津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■めでたく候

2023-08-16 07:21:26 | 書籍・読書

 かって■「候」は句点・・・?を書いた。谷崎潤一郎が言った言葉だそうだが、現実はそうではない。
古文書には多くの例外が見える。
上記谷崎の言葉が紹介されている、山本夏彦の「完本 文語文」は私が大好きな著書で、私が死ぬまで座右に置く大切な蔵書である。
改めてページを開いてみたら、今迄気が付かなかった「候」にかんする記述に遭遇した。
その文章は以下の如くである。

  森銑三翁といえばその小品「朝顔」に数え年十四になる少女が、歌の師匠に初めてほめられ「めでたく候」と書いてもらった。喜びに耐えず帰って母に示し、ともども喜んだのに日ならずしてふとした病で少女ははかなくなくなったという。
候という字に
はこういう使い方もあったのである。

 ここに指摘された「めでたく候」という言葉が包含する意味合いをこの十四歳の少女は十分に理解したのである。
「おめでとう、よく頑張ったね、あなた自身の努力のおかげだよ」という意味合いが愛情豊かにこの五文字に表されている。
こういう話に遭遇すると、81爺は目頭が緩んでくる。講談社学芸文庫「新編 物いう小箱」に収められている。
Amazonから注文を入れたのは当然である。


コメント
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