2022年現在、100歳を超える人が10万人を突破しようとしているという。そうした時代を迎えて、価値観は変化し、“終活” の背景も少子高齢化が進み、タブーが変化してきたことによって、“終活” そのものも変化・多様化し始めているというお話を聴いた。
10月26日(水)午前、札幌市社会福祉総合センターにおいて、今年連続聴講している「私の生き方セミナー」が開講され参加した。今回のテーマは「人生100年時代と終活~変わるシニアライフ」と題して元北海道新聞編集委員の福田淳一氏が講師を務められた。
※ 講義をする元北海道新聞編集委員の福田淳一氏です。
福田氏はまず高齢化する現状を説明した。1800年代後半(明治24~31年)日本人の平均寿命は女性44.3歳、男性42.8歳だった。それが2021年では女性87.6歳、男性81.5歳と、おおよそ平均年齢が2倍になっていることを示した。さらに100歳以上の人が2022年現在、全国で9万526人もいらっしゃるそうだ。
そのように平均寿命が延びる中、“終活” の背景にも変化が見られるようになってきたという。その第一として「がんの告知が行われるようになった」という。さらに、「臓器移植法」、「脳死の問題」が公に議論される時代となった。そして映画や書籍、歌謡なとにおいて、映画「おくりびと」、永六輔著「大往生」、歌謡「千の風になって」などが大ヒットし、死がタブー視されることなく、人々の日常で語られるようになったことを指摘された。
こうした中、福田氏は “終活” のメニューとして次のようなことを挙げられた。
①エンディングノート
②お葬式、お墓
③生前整理、断捨離、遺品整理
④介護保険、成年後見制度、死後事務委任、終末期医療、在宅医療、尊厳死
⑤遺産相続、遺贈、遺言書(公正証書、自筆)、家族信託
⑥ペットをどうするか、ペットのお墓
講義においては、これら一つ一つについて解説されたが、全てを書き起こす能力が私にはない。特に記憶に残った点について記すことにする。
一つは「お葬式」に関してである。北海道新聞における「おくやみ蘭」において「葬儀終了」と記載される割合が多くなったという。コロナ禍以前でね40%近くがそうであったが、コロナ禍に見舞われその割合が70%前後にまで増えたそうだ。また「おくやみ蘭」そのものへの掲載率も札幌市内では40%前後だそうだ。
また葬儀そのものも以前とはずいぶんその様相が変わってきた。これまでの「一般葬」から、「家族葬」、「直葬」、「一日葬」、「自宅葬」など多様化、簡素化が進んでいるようだ。
※ 葬儀の形態も多様化してきています。
「お葬式」一つ取っても、現状は多様化し、複雑化している。そうしたことに対して、死後に残された子弟や家族に迷惑をかけないためにも、福田氏はエンディングノートの作成を勧められた。私もこれまでに何度か「作成してみようか」と思ったことはあったものの、現在まで手を付けたことがなかった。ところが福田氏は「全部書かなければ」という思い込みを捨てるこことだ、という。さらに備忘録を兼ねるようなものであっても良いという。目からうろこ?これを機になんとか手を付けてみようかと思っている。
※ 自治体がエンディングノートを頒布しているとは初耳でした。
最後に福田氏は、“終活” は心配ごとを減らし、心を平穏にし豊かに暮らすため、つまり老後のQOLを高める知識、手段として積極的に活用すべきではないか、と結ばれた。
“終活”…、私はこれまでなんとなく避けようとしてきたところがあった。これを機に、少しは積極的に自らの “終活” に取り組みたいと思っている。
帰宅した私は早速北海道新聞社発行の「私のくらし終活帳」なるエンディングノートを妻の分と二冊取り寄せたのだった…。
※ 私が買い求めた北海道新聞社発行の「私のくらし終活帳」です。