命に係わるような大事なことはあれこれ思索して決めるというより、直感や五感といったものに従ったほうがうまくいくことが多いのではないだろうか。思い出せば60年前に東伊豆で危うく台風が近づく海水浴場で溺れかけ、父に助けられたことは、父や私の直感のおかげかもしれない。
20年近く前になるが、ふと眼にした広告で「生き甲斐の心理学」を学び始めたのも直感だった。また、その後に第2の人生に向けて会社をやめるときも、思索の結果というよりは最終的には明るい直感だったように思う。私が縄文の世界にのめり込んだきっかけも、多摩境の田端遺跡で感じた明るい直感だったと思う。
五感体感を通し生な感情を得て瞬間的に一つのひらめきが起こる。さらに、魂の上昇感と言ったらよいのだろうか、深いところから湧きおこる明るい感情に支えられる。もちろん不安いっぱいなのだが明るい方向性がある。
一方、頭でこねくり回した考えや感情は直感とはいわない。他人からなんとなく聞いた話が主導権をとり、生な感情をどこかでブロックする。そうした考えに従ったばかりにへんなことになる。そして、いったんへんになると、雪だるま式にへんになる。自分がへんだという生の感情・不安感に気が付かない限り・・・。
生の感情は、下手な知識よりは生きる上で何らかの真理を表していて、その意味を考えることは実に役立つことだ。それが暗い感情であっても明るく解釈することで展望が開ける。
さて、今のコロナ禍や自然災害。憂鬱になってしまうが、日本列島での歴史を振り返ると決して今日に始まったことではないようだ。有名なところでは13世紀の鴨長明の方丈記がある。方丈記の初めの文は日本人誰もが知っているが、実は鴨長明が経験した大災害(つむじ風、地震、火災、飢饉・・)や組織内での没落などを背景にしたもので、名誉や拝金主義のような風潮のむなしさを訴えている。
特に飢饉の時の人々の記述は人々の中にある愛とか慈愛に感動するが、それを超える悲惨さの前には単なる自己概念が凶器となった事例という暗い解釈も成り立つようで、ぞっとする。
しかし、鴨長明の人生は悲惨さを潜り抜けてから、山の中で一人方丈の住居に住み、真善美を味わうという生き甲斐を発見するようだ。恐らく直感で生き延びた鴨長明は、その直感から真善美にたどり着いたのだろう。
これはNHKの100分で名著を見て知ったので、お時間がある方は是非ごらんください。
こうした、中世の悲劇や先人の生き方も参考になるが(特に山中に一人住むというのは縄文人のようでもある)、縄文時代の人たちはどうだったのだろうか。
13,000年の歴史は有史以来の時代の凡そ10倍くらい長い。当然ながら有史で経験したことのないような喜界カルデラの大災害をはじめ、気候変動による大災害もあっただろう。その中で、祖先たちは風説や当時の常識を超えて直感で生き抜き、命のバトンタッチをしてくれたのだろう。そしてその記憶は日本神話や民話のどこかに、そして縄文遺跡などの考古学の成果に残されているはずだ。
私は、縄文後期に盛んになるストーンサークルにその痕跡があるのではと秘かに妄想している。考古学者の堤隆さんのご著書に「浅間 火山と共に生きる」がある(ほおずき書籍 2012年)。縄文遺跡についても触れられているが一番印象的だったのは、江戸時代の浅間山の火山爆発で93名しか生き残らなかった麓の鎌原村のことだった。大被害で当然個々の家族は成り立たず生き残った人は悲惨な状況に置かれたが、当時の近隣の有力者によって仮設住宅が建てられ、炊き出しがあり、そして被災者を一つの家族として家族再生までしている。
縄文中期と比べ人口が減ったとされる縄文時代後期。その後期にストーンサークルが目立って作られる。私の住む関東にもあるが(近くの田端遺跡など)、その出現はある時期までお墓が作られるが、例えば3500年くらい前からそのお墓群の上に祭儀上と思われるようなストーンサークルがお墓群の上に墓を無視してまで作られる。その作られる背景に江戸時代の家族再生のような物語があったのではないか。私はよくわからない中であるが、そんなことも想像してしまう。
家族とか祖先といった概念を超えた、真善美の世界が当時の人をとらえ始めたのではないだろうか。
五感や生の感情の世界、直感、真善美・・こうした時代に思索を深めるべきではなかろうか。
4/10五感とストレス解消の生活
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