京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

 老いても花を

2009年09月21日 | 日々の暮らしの中で


「今夜は7時からMさんやしな」
出勤前の息子に、その日の晩の予定を必ず言って聞かせるあなたでした。その姿を「子供じゃあるまいし」とみていた私です。

連絡もなく、約束のお参りの時間に間に合いそうにない。あなたはどれほど気をもみながら先方に詫びの電話を繰り返してきたか。
職員会議が長引いた、出張が入った、(たまに)ワスレテシマッテイタ、という理由が聞こえてくる。遅れても許されるならまだしも、時に「寺を変えるぞ」と厳しい言葉を受け、信頼を失いそうだった…。

やがて、時間のルーズさを嘆くことでは嫁姑団結しましたね。この時ばかりは“こころの友”。連絡ぐらいはせーよ!とイライラを発散させ、本心から怒ったものでした。そんなことが続きましたね。今はもう忘れてしまいましたか?一代、頭を下げ通したのはあなたでした。

快活で話上手なあなたの周りには、いくつもの笑いの花を咲かせてきました。何もかも自分でしょって立たねば気が済まない強さも持ち合わせ、その裏で、私は出る幕がないわと言っては楽をしてきました。誰に教わればよいのか、それは今までも、この先も明白なことです。

「角を矯めて牛を殺す」。こうならない配慮を私は受けたのでしょう。

“老いても老木に花が咲く”。
一代記を穏やかににじませて、あなたはそこにいてくれればいいのですよ。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする