石狩川河口は私も何度も訪れているが、その先端(砂嘴)が季節によって動いているということを初めて知ることができた。 また、数百年の歴史の中では河口(砂嘴)が大きく伸びたことも知ることができた。
※ 私たちが現地踏査した7月2日の石狩川河口の砂嘴の様子です。
私にとって非常に興味ある講座を受講していたのだが、資料が散逸していたため今日までレポートできずにいた講座があった。
それは石狩市民カレッジで今から少し前の6月4日、18日、7月2日の3回にわたって開講された「不思議いっぱい!石狩川河口」という講座を受講していたのだった。
遅まきながら、その講座をレポートしたい。
講師の石川治氏はいわゆる市井の研究者である。会社員を退職されてから石狩川河口を研究対象とされて、実証的に調査・研究されている方である。
石川氏の調査方法はGPSロガーというナビゲーションを身に付け、石狩川河口の水際を歩いてその形状を記録するという方法で河口の変化を追っているというものだ。
これまで、2009年から2014年まで計121回も河口の先端を歩いて計測した結果をもとにした河口(砂嘴)の変化を語った。
※ 石狩川河口の現地踏査で説明する講師の石川治氏です。
砂嘴とは石狩川の左岸、日本海と石狩川に挟まれたところを指す。
石川氏は6年間の調査の結果、石狩川の砂嘴は夏期には「南東から北西へ動く」、つまり川側から海側へと先端が押し出され、冬期には反対に「北西から南東へ動く」、つまり海側から川側へと先端が押し出される、という傾向を見出した。
そしてその要因を石川氏は、夏期には海が静かなうえ、融雪、あるいは台風、前線による増水が考えられる。また、冬期の動きについては、川が渇水期のうえ、北西風による強い波が継続して押し寄せることが要因ではないかと推測した。
※ 河口の中ほどに砂が堆積して陸化したところを「河口テラス」というそうです。
そのように推測したのは、ここでは紹介できないが石川氏は講座の中では数々の傍証を示してくれた。
石川氏は市井の研究者とは思えないほど非常に緻密な調査とその分析をされ、それを受講者に実に分かり易く伝えてくれた。そのうえ、適度なユーモアも交えられ、心地良く楽しい気分で受講することができた。
石川氏はそこから発展して古文書などを調査して数百年にわたる石狩川河口の変遷を紹介してくれた。その様子について後編にて紹介したい。
なお、使用した写真は第3回講座で現地踏査をした際に写した写真である。