ほんの数日前、NHK・BS放送で「京都 山里の宿~花脊の秋の物語~」の再々放送をやっていた。
私はたぶん本放送ではなく、再放送を見ていてまた今回偶然に見ることが出来たが、京都市左京区花脊の山中にある料亭旅館を素晴らしい映像でおった番組で、四季折々の移ろいの中、地元の様々な行事なども織り込みながら、日本人に日本に生まれてよかったと思わせるような作品であった。
客人を迎えるための四季折々の舗設(しつらえ)や、旬の自然の食材で提供する見事な料理、また「天道花」などかっての地元の風習を守り抜く関係者の覚悟など、感動に値する。10メートルはあろうかと思われる青竹に、藤やツツジその他の花々を括り付けて、天に捧げるがごとく飾り立られるのである。
天道花(日本玩具博物館のサイト内ブログから引用)
実は今日散歩する中、虫食いの葉っぱを見付て、このTV番組で紹介されていた床飾りの生け花(?)の事を思い出した。
何の枝であろうか、若女将は山中に分け入り、わずかに紅葉のいろをのこしながらも殆どを虫に食われた葉脈ばかりといった感じの木の枝を持ち帰り、これを客人のもてなしに床に活けるのである。そしてこれには葉喰い虫のおまけ付きである。
美を見極める眼力にただただ感嘆するばかりである。
便利な生活環境を求めて町中へ居をうつして生活していると、幼いころ身近にあった自然に親しまれなくなっていることに唖然とする。
豊かさとは何なのか、小さなコミュニティーの濃密な関わり合いが古い歴史を絶やすまいと努力されている姿にも感じさせられる。