田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

映画 №349 ケアニン ~あなたでよかった~

2022-10-18 15:52:26 | 映画観賞・感想

 新人の介護福祉士の大森圭(戸塚純貴)は小規模介護施設で働くが、自分の仕事に自信が持てなかった。しかし、周囲のスタッフたちの温かな支援を受けながら生き甲斐を見いだし、介護福祉士として生きていこうと決意を新たにする過程を描いた心温まる映画だった…。

  

 10月15日(土)午後、狸小路の「サツゲキ」において厚労省北海道労働局主催の映画会「ケアニン ~あなたでよかった~」を観た。

 映画の冒頭、施設長の工藤博文(小市慢太郎)が「俺たちケアニンは…」と言葉にしたとき、圭は「?」と疑問を呈するが、施設長は「介護福祉士とは、ケアする人間だ。だからケアニンだ」と説明するところから映画は始まる。実際に業界用語ではそのように呼んでいるのだろうか?

   

   ※ 圭(左側手前)が務める小規模介護施設でのスタッフミーティングの様子です。右奥が施設長です。

 圭は高校卒業後、介護福祉の専門学校を卒業し、小規模介護施設に配属となったが認知症の高齢者たちと上手くコミュニケーションが取れずに悩む日々が続く。しかし、工藤を始め、ケアマネの佐藤夏海(松本若菜)など先輩スタッフの助けもあって徐々に自信をつけ始めたところで、認知症を患った星川敬子(水野久美)の担当を任されることになった。 ここからがこの映画の主題である。圭は認知症を患い苦しむ(?)に敬子に寄り添い、敬子の尊厳を傷つけぬように意を払いながら懸命に寄り添うことによって敬子の信頼を得て、敬子を看取るまで介護に打ち込むのだった。敬子が亡くなった後、敬子の孫娘から敬子が生前に書いた「圭さん、ありがとう」というメモが渡された。圭はこれからも介護福祉士として生きていくことを決意するのだった。

 と、介護の現場を知っている人間からは「きれいごと過ぎる」という批判もありそうだが、若干涙もろいところもある私には涙なしには見られなかった映画だった。映画として観た時、その要因は主役の戸塚純貴の純真さが体現されているような演技、それを支えた 小市慢太郎、松本若菜たちベテランの演技陣、そして水野久美の長年にわたって培ってきた映画人として落ち着いた演技、全てがぴたりとはまったキャストによるところが大きいと私は見た。「映画を観て良かった」と心から思えた映画だった。

  

  ※ ケアニンの大森圭(戸塚純貴)と介護される星川敬子(水野久美)の二人です。

 主催した労働局としては、「介護の仕事もやり甲斐のある仕事ですよ」ということを広めたいとする狙いがあったのだと推測される。しかし、伝えられるのは介護福祉の現場の過酷さと給与の安さだという。そのため介護の現場は絶えず人手不足に悩まされているとも聞く。これからは私も含めて高齢者がますます増加の一途を辿るとされている。そのような状況の中、介護の現場が少しでも働きやすくやり甲斐のある現場となり、多くの人が志向するような職場となってほしいと願うばかりなのだが…。