■謹告：熊本史談会の資料をお分け致します。

　熊本史談会では、会員以外の皆様から資料の入手に付いてのご希望に応えるべく、新年度から資料の送付を行う事に致しました。
　　　　　　　
　　　　　　　　　期　　　間　　平成２５年度（4月～26年3月迄）　　　　毎年度三月末に更新の御案内を申し上げます。　　
　　　　　　　　　会　　　費　　入会金不要　一年会費　　6,000円（資料郵送費を含む）　尚この金額は熊本史談会会員の会費と同額です。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　二年会費　10,000円（　　　　　同上　　　　）   期間27年3月迄

　　　　　　　　　送付資料　　熊本史談会の例会に使用する毎月の資料　その他　　　　一部
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（古文書並びに釈文　その他）
　　　　　　　　　　　　　　　　　ゆくゆくは「熊本史談会たより」といったものを作り、皆様のお便りやご意見なども取り上げて参りたいと思います。
　　　　　　　　　送付期日　　毎月25日（四月分につきましては、お申込みあり次第お送りいたします。）
　　　　　　　　　送付方法　　郵送　 

　ご希望の方は、下記要領に従いメールフォームからお申し込みください。（当サイトトップページの熊本城の写真の下方にあります）

　　　　　　　　　申込者御氏名
　　　　　　　　　郵便番号
　　　　　　　　　住　　所
　　　　　　　　　電話番号
　　　　　　　　　メールアドレス

尚、会費振込につきましてはメールフォームでお申込みあり次第、振込先のご連絡を申し上げます。

 

■松寿庵先生 第９７講

■忠利のボヤキ

元和八年（1622）奉行他六名に宛てた忠利書状は、経済的に行き詰まっている状況を如実に表す忠利のボヤキが聞こえる。（熊本県史料・近世編二 ｐ182）

　一、ひつきやうかようニ金銀入候而者つゝかぬ事ニ而候間物をあつらへ出来の分かやうの類ハ渡
　　　 其外ハ万事やめ可申候 此處（矢野）利斎を加談合可仕候堅万事をやめ可申候事
　一、具ニハ跡ゟ可申事奉行共利斎・小左衛門（野田）・猪兵衛（田中）相談を以堅可仕事肝要ニて候
　　　 何を申候てもヶ様に金銀入候てハ國中つゝき申間鋪候事 
　一、銀・米之目録ニ少も合点不参所多候 遠路之儀候間うたかハしき事申越ましく候 此段ハ少（小）
　　　 左衛門・猪兵衛ニ申候 猶跡ゟ可申候
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　内
　　　　　　　正月廿二日　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠利御判

忠利の家督は元和七年正月七日であり、この文書はちょうど一年後のものである。署名に「内（内記）」とあるがこの時期まだ越中守の名乗りは許されていない。忠興から引き継いだものの、余りの物入りに呆然としている様子が伺える。そして報告書のいい加減さにも言及しており、イライラ感が見て取れる。
この後金策に翻弄される藩主としての忠利の船出である。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

寛永二年（1625）浅山清右衛門・田中与左衛門に宛てた忠利の書状では、有名な名物の茶器を売り払うことを決意する様子が伺える。（同　ｐ187）

　一、我等当茂當所務ニて切米・扶持かたも調かね可申候間日やけ（干ばつ）の百姓・給人もかつゑさる様の手たて成兼可申候間拝領之刀・脇差　三齋
　　　様ゟ御譲之数寄道具をはなし候而國之人後年之つゝけを只今才覚候事

随分以前重文「細川井戸茶碗」を書いたが、ここに書いた父・忠興がいったことこそが上記書状の文面に有る「数寄道具をはなし候而・・」であろう。

そしてこの時期の状況については、かって家臣の困窮--Ⅰで触れたが、藩主の行動をただお見事と賞賛するだけでは済まない状況にあった。