政治的なコミットメントをすることはタブー視している拙ブログである。しかし、講座を受講したという事実は記しておきたい。そこで小細工をすることなく講座名をそのままタイトル名とした。
昨日までフットパスの話題を綴ってきて、いきなり憲法問題とは振れ幅が大き過ぎるかもしれない。しかし、ここで私自身が憲法問題を論ずるのではない。受講したという事実をありのままに(あれっ?どこかで聞いたことがある言葉ですね)レポートしたいと思う。
毎年受講している北大大学院の法学研究科の本年度のテーマが「なぜ憲法改正なのか?」というものであった。
今年は7月24日から8月21日まで4回シリーズで開催され、先日全日程を終えたところだ。
各回のテーマ、講師を記してみることにする。
◇第1回 7月24日(木)
「立憲主義・憲法・憲法改正 ~憲法改正問題を考える際のポイント~」
北大大学院法学研究科 教授 佐々木 雅寿 氏
◇第2回 7月31日(木)
「民意による政治の意義と限界 ~なぜデモクラシーと立憲主義が結び付くのか~」
法大法学部 教授 山口 二郎 氏
◇第3回 8月 7日(木)
「自民党草案の反立憲主義的性格について~中国憲法との比較の視点から~」
北大大学院法学研究科 教授 鈴木 賢 氏
◇第4回 8月21日(木)
「憲法9条は日本の安全を保障するか」
北大大学院法学研究科 教授 遠藤 乾 氏
それぞれの講座で講師が語った印象的なキーワードだけをレポートしておくことにする。
第1回の佐々木氏は「立憲主義」ということに重点を置いて話された。
民主主義を標榜する国において「立憲主義」は普遍的な原理であるとし、その考え方は例え民主主義的手法においても間違いを犯すかもしれない危険性を憲法によって制限する考え方であるとした。
そして立憲主義のもっとも大切な価値は「国民の基本的人権を保障する」という考え方であるとし、佐々木氏は、戦争は最大の人権侵害行為であると強調された。

第2回の山口氏も同じように、民主主義(多数決)は万能ではないとし、国民が権力を持つ時代こそ憲法による縛りが必要であると強調された。
そして文明としての「政治」は、多元性と寛容が重要であり、共存と調整こそが政治の要諦であるとした。

第3回の鈴木氏は中国法が専門の方だが、自民党の改正憲法草案は反立憲主義的性格の中国憲法と通ずるところが多いと論じた。
中国憲法と自民党の改正憲法草案のどこに通ずるところがあるかというと、両者ともに「天賦人権説」(すべて人間は生まれながらに自由かつ平等で、 幸福を追求する権利をもつという思想)に対して、見直しを示唆したり、否定したりしている点を指している。

第4回の遠藤氏は、戦後日本の国家安全保障構造について言及した。
戦後日本の安全保障は、憲法9条の下の平和主義・軽武装と、日米安保体制の下の米軍による軍事安全保障・重武装がセットとなったバランスの上で成り立ってきたとした。
つまり憲法9条は、日米安保とあいまって、日本から攻撃しないというシグナルを発してきたという。ところが現政権の「普通の国」路線はそのバランスを崩しかねない危うさ(安全保障のジレンマ)をもたらす危惧を感ずるとした。

講座全体のトーンとしては、現政権の目ざす方向に対して警鐘を鳴らす感じであったが、講座の基本コンセプトとしては、一人ひとりが主体的に憲法について考える素材を提供するというもので、それぞれの講師陣も抑制的に講義していたのが印象的だった。
なお、各氏の講義内容については私自身がそう受け取ったということで、あるいは講師の思いを十分に咀嚼できていないことは大いにあり得ることだということをお断りしておきます。
昨日までフットパスの話題を綴ってきて、いきなり憲法問題とは振れ幅が大き過ぎるかもしれない。しかし、ここで私自身が憲法問題を論ずるのではない。受講したという事実をありのままに(あれっ?どこかで聞いたことがある言葉ですね)レポートしたいと思う。
毎年受講している北大大学院の法学研究科の本年度のテーマが「なぜ憲法改正なのか?」というものであった。
今年は7月24日から8月21日まで4回シリーズで開催され、先日全日程を終えたところだ。
各回のテーマ、講師を記してみることにする。
◇第1回 7月24日(木)
「立憲主義・憲法・憲法改正 ~憲法改正問題を考える際のポイント~」
北大大学院法学研究科 教授 佐々木 雅寿 氏
◇第2回 7月31日(木)
「民意による政治の意義と限界 ~なぜデモクラシーと立憲主義が結び付くのか~」
法大法学部 教授 山口 二郎 氏
◇第3回 8月 7日(木)
「自民党草案の反立憲主義的性格について~中国憲法との比較の視点から~」
北大大学院法学研究科 教授 鈴木 賢 氏
◇第4回 8月21日(木)
「憲法9条は日本の安全を保障するか」
北大大学院法学研究科 教授 遠藤 乾 氏
それぞれの講座で講師が語った印象的なキーワードだけをレポートしておくことにする。
第1回の佐々木氏は「立憲主義」ということに重点を置いて話された。
民主主義を標榜する国において「立憲主義」は普遍的な原理であるとし、その考え方は例え民主主義的手法においても間違いを犯すかもしれない危険性を憲法によって制限する考え方であるとした。
そして立憲主義のもっとも大切な価値は「国民の基本的人権を保障する」という考え方であるとし、佐々木氏は、戦争は最大の人権侵害行為であると強調された。

第2回の山口氏も同じように、民主主義(多数決)は万能ではないとし、国民が権力を持つ時代こそ憲法による縛りが必要であると強調された。
そして文明としての「政治」は、多元性と寛容が重要であり、共存と調整こそが政治の要諦であるとした。

第3回の鈴木氏は中国法が専門の方だが、自民党の改正憲法草案は反立憲主義的性格の中国憲法と通ずるところが多いと論じた。
中国憲法と自民党の改正憲法草案のどこに通ずるところがあるかというと、両者ともに「天賦人権説」(すべて人間は生まれながらに自由かつ平等で、 幸福を追求する権利をもつという思想)に対して、見直しを示唆したり、否定したりしている点を指している。

第4回の遠藤氏は、戦後日本の国家安全保障構造について言及した。
戦後日本の安全保障は、憲法9条の下の平和主義・軽武装と、日米安保体制の下の米軍による軍事安全保障・重武装がセットとなったバランスの上で成り立ってきたとした。
つまり憲法9条は、日米安保とあいまって、日本から攻撃しないというシグナルを発してきたという。ところが現政権の「普通の国」路線はそのバランスを崩しかねない危うさ(安全保障のジレンマ)をもたらす危惧を感ずるとした。

講座全体のトーンとしては、現政権の目ざす方向に対して警鐘を鳴らす感じであったが、講座の基本コンセプトとしては、一人ひとりが主体的に憲法について考える素材を提供するというもので、それぞれの講師陣も抑制的に講義していたのが印象的だった。
なお、各氏の講義内容については私自身がそう受け取ったということで、あるいは講師の思いを十分に咀嚼できていないことは大いにあり得ることだということをお断りしておきます。