俳名・久米三汀=作家・久米正雄に うららかや袱紗畳まず膝にある という句がある。
お茶会の風景だろうがいささか茶道の心得がある私としては、作法としては通常ならありえないことで、余程打ち解けた茶会であったろうと察せられる。
心に残っている句である。
今のマンションに引っ越してきてから、稜線が幾重にも重なった山々の景色が日々刻々、色合いを変化させているのを楽しく眺めている。
在まさぬ こむらさき
三汀に 火の神のゐまさぬ阿蘇は濃紫 という句が有り、浅学の身にはこれがよく理解できないでいる。
「ゐまさぬ」は「在ます」の否定形である。そうすると「火の神様がいらっしゃらない阿蘇は濃紫ですよ」という大意である。
「神無月(神有月)で火の神様も出雲へお出かけの時期」とでもいうのだろうか。
私の大好きな画家・田崎廣助の阿蘇を描いた一連の作品の中に「紫色」で描かれた「阿蘇」の絵が多く存在する。
阿蘇は濃紫が似合うのだろう。「火の神様は出雲へ御出張中」と勝手に理解しているが、本当の処はどうなのか、ご存知の方のご教示を給わりたい。