農業の実態が進化していると聞いてはいたが、その実態は私が想像する以上の速度で進歩を遂げているようだ。講師の野口北大教授によると、農業経営者は今や企業経営者であり、その労働の実態は工場のオペレーターのように私には映った。
私が継続受講する「ほっかいどう学」かでる講座の9月分が13日(月)に録画されYoutube配信されていたのだが、私はうっかりしていて昨日ようやく受講することができた。
今年度第6回目となる講座は「農業ロボット研究の最前線 ~ ロボットによる未来の北海道農業に期待 ~」と題して北海道大学農学部教授の野口伸氏が講師を務めた。
野口氏はTBS系のドラマ「下町ロケット」の「ヤタガラス編」において登場する農業ロボット研究者の北海道農業大学の野木教授のモデルになった、と自己紹介された。私も野口氏の存在は以前から知ってはいたが、今回改めて野口氏の研究を伺うこととなった。
野口氏は1時間の短い講義時間の中で次の4点について研究の今を紹介してくれた。
◇スマートロボットトラクタ
◇スマートフードチェーン
◇スマート野菜生産
◇スマート果樹生産
野口氏の研究の中心はもちろん農業用ロボットトラクタの開発である。その「スマートロボットトラクタ」の開発は開発過程を3段階に分けて開発に取り組んできたそうだ。その3段階とは①GNSSオートステアリング、②自動走行農機(ロボット農機)③遠隔監視、圃場移動可能なロボットという段階を踏んで開発を進めているが、現在はすでに第3段階に入っているとのことだった。(ちなみにGNSSとはGPSと解釈しても良いようです)
つまり現状は、遠隔監視、圃場移動について実証実験の段階に入っているが、安全性の確保、道路走行における道路法の規制の問題など、クリアしなければならない問題などが残されているとのことだった。私がリード文で描いた農業者の姿がもうすぐ目の前に来ているという印象だった。
スマートフードチェーンについては、生産と消費の適正化のためにテクノロジーを駆使して日本だけではなく、世界各地と結び適正に生産し、適期に消費者に届ける仕組みの研究開発を進めているとのことだった。
また、スマート野菜生産、スマート果樹生産も、これまではどうしても人の手を介さねばならない作業過程が多かったところに農業用ロボットを開発することによって生産性を上げる研究に取り組んでいるとのことだった。
ことほど左様に、現代農業は驚くべきスピードで変貌を続けているようである。日本をはじめ農業生産国の多くは少子化が進行し、農業従事者の先細りが心配されている今、農業用の各種ロボットの登場は大きな朗報だろうと思われる。