同志社大学の学術リポジトリ―に「矢野鶴子さんに聞く・蘆花夫妻の思い出」がある。
矢野鶴子成る人物は幼女期、徳富蘆花夫妻の養女として育てられた、蘆花の兄・徳富蘇峰の末娘である。
蘆花と兄・蘇峰の喧嘩別れにより、鶴子は実父・蘇峰のもとに返されている。
先に読んだ「死の陰に」では、本当にな仲睦まじく長い旅を一緒に過ごしたことが書かれているが、上の論考をよむと、これが虚構に満ちたものあることが鶴子氏の口から語られている。
自分は「人形扱い」であったと鶴子氏はいう。私は本当の紀行文だと思い読んだところだが、何を脚色すべきことがあったのだろう。誰かが読むことを前提に、意識して脚色されていたことが氏の言から伺える。
私はこのサイトの立ち上げ直後に「電子図書館」というものを設け、五点をご紹介しいるが、その中に蘆花の「灰燼」を取り上げている。
沼山津の資産家・弥冨家に明治十年実際起こった事件を、小説に仕立てたものだが、母方の祖母の姪だと思うが、弥冨家に嫁いでいる人がいるということもあって取り上げた事であった。
それが切っ掛けになったという訳でもないが、それ以来いろいろ読んできた。
今は、青空文庫で蘆花の「みみずのたはごと」を読んでいるが、何となく波長があって楽しんでいる。
未読の「竹崎順子」は大部の作品である。これは図書館でわずかばかりを読んだのみで精読したいと思うが一気呵成にとはまいらぬ。
読みたい本がまだまだある。長生きをせねばならぬが、風邪くらいの熱であたふたするようでは、さぞかし読み残しが出ると予想している。
日帳(寛永八年十一月)十五日~十六日
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| 十五日 加来二郎兵衛・河本瀬兵衛
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|一、修理・兵庫当番也
長崎へ飛脚 |一、長崎へ御飛脚、今日遣候也、但、長崎ゟ、此中上候飛脚を戻候也、
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府内横目城信茂帰 |一、城織ア殿御上り被成候ニ、五十丁立之御舟を被借進候、御加子無之ニ付、町加子をのせ遣候筈ニ
任ニ五十丁立ノ船 | 申付候処ニ、町ゟ申候ハ、此御加子之儀被仰付候、其侭四十三人雇置申候、御船頭被請取候日
ヲ貸ス 町人水夫 | ゟ之賃米を被下候、やとい置申間之分ハ、私共弁ニ成申候、町人めいわく仕儀候間、せひ請取候
四十三人ヲ雇置ク | 様ニと申上候、尤と存、鏡善右衛門をよひ、かやうニ申候間、可被請取由、申渡候処、御手加子
| ハひまもなきやうニ御用申付、遣申候へ共、やとい加子ハ一両日中ニ出船定候ヘハ、請取、のせ
| くミ申やうニ仕来候、いつ御出船と無御座候ニ、請取、のせくミ申儀、不罷成候由申候、町人めい
差紙を求ム | わく仕儀ニ究と被見及候ハヽ、いそき請取候へと申候ヘハ、左候ハヽ、御さし帋を被下候様ニと
| 申候、心得候、いかやうニ成共、望之侭ニ書付可遣由、申渡候事、
江戸詰鉄炮足軽等 |一、江戸ゟ、かわり候て参候由にて、御鉄炮衆五人罷下候、御裏方御門番四人・御掃除坊主壱人、
交替帰国 | 以上十人罷下候、御書ハ不参やと尋候ヘハ、藤崎喜八郎を 三斎様へ御使者ニ被進候、是ハ小早
| にて、中津へ直ニ被参候由申候、江戸を去月十五日ニ罷立候由、申候也、
| (抱)
荒仕子ニ役目ヲ果 |一、古庄次左衛門申候は、石原仁右衛門拘置候御荒仕子之内、壱人御役目をも不仕、居申候通、我等
サザル者アリ | (ママ)
役目勤メザル分ヲ | 承候、左様ニは有之儀ニて無之候間、御役めを不仕ニ相究申候は、役目不仕分之儀は、我等申付、
出サシム | 役目之分申付、算用仕候て、其分出させ可申と存候間、先内証之ため申上候候由、次左衛門申候、
| 其段尤ニ候間、被相究候へと、申渡候事、
| (舟橋)
舟橋殿ヨリノ音信 |一、舟はしとのへゟ、奥方へ参しふかミ包壱つ、林隠岐を以、奥へ被遣候へ、御掃除坊主宗閑を以、
| 〃
| 遣也、
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| 十六日 河本瀬兵衛・加来二郎兵衛
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|一、兵庫・助進当番也 (漬ヵ)
客人用仏手柑 |一、佐渡殿ゟ、使者を以被仰は、今度御客人之御用ニ、ふしゆかんつけの儀被仰下候間、則、持せ進
| 之申候、はや此方にて相調申候間、もはや入不申候とて、差返シ申候事、
大坂ヨリ銀子 |一、大坂ゟ、御船頭三宅新介罷下候、御銀子共、いつれも御物積下り申由申候、御銀子は、松之丸衆
| へ渡申候へと、申渡候事、
| (豊後速見郡)
川上某湯山湯治ヨ |一、川上長右衛門御暇申候而、湯山へ湯治仕候而、昨日罷下候由にて、登城被仕候事、
リ帰ル |
土々呂木以心上野 |一、上野清兵衛中風を相煩申候ニ付、土々呂木以真参候而、此中養生仕候、過半快気仕候由にて、以真
某ノ中風療治 | 登城被仕候事、
| (焔硝)
大坂ヨリ来ル焔硝 |一、大坂ゟ、煙消三千斤調、下候を、矢嶋平三郎を横目ニ〆、かけさへ候ヘハ、右之内にて、弐百五
三千斤ヲ検量ス | 拾め壱斤に〆、三十六斤出目有之由、平三郎被申候、則、ためし之様子、平三郎書付、安場二左
試シノ書付ヲ奉行 | 衛門へ被相渡候也、
へ渡ス |
鍵柄五十本ノ調整 |一、大学殿ゟ、使者を以、被仰越候ハ、今度被仰付候五十本之御鍵柄、当町之鍵やニ被申付可然由、
大工ト鍵屋ニ試作 | 上田忠蔵へ度々申渡候処、請人無之ゆへ、不申付由候、一本ハ大工、一本ハ鍵やニ削せ、くらへ、
セシメン | 同時ニ候ハヽ、鍵やニ申付候様ニと、被仰付候事、
鍵屋ノ価 |一、右之分ニ被仰越ニ付、上田忠蔵をよひ、段々申候処ニ、忠蔵被申候ハ、鍵やハかきやりハ三匁余、
| すやりハ弐匁ノ定にて削申候、其上、請人ム御座候ニ付、不申付候、