上交通は日本では旅客移動の手段としても、たとえば九州や小笠原や瀬戸内海の多島海域で生活を営むでもしなければ実感はわくものではなく、そして付け加えれば多くの離島も近接する島嶼間では橋梁がかけられるようになりましたので海との親しみはみるだけに。
海上勤務、しかし、これは難しいものです、なにしろ商船勤務でも労働基準法の枠外におかれるほどに特殊な環境でありまして、月月火水木金金、という表現ではありませんがいったん乗務しますと全休という概念そのものがなくなるという特殊な労働環境なのですね。
やりがい、という言葉でも説明されるところなのですけれども、一応、代休のように長期航海のあとには一定の長期休暇は制度として認められている、これは商船の話ではあります、代理要員確保が難しければ休暇買い取りとして賃金上乗せなどでにおわることも多い。
長期航海という場合でも、幸いにして当方が知ります船舶乗員の方には休暇買い取りのような制度で苦労している範疇のかたにかぎられるのですが、それでも余裕のない海運会社や観光船会社には休暇買い取り制度さえなく休暇は書類上にしか存在しないという話さえ。
海上自衛隊の募集を考えますと、まず海での暮らしというものはどういうものなのか、という視点からもう少し広報しませんと、なにしろ時代は働きかた改革の時代、帰宅という概念の枠外、特に艦艇勤務は本籍地が艦艇、故に理解というものが応募に直結するのです。
海上交通、考えるとフェリーという交通手段も減っています、航路は維持されているとの反論があるでしょうが、航路が維持されるというよりも、運行本数がへってしまいますと利便性のある時間帯に運行されていないという結果使われにくく、貨物輸送に重点が移る。
海と親しもうにも、例えば鉄道と激烈な競争を繰り広げた瀬戸内海航路などは、まだまだ運行本数が多く、選べる立場でもありますから、阪神から九州まで利用してみますと、また乗ってみよう、次乗れるのはいつだろうか待ち遠しくはなるものなのです、ただほかは。
北海道航路などを挙げますと、頑張ってはいるのだけれども所要時間とともに到着時刻をみますと、利用してみたいのだけれどもちょっと時間帯がなあ、と渋ってしまうものでして。他方、大阪と東京を結ぶ航路があったら船旅は豪華、と考えてみたりもするのですね。
海上輸送の恩恵には預かる一方で、その一端に参加してみようといいますとなかなかに難しいものがあります、これが海上自衛隊となりますとなおさらというものでして、海上自衛隊はいいぞ、と多くの方に勧められるかといわれますと、まずは見てとしかいえません。
COVID-19,自衛隊を見てもらう機会というものが減っているという背景にこのいまなお、いや今こそついに毎日の死者数は500名を越えてしまっている現状では認識すべきなのでしょうが、COVID-19による艦艇広報の断絶というものも大きな影響ではある、しかし。
艦艇広報は2016年熊本地震、これも早いもので7年を経ることとなりましたが、この際に大規模な災害派遣に当たったことで海上自衛隊の訓練計画が大きく圧迫され、時の海上幕僚長が、艦隊を休ませるように命じた、しかし省ける業務がほとんどありませんでした。
熊本地震の災害派遣、艦隊の任務はまず年次訓練計画がくまれていて、合間合間に艦艇広報を可能な範囲内で実施するのですが、例えば入港の際の一般公開は寄港地で行うことは出来るのですが、その先となりますと、例えば展示訓練となれば調整は複雑となります。
難しいのはわかるのだけれども、広報の機会を確保しなければ何れ人が集まらなくなる、こう危惧するのは艦艇装備計画の推移です、護衛艦は近年大型化しており、これは必然的に航海期間の長期化を意味し、プレゼンスオペレーションなど任務も遠方に広がっている。
たちかぜ型ミサイル護衛艦より大型の3900tの護衛艦、もがみ型がコンパクト護衛艦と呼ばれているのだからなあ、こう痛感するのですね。自動車はいつかはクラウンと呼ばれていた時代の人が最初からアウディやBMWやレクサスに乗っているような若者をみる想い。
しかし、大型化するという事は個室の多かった掃海艇をこうした護衛艦が置換える、つまり長期航海が多くなり、上陸できない生活が続くということ、そして居住環境もそれ程良くならない、この当たりも広報でどうしても影響が及ぶのではないか、こう思うのですね。
2012年と2022年、いやもう2023年ではあるのですが海上自衛隊は大きく変わりました、それは装備が多少変わってはいるのですが勤務環境も変わると共に周辺情勢の緊迫化、財政再建の為の公務員非正規化などもあり、ゆえに、広報の重要性を一層感じるのですよね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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