アラン・ドロンの代表作の一つとなった1969年製作のフランス映画である。ニヒルな雰囲気を纏ったアラン・ドロンと、白黒映画と見紛うような暗い色調が観る者に緊張感を与え、ラストまで非常に見ごたえのある映画だった。
今さらながらにコロナウィルスに怯え、すっかり巣ごもり生活を決め込んでいる私である。このところの日本、そして北海道の状況は尋常ではない。かなり感度が鈍いと自覚する私であるが、さすがにこの状況下では不要不急の外出は避けねばと思っている。
そうなると拙ブログは一気にピンチとなる。何しろ拙ブログは「私自身が体験したことを連日書き綴る」ということだけに価値を見出だしているブログだからである。
朝から悶々と考え続けた結果、新聞のラテ欄のBSプレミアムでアラン・ドロン主演の「サムライ」が放映されることを知り、苦肉の策ではあるが映画「サムライ」を視聴し、その感想を綴ることにした。
私はまずフランス映画であるのに題名に「サムライ」と付けた点に興味を覚えた。すると映画の冒頭に次のようなクレジットが流れた。(視聴している段階ではもちろん写すことはできなかったが、ウェブ上で見つけることができた)「ジャングルの中の虎に似てサムライの孤独ほど深く厳しいものはない」という一文だった。つまりこの映画の主役の一匹狼の殺し屋ジェフ・コステロ(アラン・ドロン)を、監督のジャン=ピエール・メルヴィルは“サムライ”に見立てたということのようだ。
映画はアラン・ドロンの独壇場だった。トレンチコートに幅広のソフト帽を目深に被ったジェフ・コステロ(アラン・ドロン)の姿は、一匹狼の殺し屋の凄さとカッコよさを体現していた。そして極端にセリフを削ったストーリーは画面に緊張感を生み、観ている者にとってハラハラドキドキの展開だった。
※ 相手役を務めたナタリー・ドロンは実生活でもアランド・ロンの妻でした。
調べてみると、この映画を撮った時アラン・ドロンは32歳という、いわば脂の乗り切った時代の作品である。
1969年製作というと半世紀前である。映画に使われている道具類にも時代の流れが感じられた。電話、エレベーターしかりである。特に私が興味を抱いたのは映画の中でも重要な役割を果たすシトロエンの乗用車である。シトロエンの車は特異な外観をしているのが特徴だったが、この映画の中でもアマガエルを轢き潰したような(失礼!)形のシトロエンをアラン・ドロンが運転するシーンが何度かあった。私が思うに、フランス人はあのような形に機能美とか、走る流麗さを見ていたのだろうか?私からするとどうも分からないところである。もっともシトロエンファンからはお叱りを受けるかもしれないが…。
※ 1960年代のシトロエンです。
映画「サムライ」見応えのあるエンターテイメント性十分の映画だった。