津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■古文書の中の「中」

2023-08-06 06:16:54 | 徒然

 随分以前ある所での初心者の古文書勉強会で、「ここにある衆中とは何のことだろうか」という話声が聞こえたことが耳に残っている。
確かに古文書、特に書簡などによく宛名に添えて「衆中」という言葉が出て来る。「籠城衆中」「御奉行衆中」「御供衆中」「御組頭衆中」等々である。

また、「御庄屋中」等も存在する。
「衆中」は「中世,奈良興福寺の衆徒の称。」から「大勢の人」の意だとされるが、「中」は「複数形の敬称=方々」だとされる。

人数が特定できない場合はたとえば「籠城集中=籠城をしている方々へ」(田邊上籠城衆への忠興書簡)であり、役職に任じられている人が複数の場合「御奉行衆中=御奉行職の方々へ」など、書簡のあて名としてこのように記される。
また返書や指示書を発する場合、例えば奉行等は複数人居るから一々の署名を省くために「御奉行中」と記されている。省略形である。

 また「老中」と言う言葉があるが、これも「老職の方々」ということになるが、これは大変高位の役職であるから書状を出すときには個人の名前を記すことは当然である。
また、「女中」と言う言葉も古い呼称であり、主人との契約関係の上ではたらく「女性の方々」という敬称である。

 今読んでいる書簡に「御奉行衆中」とあり、ふと思い出して触れてみた。
現代においても「御中」と記すことがあるが、ある組織またはその担当部門の方々への敬称の意をもつ。

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