津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■川田順著「細川幽齋」‐序

2021-09-29 06:42:58 | 書籍・読書

           

          序
 文星にして、その詩歌よりも、その人間の方に一しほ含蓄多分の者がある。古今東
西に例は不尠とおもふが、日本では、前の西行法師、後の細川幽齋なども此の種に属
する者であらう。今日の語を用ゐれば、幽齋は戰國時代最高の「文化人」であつた。
彼は學問と藝術とを生活化した、眞個の文化人であった。亂世の武門に生れ、治國平
天下を理念とした彼が、武を用ゐたのは當前だが、武を用ゐるにも必ずその所を考へ
た。おのれの利益のために私闘を試みた形蹟は見えない。信長に仕へ、秀吉に與み
し、家康を援けたのは、無節操にあらずして、斯くすることが即ち天下に和平をもた
らす所以と判斷した爲であつた。
 「幽齋大居士」は今年九月以降の週刊朝日に連載した物語やうの散文であり、「歌
仙幽齋」は、昭和十九年執筆の歌論的研究である。兩篇、性質は甚しく異なるけれど
も、併せて讀んでいただくならば、此の巨人の全貌が浮ぶであらうとい愚考する。
  昭和二十年十二月
                        川田 順

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■上田久兵衛忌

2021-09-29 06:37:29 | 自分史

                

 今日は高祖父(曾祖母の実父)上田久兵衛が刎首の刑に処せられた日である。144年になる。
獄中では筆も料紙も与えられず、「元結」の撚りをほどいて、箸の漆をかみ砕いて爪楊枝で認めたとされる遺書ともいうべき歌が残されている。
毎年の事だが仏壇に手を合わせて、無念の思いを共有するのみである。
私は辞世の句「秋風のたよりに聞けば古さとの萩か花妻今さかりなり」に秘めた妻(曾祖母の実母)への思いに彼の心のやさしさを学ぶのである。良い先祖をもったと思っている。

追記 11:30・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
10時前に散歩に出た。5キロコースを歩く中いつもは15mの車道の左側歩道を通るのだが、今日は右側の歩道を歩いてみた。
奇跡ともいうべきか、植え込みに萩の一叢を見つけた。しばし眺め、少々の時間手を合わせた。
ちなみに私は、今日の命日を辞世の句から「萩花忌」と勝手によんでいる。

                                                                    

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