津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■暑い・・・図書館浴

2023-08-17 13:41:48 | 徒然

 図書館浴とは作家・出久根達郎氏の造語である。書林浴と言う言葉もあるようだが、多くの貴重な本に囲まれて雰囲気を楽しもうという訳である。
今日は午後から天気が崩れるという予報で、熊本県立図書館の開館時間を目指して朝から出かけた。
電動アシスト自転車だから、やたらと体力も使わないが・・とにかく暑い。
今日は、熊本県政史料の「目録」のコピーと、横井小楠の「国是三論」を読みたいというのが主たる目的である。
実は花立三郎氏著の「国是三論」は県立図書館に二冊あるのだが「禁帯出」なのだ。それも閉架である。
取り出してもらったが、短時間で読むのは高が知れているし、途中でほかに借りれそうで原文が紹介されている全集でもないのかと思ったりする。
段々、古本を購入しようかという気持ちに傾いて来た。文庫本なのに送料ともに5000円を超えている、現在では貴重本なのだ。
その他ニ三の本を借りて退館、江津湖を廻ってみようかとも思ったがとにかく暑くて、熱中症にならないようにと帰途に就いた。

 図書館の構内には、安藤忠雄氏の設計で自らの資金で建設寄贈される「こども図書館」の建設が行われている。
シンプルなデザインの小さな建物だが、安藤忠雄氏のご厚意に感謝しなければならない。完成が待たれる。

                                                             

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■羨ましい交友の記録

2023-08-17 06:45:18 | 書籍・読書

 作家・菊池寛が大正十二年(1923)に創刊した「文藝春秋」社は、今年100周年を迎えるという。
終戦後池島信平という名物編集長と呼ばれた人物によってさらなる成長を遂げたとされる。
そんな時代であろう、後に専務まで務めることになる「車谷弘」という編集者がいた。
その車谷の著に「わが俳句交友記」があるが、これも死ぬまで離せない本の一冊である。
戦前戦後を通じて活躍された作家や俳人、画家・建築家・財界人などとの交流が時には1対1、時には大勢の集まりの中で誠にうらやましい交流が為されている。
  久保田万太郎・水原秋櫻子・中村汀女・横道利一・川端康成・高田保・内田百閒・井伏鱒二・永井龍男・飯田龍太・
  高浜虚子・小絲源太郎・渋沢秀雄・中里恒子・清水甚吉・尾崎士郎・尾崎一雄・谷口吉郎・徳川夢声・渡辺水巴
錚々たるお名前が並ぶ。このほかにも文中に多くの方々との交流があったことが見て取れる。

 その中の一つの話として、久米正雄に触れる一文がある。久米が新潮社(文芸春秋ではない)を尋ねると佐々木茂索と言う人がいて「なんだ君はこんなところにいたのか」と言うと、上司が驚いて佐々木は大いに信用が高まったのだそうだ。
佐々木は上司から翻訳本の誤訳を見つける仕事を仰せつかり、その話を聞いた久米が驚いて尋ねると、「通読して日本語としておかしい処を見つければいいのさ」と答え、なるほどと納得したという。
私も納得した。古文書を読む時もまさにその通りで、「文章として成立するか」成立していなければ、どこかに読み間違いがある。

 文壇と言う言葉があるが、文士と言う言葉はまだ生きているのだろうか。かっては「文士劇」なども盛会だったと聞くがこれとて最近では噂を聞かない。
この著はまさに文士の世界の話であり、本当に豊かな交流が有り、お互いが刺激し合い尊重し合い、自らを高めていたことが判る。
久米正雄の葬儀に出席した佐々木茂索の憔悴ぶりは甚だしく、奥様にささえられ嗚咽していたと車谷は記している。
そんな話が満載の、この著の中身を時折ご紹介してみたいと思っている。

  

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