津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■どちらが本職?

2023-08-19 13:41:56 | 徒然

 直木賞作家・泡坂妻夫氏の本職(?)は、「上絵師」だというが、着物に家紋を描く職人さんのことである。
氏には「家紋の話ー上絵師が語る紋章の美」があり、これを購入して知った。

 同じ直木賞作家・森田誠吾氏は実家の広告制作会社精美堂を継いでおられたが、古い職人さんが版木や印章の彫りなどもなさるらしい。

 また「わが俳句交友録」の著者・車谷氏の話だが、この人は名にし負う悪筆らしい。
俳人であるが、悪筆故に人様から色紙頂戴の話が合っても頑なに拒み続けている。
あるとき素晴らしい印章をみて、自分も作ってみたいと思い自ら腕を振るって原稿を作った。
これを何故か森田氏の処に持って行っている。
森田氏は一目見て「自分が彫る」と言い出され、数十年物の乾燥しきった硬く石のようになった「つげ」の木を使い数日かけ、サロンパスを張りまくって仕上げられた。
そこで森田氏は「礼はいらぬが何か色紙を頂戴したい」と言い出された。これには車谷氏も頭を抱え込んでいる。
それでも何とか物にして届けると、森田氏は「全力投球の気持ちが書にあらわれている。いつか取り替えてほしい」と言い、「作句も無心であれば、書もまた無心、無心の一筆お願い申し上げておきます」「思い捨つるな叶わぬまでも、縁と浮世は末を待てと申します」と結んであった。
一流人の交わりは含蓄深く羨ましいものだと思ったことである。
森田誠吾氏と言えば、私の大好きな作家の一人で「魚河岸ものがたり」で直木賞を受けられた。
NHKでドラマ化され、今では大歌手となった今井美樹や名俳優小林薫などが出演した名作だった。
「銀座八邦亭」や「明治人ものがたり」「江戸の夢 忠臣蔵と武玉川」 などを愛読した。

 二刀流の達人は世に色々居られるようだが、仕事も半流・趣味も半流の私などは足しても半流の情けなさである。

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■文政三年八月十九日御達

2023-08-19 05:40:27 | 先祖附

        一濱町様、白河筋ニて長六橋下縄場等漁為御覧、有折被遊
         御出筈ニ付、聲取坂下船渡場二十間上より本山村船渡場
         下迄之間、當月より九月中網漁留被仰付、杭木をも被建
         置筈候 右之通一統可及達旨候條、左様相心得、觸支配方
         へも可被相達候
            (文政三年)八月十九日    御奉行中

 日にちがはっきりしないが、濱町様(齊茲公)が白川での川漁をご覧になるので、声取坂下の船渡し場の20間(約36m)上流から(現・大甲橋あたり?)、本山村の舟渡場(旦過の渡し?)の下流部までの間、九月半ばまでの間網漁はやめる様にとの達しである。

 齊茲は文化七年に隠居、濱町御屋敷に居住したため、濱町様と呼ばせている。文化十三年病気療養のための湯治と称して御暇をいただいて帰国した。
そのために本山に新しく屋敷が建てられた。文政六年にはこの本山屋敷で耈姫が誕生した。三年十ヶ月で夭折すると齊茲は再び江戸へ下り、天保六年(1835)十月廿三日白金邸で死去した。享年81とされるが、実は77ともありこちらが正しい。文政十年以降は少将様と呼ばせている。
宇土支藩藩主から宗家を継ぎ、以降宇土支藩家の血が続いた。

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