九一五
八十七
一下方公事出入之事
此儀、筋々相達候様兼て被為仰付置候處ニ、間々下方
心得違之儀有之、御給人衆其外手筋違ニ申出、私共取
鎮メ無障相濟候儀も重立候様相成候儀多御座候て、往
々下方氣請悪敷相成り可申と奉存候間、手筋違ニ一統
御達被為置被下度奉存候
[上ノ付札]「此儀、別紙及達候事」
覺
一下方公事出入之儀は、筋々ニ申出可相濟儀を、休人
方其外手筋違申込候様成儀は下方之心得違ニ付、各
より兼々教示有之、訴訟之儀は村庄屋へ相達、取次
不申候ハヽ各え相達、吟味を受可申候、度々申出候
ても取揚無之候ハヽ、直ニ拙者共へ申出、拙者共取
揚不申候ハヽ在廻之御横目へ相達候様ニとの儀、前
々より被仰付置候處、間々心得違之者も有之様子ニ
付、猶又委敷下方え被申聞置候様ニ、若其上ニも手
筋違え奸智を以工之筋等致越訴候様成儀有之候ハ
ゝ、吟味之上可被相達候、左候ハヽ、筋ニより急度
可申付候
一下方諸願筋之儀ニ付ては、内々手寄を求相願候得は
相濟候事と相心得、自然と色々工ミケ間敷筋も有之
不届之至候間、専筋々ニ願出候儀委敷被申付置、心
得違之者有之候ハヽ、前條同前可被相達候
右之通一統申談及達候條、急度可被申付置候事
七月 御郡代中
御惣庄屋中」
九一六
八十八
一下方より諸願筋之事
此儀、筋々願出申筈御座候處、手寄を以御侍衆又は御
役人衆え内々申出、願筋大概相濟候程ニ仕付、其上ニ
て私共方へ相達候儀有之、手寄を求候儀専ニ相心得、
自然と御百姓之持前取失ひ類引ニも相成申候、依之以
來筋違ニ相頼候儀等、決て取持無之様有之度奉存候、
下方よりは一切筋々相願候様、若筋違内々頼廻り候ハ
ゝ急度可被仰付旨、一統被為及御達被下度奉願候
[上ノ付札]「此儀、前條一紙ニ及達候事」
九一七
八十九
一諸御郡村々零落所は、何角ニ付て必多度上之御難題ニも
罷成り、於私共も奉恐入候、然處、御給人衆ニより内々
種々せかみ事多、不得止事折々才覺ニて出方仕候へ共、
利繰ニ合、且又被借付置候米銀を御扶持方拂之現米を以
引立、幷御百姓へ借用を頼被申、調兼候得は拂方相濟
居候御扶持方一紙を被押置候類抔之御仁も有之候て、御
算用之障りニ相成困窮仕候、上より被為附御心被下候て
も、右之通ニ内々出方多ク御座候へは、其詮も無御座氣
毒至極ニ奉存候、御知行所より出方ニ相成候米銀之儀は、
御給人衆/\より筋々御達之上、御百姓出方ニ相成候様
被仰付被下度奉存候
[上ノ付札]「此儀、人躰ニも寄り可申事ニ付、異候儀相聞候
節は可被申達候事」
九一八
九十
一分て零落村々之事
此儀、諸手永ニ村ニより田畑之地味替候様、御免不
釣合ニ有之、ねん/\と及零落、高地請持兼候ニ付て
は高役も差支、根付草浚も手永之難題ニ相成、私共儀
も種々取計候得共及了簡不申、諸作出來方不宜候ニ付
ては御損毛相立、奉恐入も候様之所柄は、追々可然様
ニ御仕法被仰付被下度奉存候
[上ノ付札]「此儀、各別零落之村方は達之上、追々被附御心
候事ニ付、改か被及御達旨候事」
九一九
九一
一御百姓之内、御給人衆幷他御侍衆家来成候事
此儀、容易ニ難被為叶段は兼々被為御達置、猶又去六
月も御達之筋御座候、然處ニ、勝手兎哉角仕候者共在
人數を放レたかり、寸志差上御家人え相成、又は御給
人衆他御侍衆へ下々奉公ニ罷出、於向方名字刀被差免
置、追て譜代之家来被成度由御主人より被及御達、御
吟味之上、村方故障無之候へは家来ニ相成候様ニ、前
廉其村ニ居候處及断絶居候ニ付、此跡ニ御抱被成抔と
の御達ニて家来ニ成候も有之候、尤村方支有無御吟味
之節、難澁ヶ間敷候ては後難も可有御座哉と、此所ニ
恐、故障無之と申出候間ニは可有御座哉と奉存候
[上ノ付札]「此儀、村人數を難候儀ニ付ては、追々御達之趣
を以委ク被遂吟味、勿論故障有無存寄之趣をも無遠
慮可被相達候事」