かつて英国のバッキンガム宮殿に侵入した男が逮捕されたことがあったが、同様の事件は結構多いようだ。
大衆紙は犯人は女王と10分ばかり面談したと伝えたようだが、これは作り話で女王の寝室までは180メートル離れていたというのが真実のようだ。
あのような建物を見ると、何とか侵入してみたいと思う癖のある人間は結構いるのだろう。
寛永八年二月廿九日の三齋書状(864)には、江戸城内の将軍御座所近くに不審の者が侵入したことが記されている。
御本丸へ不知もの御次迄参候をとらへ候ヘハ、伊勢ゟ振舞ニ参たると申之由、
不思議成儀候、左様之不知もの御次迄通候表之御番衆御改も無之候哉之事
バッキンガム宮殿にしろ、江戸城内にしろ警備に怠りありということで処分を受けたのだろうが、さてこの伊勢者の処分は如何なったのかは判らない。
熊本においては「御天守の屋格に登候乙八事件」というものがある。
まだ資料を取り寄せていないのだが、秉燭雑録(上妻文庫)248に御家老中窺扣として記録が残されている。
これまた警備が十分であるはずの御天守に乙八なる人物が上ったというのだから、事は重大である。
それぞれ興味ある事件ではある。