御殿山(函館山)は登山というよりは気軽なハイキングコースと称した方が相応しい山である。事実この日は、健康づくりをする人、恋人と語らいながら歩く人、山野草を観察する人など、さまざまな形でハイキングを楽しむ人と出合った。
※ 御殿山(函館山)の山頂はご覧のように霧に包まれ、眺望はゼロでした。
函館山は、津軽海峡に飛び出すような形(陸繋島)の山全体を表す名称だという。その陸繋島には大小13の山があり、その総称が「函館山」だという。その函館山の中でも最も高く、展望台のある山は「御殿山」というのが正式名なのだが、13の山を代表した形として「函館山」と称しているようだ。
その「函館山」は函館有数の観光スポットのため駐車するスペースが限られているのだが、私はカーナビを頼りに函館山ロープウェイの山麓駅駐車場に車を駐車した。(無料)他にもっと登山口に近い駐車場もあるようだが、登山口からそれほど遠くもなく、広いスペースのあるこの駐車場がお勧めかもしれない。
※ 函館山ロープウェイの山麓駅と駐車場です。
案内図を頼りに住宅街を歩いて10分、「旧登山道コース」の登山口がある「函館山ふれあいセンター」のところに出た。
※ 「函館山ふれあいセンター」のところに設けられた登山口です。
コース案内に従い、さっそく登山コースを歩みだした。天候は霧がかかって、時々小雨がパラつくという良いコンデションではなかった。コースに入ると、七飯町では赤松が珍しかったが、函館山では杉の木が真っすぐに伸びて立っている姿が印象的だった。艶消しなところは、「旧登山道コース」と函館山に至る車道が3ヵ所に渡って交差しているところだった。
※ 登り始めてすぐに「函館要塞当時の貯水槽」がの残されていました。
※ 登山口直後から目立ったスギの木立です。
そうした交差したところの路傍に石碑が立っていた。その石碑には「緑の山 紺青の海 美しきかな 函館 無音」と刻されていた。「無音」という作者は誰のことかと帰宅して調べたところ、宗藤大陸前函館市長の書き遺した一文から取ったということだ。石碑そのものは登山道路開通20周年を記念して立てられたらしいが、登山道開設に尽力された宗藤氏の功績を讃える意味が込められているということだ。
※ 登山路と車道とが交差したところで見かけた石碑です。
コースは登山道というよりは、市民の散策コース的意味合いが強く、傾斜もきつくなく徐々に、徐々に高度を上げていく感じだった。楽しかったのは、都会の真ん中にある小さな山にも関わらず山野草が豊かで、登りながらおおいに目を楽しませてくれた。春の山野草の定番、スミレの類い、エゾエンゴサク、エンレイソウ、カタクリ、キクザイチゲなどがちょうど花の盛りを迎えていて、小雨模様の天気だったが楽しませてくれた。
※ スミレ(タチツボスミレ?)
※ こちらは白色のスミレ?
※ エゾエンゴサクの群落
※ エンレイソウ
※ カタクリの花はあまり目立ちませんでした。
※ もっとも目立ったキクザイチゲ
「旧登山道コース」では、多くの人たちと行き交った。健康のために歩かれている人、恋人らしき人と山歩きを楽しんでいる人、グループで山野草の観察に勤しむ人など、さまざまな方々と出合った。下山時には、私が登山時に見逃したニリンソウが花を付けているところを教えてくれた方もいた。
※ 今回の登山で唯一目にしたニリンソウ
「旧登山道コース」は合目表示もしっかりなされ、コースの整備も万全だった。ただ、頂上が近づいた8合目以降の表示で私は戸惑った。コース上には「展望台へ」という表示があった。私の中では「展望台 = 山頂」とは考えていなかった。そこで8合目からは車道を上がっていった。結果、ずいぶん遠回りをしてしまった。表示に例えば「展望台(頂上)」と表示されていれば間違わなかったと思うのだが…。
※ こうした合目表示がしっかりと立てられていました。
※ 典型的なスギの木立
遠回りしたこと、車を駐車したところが登山口より10分ほど下のところだったこと、花の写真を撮りながら登ったこと、などで1時間15分もかかって山頂に到達した。
山頂は予想どおり霧にかすんで眺望はゼロ、な~んにも見えなかった。残念!
※ 山頂はご覧のように深い霧に包まれていました。
山頂には観光バスで大挙乗り付けた外国人観光客が目立ったが、彼らも霧を見に来たのだろうか?眺望は望めなかったが、春の山野草をたっぷり堪能することができたのでヨシとすることで自分を納得させた。
【御殿山(函館山)「旧登山道コース」 登山データ】
標 高 334m (標高差 278m)
駐車場 函館山ロープウェイ山麓駅に大型駐車場がある。(無料)
行 程 《グランドシニアの足とお考えください》
駐車場→(10分)→登山口→(1時間05分)→函館山々頂→(45分)→登山口
時 間 上り(1時間15分) 下り(45分)
天 候 霧雨
登山日 ‘19/05/01