えっ?北海道交響楽団ってこんなに聴きやすかったっけ??同響の定期演奏会を聴くのは確か3度目だと思うが、これまでのイメージが覆るほど今回の定期演奏会は心地良く聴くことができた演奏会だった。
本日午後、札幌コンサートホールKitaraにおいて「川越守記念 北海道交響楽団」の第93回演奏会を鑑賞した。
北海道交響楽団はプログラムでも誇らしく謳っているように北海道最大級のアマチュアオーケストラである。オーケストラ名の冠に「川越守記念」と付けられているが、1980年に北大交響楽団の指揮者だった川越守氏を中心に設立され、川越氏の指導・指揮のもと活動を続けてきたオーケストラである。しかし、2016年に川越氏が逝去されたことから、川越氏の功績を讃えて名称を改めたという。
私は前述したように過去に何度か北海道交響楽団の演奏会を聴いたことがあったが、正直に吐露して「やっぱりアマチュアの演奏かなぁ」という思いを抱いていた。ところが!…。本日の演奏曲目は次のとおりだった。
◆アイヴズ/室内アンサンブルのための「答えのない質問」
◆シューベルト/交響曲第7番 ロ短調D759
1.Allegro moderato
2.Andante con moto
◆ベートーヴェン/交響曲第3番 変ホ長調 作品55「英雄」
1.Allegro con brio
2.Marcia funebre (葬送行進曲):Adagio assai
3.Scherzo. Allegro molto
《アンコール》
◆ブラームス/交響曲第3番より第3楽章
以上だった。一つひとつの曲の演奏について評する力量は私にはない。ただ、二人の著名な作曲家の交響曲に取り組んだという意欲的姿勢は高く評価されるのではないだろうか。
※ 演奏中の写真はもちろんNGです。写真はウェブ上から拝借しました。
そのことより先に、最初に演奏したアイヴズという作曲家はアメリカの前衛作曲家だという。その音楽は既成のクラシックのイメージを覆すような曲想で作曲された曲といえるものだった。弦楽器が低く静かな短い音の重なりをずーっと続ける中、時折り管楽器がソロで、あるいはカルテットで入ってくるといった曲だった。私は弦楽器の低く静かな音の重なりにことのほか感動した。ただ、トランペットのソロの最初の音がやや乱れたように聴こえた。私はそれすらもあるいはアイヴズの狙いなのではないかと思ったが、一緒に聴いた友人たちと感想を述べあったところ、やはり「ちょっとミスったのでは?」という結論となった。しかし、私はこの一曲で道響(北海道交響楽団)のこれまでのイメージを変えることができた。
その後のシューベルトの交響曲第7番も、ベートーヴェンの交響曲第3番も、これまで私が抱いていた道響のイメージを良い意味で覆してくれる演奏だった。団員70名が集う道内最大級のアマチュアオーケストラは、その規模だけではなく、実力においても道内アマチュアオーケストラの最高峰に位置付けられるオーケストラではないだろうかという思いを強くした定期演奏会だった。