寛永五年のものかとされる、九月三日付の奉行に宛てた忠利書状がある。(熊本県史料・近世編二 p207)
舞臺之桜の木のきわニうへ候蘭繪ニうつし越候 参著候
并かゝりの庭のほくりの花三月の末ニ咲候由得其意候事
このような記事を見ると「忙中閑」を感じほっとさせられる。小倉城内であろうか能舞台の近くに桜の木が植えられている。
その際には蘭が植えられており、これを繪師が写生してこれが忠利の許に送られたのであろう。
かゝりの庭とはこれらに関係する庭と解釈するのだろうか、ここに三月の末にほくりの花が咲いたという事を、蘭の繪に添えて報告されたのであろうか。
さてこのほくりとは皆さんご存知であろうか・・・、これは春蘭のことをさしている。俳句の世界ではこのようなかわいい言い方をする。
いつも歳時記などを眺めていると、こういう言葉も覚える。古い文書に登場する語句にも対処できてなかなかのものである。