津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

大久保橙青という人

2013-01-24 09:45:05 | 俳句

 最近この人の句集「探海以後」をオークションで手に入れた。熊本人だが地元の人でもある程度年配の人でないとご存じないだろう。
海上保安庁長官を勤め、其の後衆院議員を七期つとめ田中角栄のもとでわずか28日間労働大臣をつとめた、大久保武雄氏の事である。
俳名を橙青といい、高浜虚子の弟子であった。 

 高浜虚子は昭和27年11月阿蘇を訪れている。

                     小国町南小国村芋水車
                     秋晴れの大観峰に今来り
                     小鳥の聲ポンプの音と明けそめぬ
                     散紅葉して暫くは何も無し
                     かけて見せ外しても見せ芋水車
                     わがために竜胆摘みくれぬ霧の中
                     竜胆を折り来て君に供えけり

虚子の弟子で、旅の半年ほど前に亡くなった熊本の俳人・宮部寸七翁の墓前に詣で、虚子は次の句を呈している。

                     君がため遠見ヶ鼻の竜胆を      (遠見ヶ鼻=大観望

その時虚子に同行していた橙青は、次の様な句を得ている。

                     手向けんと阿蘇竜胆を霧に摘む 
                     押花の竜胆色を失はず

私はある人の米寿の御祝いに出席した折に、橙青の句の複製の色紙をいただいた。
ご夫婦そろっての御祝い事であったがその句には次の様にある。

                     美しき男松女松のみどりかな

私のデスクの側に掛けている。手に入れた句集はまだ目を通す時間に恵まれなでいる。


 

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