津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■丹後舊事記・巻之五から(6)「田邊城攻の事」(ニ)

2021-09-14 14:59:54 | 史料

 又或夜攻軍                      進士(幽齋室・麝香の妹の子)
の陣中何となく騒出ければ三刀谷孝和急に城を出けるを幽齋信志作左衛門を使者せずして剰へ御邊も爰に
て鑓を合せよと云により作左衛門も力なく三刀谷が備に止りけるを玄旨又子息妙庵を遣して敵附く患なし
平に引取べしと有りけるにより監物終に引返す。或夜孝和又下部を卒して伊佐津の松原に至り佐方與左衛
                               甲か
に伏し兵を添へて松原に残し其身は從兵竝玄旨の扶持せられし伊賀田賀の者共を召連て谷出羽守が陣営
に至り忍びの者に火を放させ透間なく切入りけれど出羽守敗北に及びけるを孝和下知して首を取さす、輕
く引て城中に入玄旨は孝和が此夜討を感じて酒肴を送り子息妙庵を以其苦勞を謝せらる。七月廿五日寄て
城近くせめ寄る小野木縫殿介谷出羽守藤掛三河守石川備後守赤松佐兵衛尉毛利甚八郎生駒左近大夫等は
大手へ向ひ、小山大和守前田主膳正川勝右衛門尉毛利民部大輔等は搦手へかゝる、高田河内守別所豊後守早
川主馬首山崎左馬允杉原伯耆守等は海手へかゝる。三刀谷監物敵の有様を見るべき為に大橋の邊へ出て采
女の曲舞を高聲に謡ひければ文句不可なりと嫌ひければ三谷の風は吹くとも山は不動と云處を謡ふて控
へけるは谷出羽守先夜宵揬に合たるを口惜く思ひ部下の者を下知して城戸を攻破らんとするを監物自身鑓

を提げ手の者を勵し暫く寄手をふせぐ、三刀谷與三木門の外へ出んとするを監物與三が草摺を取て引留け
る敵の鑓與三が腕に當て倒れける倒れながら城戸の外へ馳出て寄手と相戰ふ幽齋の家臣村上久右衛門は太
刀打して敵を欺き上羽佐衛門は射藝に名有者成しが弓を以て敵を射拂ひ其外三刀谷が手物命を捨て拒みけ
れば寄手是を退けれども脇より込入孝和跡を犱切けるによつて三刀谷属兵を節度にして引返し敵兵を拂ふ
て城内に引退しに小野木縫殿介又手物を下知して大橋の前へ寄來る、急で大橋を孝和が下知して板一間引
  竪か                       佐方
放し堅に渡し置たりしが其板を渡り門外へ出んとするを作方吉右衛門三刀谷が男の袖にすがり敵多兵なれ
ば必定御討死と覺えたり敵の位を許り候といへども孝和一向承引せず其身力量ある者なれば吉右衛門が
上帯を取って提其方も鑓をせよと云て彼橋を渡り門外へ出る吉右衛門が曰く譜代の主君は貴公也當時の主
君は玄旨なれば此時に當り討死せる事本望なりといふて敵をふせぐ

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■有吉家文書解説‐「年中行事抜粋」(42)今晩御禮後来年御参勤之御供被仰付申渡之式

2021-09-14 07:22:54 | 先祖附

   〇今晩御禮後来年御参勤之御供被仰付申渡之式
              今晩御禮の後、来年の御参勤の御供仰付け申渡しの式 

一御供被仰付候面々御次外様共ニ今晩御禮後御用有之候間相滞候様昼之内紙面ニて及達候事
    但今晩ハ御次士席以上表者御物頭列已上申渡候尤同道人無之候事
 (参勤の)御供を仰付られる面々、御次外様共に今晩御禮の後御用有るので相滞る様昼の内紙面にて達しに及ぶ事
    但今晩は御次士席以上表は御物頭列以上申し渡し、尤同道人は之なき事
一昼之内御小姓頭御用人を詰間江呼今晩御礼後九曜之御間ニおゐて申渡有之候段申達候事

 昼の内御小姓頭・御用人を詰間へ呼び、今晩御礼後九曜之御間において申し渡し之あること申し達しの事
一夕方出仕之上猶又御小姓頭御用人を詰間江呼今晩呼出置之面々御礼相済候上例之通御間江繰付置知らせ有之候様申達候
 事

    但御小姓頭江者繰出名付相渡御用人江者其儀無之候事
 夕方出仕の上、猶又御小姓頭・御用人を詰間へ呼び、今晩呼出し置の面々の御礼済んだ上、例の通り御間へ繰付け置き、知らせ有る様申し達すの事
    但御小姓頭へは繰出し名付を相渡し、御用人へは其ことは之なき事
一御用番一人相滞加番引取候間列座等無之候事
 御用番一人滞り加番引取りれば列座等之なき事
一夫より御小姓頭御用人一同ニ案内有之御用番一人落間通毎々御板椽ハ不罷通九曜之御間江罷越此時御小姓頭ハ佐野御間
 まて案内いたし候事

    但玄猪申渡ハ何連之御間も同席并御奉行御目附列座無之候事
 夫より御小姓頭・御用人一同に案内有り、御用番(月番家老)一人落間を通り毎々御板椽は通らず、九曜の御間へ罷り越し、此時御小姓頭は佐野御
 間まて案内いたす事

    但玄猪申渡しは何れの御間も同席并御奉行・御目附列座之なき事
一御供被仰付候御用人ハ同御間中柱ニ南向ニ繰付有可之候間御用番九曜御間内南之御入側境中之柱之元下より三畳目ニ坐
 着申渡候事

    但九曜之御間中柱之御間境之御襖居候事
 御供仰付られたる御用人は、同御間中柱に南向に繰付之あるべく、御用番九曜御間の内南の御入側境中の柱の元、下より三畳目に坐着申し渡しの事
    但九曜の御間・中柱の御間境の御襖居の事
一夫より同御間へ御近習御次組脇以下士席已上繰付ニ相成候右繰付之内ニ御小姓より案内有之候付佐野御間ニ御小姓頭初
 着坐之面々繰付ニ相成候間例之處ニ坐着申渡候事
    但右之面々毎申渡候節之出處ニ始より繰付有之候事今晩当番并病中之面々ハ同役等より可有通達候家伝書付
 夫より同御間へ御近習・御次組脇以下士席以上繰付に成り、右繰付の内に御小姓より案内之あるに付、佐野御間に御小姓頭初め着坐の面々繰付び成
 れば例の處に坐着申渡しの事

    但右の面々毎申渡しの節、之の出處に始より繰付有る事、今晩当番并病中の面々は同役等より通達あるべきこと家伝に書付
一夫より直ニ鷹之御間ニ御物頭一同ニ繰付相成居候間右同断之事
 夫より直に鷹の御間に御物頭一同に繰付に成り居れば右同断の事
一右相済猶又九曜之御間江参懸候得者御用人猶案内有之始之所ニ座着致し御近習一手ニ申渡候尤繰付候様子次第中柱御間
 入側江控居候事も有之候事

    但右御間中柱より北之様ニ南向幾側も繰付有之候御用人も一人西ノ方ニ罷出居御請合有之候事
 右相済み、猶又九曜の御間へ参り懸れば、御用人猶案内有り始めの所に座着致し御近習一手に申渡し、尤繰付の様子次第中柱御間入側へ控え居る事
 も之ある事

    但右御間中柱より北の様に南向幾側も繰付け有り、御用人も一人西の方に罷り出居り御請合之ある事
一右相済詰間江御小姓より呼御供被仰付候御小姓組等之名附御用番坐にて相渡申渡有之候様申達候御吟味役等ハ御奉行江
 右同断
御馬方等者御用人江右同断御右筆者御右筆頭江紙面ニて及達候事
 右相済み詰間へ御小姓より呼び御供仰付られ、御小姓組等の名附御用番坐にて相渡し申渡し有る様申達せられ、御吟味役等は御奉行へ右同断、御馬
 方等は御用人へ右同断、御右筆は御右筆頭へ紙面にて達し及ぶ事

一御請書即晩例之通ニて差上候事
 御請書は即晩例の通にて差上げの事

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■随兵寒合

2021-09-14 06:34:06 | 熊本

                       ずいびょうがんや         
             勢子勇む声なく随兵寒合かな  津々

 コロナのせいで今年も藤崎宮の例大祭は中止となった。二年連続の事だが祭り好きの衆には大いに歯がゆいことであろう。
そんな中、朝夕の涼しさがましてお祭りの季節であることを感じさせる。
この秋の例大祭を境に、熊本は朝夕の涼しさが増してくるのだが、是を「随兵寒合」と呼ぶ。
例年だと今の時期、風に乗って祭りに参加する「連」の人たちが、あちこちで追い馬の練習や、ラッパや太鼓を打ち鳴らして気勢を上げているのが聞こえてくるのだが、今年も昨年に続きコロナで取りやめ、静かなものである。
かっては9月15日と決まっていた例大祭だが、最近では暦の休日の関係で定まりがない。

 ワクチン接種が功を奏したのか、熊本では感染者の数が減少傾向にあるが、政府の思惑どうりに11月頃に終息に向かうのだろうか。
漸く朝晩はクーラーをつけることなく過ごせるようになる。

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