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謀の聖地、談山神社へ (こころの奈良 6/10)

2018-06-13 | 第二章「五感と体感」

 吉野の西行庵なども行きたいところだったが、時間の都合で今回は吉野川の天皇淵あたりまでドライブしただけで、飛鳥方面に戻った。そして、妻がまだ行ったことがない談山神社を訪れた。

 談山神社は藤原鎌足を祭神とする神社で、拝殿に行くと多武峰絵巻が展示されていて、大化改新の発端とされている中大兄皇子と鎌足の謀のことや、入鹿暗殺の場面などが見られる。鎌足はどう考えても現在の日本を導いてきた人物の一人であり忘れてはならない存在であるが、六韜を読み乙巳の変後も、中大兄皇子と共に孝徳天皇政権を排除し、今と似ている東アジアの危機の時代を謀略で乗り越えていく姿は、私にはどこか違和感があった。

 しかし、最近、石川逸子著「道昭」を読んだり、茨城県の鹿島神宮に行ったりする中で、藤原鎌足が蝦夷に通じる人脈だった可能性を考えたりした。鎌足は語学に通じていて、大陸の言葉のほか蝦夷の言葉にも通じていたなど。知識や理性は違和感を受容するために大きな働きをするようだ。

 人には誰でも苦手な人がいるものだ。普通そうした苦手な人を受容しようとしても、好悪の感情があるわけでなかなか受容できないものだ。他者を受容するには相手ではなく受容できない自分を受容すると考えた方が早道だ。私が縄文時代に凝ったり、鎌足に違和感を感じるのは、幼い頃ネイティブのいるアラスカに行ったり、カトリックの洗礼を受けていたりした生育史があり、ある意味で自然なのである。縄文文化の祖先達は弥生時代以降の大陸からの支配者の到来で列島の中心地から駆逐されていく。そうした武力にたよる政治に違和感を感じるのもそれなりの理由がある。でも、それも時代の不思議な流れであったかもしれない。

 神社境内には縄文からの古神道の神が息づいているようでもあり、なんとも心が洗われるような場所がある。

  

 このような場所に鎌足や不比等、定慧、さらに斉明天皇や持統天皇が来たことを考えるとなんとも言えぬ気分になる。

 美しい紅葉の緑が印象的で、天候もよく、拝殿でそよ風にあたったりするとなんとも気分良い。紅葉が見頃の談山神社はものすごい人だと聞くが、この人の少ない時期はおすすめだ。

 今回は、談山神社が編集した「大和多武峰紀行」を購入して、帰ってからであるが読まさせていただき、いくつかの発見もした。少し歩かなければならないが談山や両槻宮のあたりなど行ってみたいものだ。

   一時比叡山の天台宗のお寺であったことや、僧兵が3000人もいたことも知った。古代だけでなく、中世以降もいろいろあったと知った。

    

 明治の廃仏毀釈で、残念ながらお寺が廃されてしまったことも。以前、行った金峯山寺での廃仏毀釈のお話も思い出し残念な気持ちになる。私はどうも多様性と自由が好きなのだろう。

こころの奈良 6/10

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