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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

北海道低山紀行 86 烏帽子岳

2019-05-10 14:58:15 | 北海道低山紀行 & Other

 この日は烏帽子岳とそれに続く袴腰岳を連続して登頂する予定だった。ところが今回の道南遠征では最も難しく、最も悔しい登山となったが、それも今考えれば貴重な体験だった。春の山の場合、麓と高い1,000m台地では様相が大きく違うことを教えてもくれた登山だった。

         

         ※ 前方に見えるのがこの日に目ざした烏帽子岳(右)と袴腰岳(左)です。

    
 前夜雨が降り続いた時には弱気になり、「登山は止めようか」と思った時もあったが、朝起きるとスカッと空は晴れ上がり、弱気な気持ちはどこかに消し飛んでしまった。ただ、雨の影響で登山路がぬかるんではいないかということだけが少し心配だった。

 三日前に横津岳に登ったときと同じようにデコボコ道を920m地点まで上った。登山口には7時30分前に着いたが、他には誰もいなかった。

          

          ※ 登山口には私の他には誰もいませんでした。

 早速準備を整え7時35分、入林ポストに記入し登山を開始した。最初は横津岳のときと同じく航空管制レーダー基地への舗装された管理道路を進んだ。その際に、三日前とは違って舗装道路上のところどころに雪が積もっていた。前夜来の雨が1,000m近くの台地では雪に変わっていたようだ。

          

          ※ 管理道路は前日の雨が雪に変わり、全面に雪が覆っていました。

 雪を踏みしめながら登ること35分、横津岳との分岐点に出た。辺りには航空レーダーだけではなく、携帯電話会社の中継所や官庁の無線局など、複数のアンテナ施設が見られた。

          

          ※ 三日前にも見た、航空監視レーダー基地のがある横津岳山頂です。

          

          ※ 横津岳と烏帽子岳・袴腰岳との分岐点です。

          

          ※ 分岐点の付近にはこうしたレーダーが何本も立っていました。

 そうした施設を横目にいよいよ烏帽子岳、袴腰岳への縦走路に入っていった。辺りに高い木はなく、笹原の中に一本の細い踏み跡がついているという状況だった。

           

          ※ 細くても、このような道がずーっと続いてくれれば良かったのですが…。         

 ところどころで雪のために踏み跡が消えてしまっているところがあった。それでもその先の踏み跡を見つけることができなんとか前進していた。

          

     ※ このような雪野原に出合うとどこを進んでよいのか迷ってしまいます。この場合は先に道が見つかりましたが…。

 途中、「前沼湿原(第一湿原)」というところに出た。湿原はまだまだ冬の状態だった。広い平地が広がり、谷内坊主のようなものが湿原であることを示していた。

          

          ※ 高層湿原についての説明板(上)と、前沼湿原(下)の様子です。

          

 湿原を通過し、分岐点から30分くらい行動したときだった。突然広い平地に差し掛かった。そこには踏み跡がまったく見えなかった。平地のあちこちを歩き回ってなんとかその先の踏み跡を見つけようとしてみたがいっこうに見つからない。困ってしまった私は「誰か後続の方が来るかもしれないので待ってみよう」と考え、風の当たらない木陰で待機した。しかし、30分待っても誰も現れなかった。「これは撤退するしかないな」と考えたが、もう一度周囲を探索してから諦めようと考え、歩き回ったところ幸いにも笹原の中に微かな踏み跡を発見し、前進することができた。

          

       ※ 私が30分間迷い続けた雪原です。あちこちに私の靴跡が残っています。迷い続けた結果です。

          

          ※ この時は、この先に踏み跡を見つけることができ、無事前進できたのでした。

 その後も踏み跡が消えたところがあったものの、規模が小さいこともありその先の踏み跡を見つけることができ、なんとか前進することができていた。

 するとまた湿原に出合った。「烏帽子湿原(第二湿原)」と書かれた看板が立っていた。ここの湿原も「前沼湿原」と同じようにまだ冬の眠りから覚めてはいなかった。

          

          ※ 第二の高層湿原の説明板(上)と、烏帽子湿原(下)の様子です。

           

 烏帽子岳に向かうルートは、その後はしっかりと踏み跡を確認しながら登ることができた。登山口から約2時間経過し、「烏帽子岳」山頂に立つことができた。山頂とはいっても丘の上の頂点のような穏やかな頂上だった。

          

          ※ 烏帽子岳山頂直前の笹原の登山道です。わずかに凹んだところが登山ルートです。

          

          ※ 烏帽子岳の山頂標識です。

 「烏帽子岳」からの眺望は良く効き、航空監視レーダー基地も遠くに見え、振り返るとこの後に登頂を目指す「袴腰岳」が指間の距離に望めた。

          

          ※ 烏帽子岳から後ろを振り返ると、遠くに航空監視レーダ基地が望めます。

          

          ※ 目ざす袴腰岳はすぐ目の前に見えたのですが…。

 一呼吸して「袴腰岳」を目指して一度急な斜面を降り、袴腰岳とのコルを目ざした。そのコルを目ざそうとしたとき、またまた真っ白な白い斜面が待っていた。おおよその見当をつけて白い斜面を下ったのだがどこも背の高い笹に阻まれて行く先が見つからない。懸命にあちこちと歩き回ったのだが一向にルートは見つからなかった。気が付いてみると、「袴腰岳」の方向とはまったく別な方向に向かっていた。迷い始めてすでに40分以上が経過していた。「これは危険だな!」と感じた。危険と感じたならば、これは引き返すしかない、と判断した。天候も良く、指間の距離に見える「袴腰岳」だが、無理をすることはない。潔く撤退を決めた。この時10時30分(つまり行動を始めて3時間が経過していた)だった。

          

        ※ 烏帽子岳の山頂から少し下ると、写真のような標識があり、標識に従って降りて行ったのですが…。

          

          ※ ➪に従って先に進んだのですが、途中からどこへ進んでいいのやら、迷うばかりでした。

          

          ※ こちらも先へ進んだものの、その先が見えず帰ってきたところです。

          

          ※ う~ん。無念なり!踏み跡を消してしまった雪を恨みつつ、撤退を決意しました。

 帰りは自分が付けた踏み跡を辿って戻るだけだった。残念さ、無念さが、引き返す際に疲れを倍加したように思った。登山口に帰り着いたのは12時ちょうどだった。入林ポストの記載を見ると、私の後に2人ほどが入林したことになっていた。2人とは遭遇しなかった。彼らはどこに向かったのだろうか?

 目標(袴腰岳)には到達できなかったが、迷った際に深追いしなかったことは間違っていなかったと思う。危険を冒してまで行うことではない。ある意味では今回貴重な体験をさせてもらったと振り返っている。

 【烏帽子岳 登山データ】

標 高  1078m (標高差 303m)
駐車場  登山口(ゲート前)に5~6台止めることのできる場所がある。    
行 程  《グランドシニアの足とお考えください》
     登山口→(35分)→横津岳分岐→(2時間20分)→烏帽子岳山頂→(1時間30分)→登山口

時 間  上り(2時間55分)  下り(1時間30分) 
天 候  晴れ、風強し

登山日  ‘19/05/03