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夏の聞き耳メモ…その1

2008年07月29日 | 雑記帳
 愛知の玉置崇先生のお話を聴いた。

 精力的な活動を続けておられる一流の教育者である。
 昨年同様、経10年研修の1コマとして本県教育委員会が招いたものだが、公開講演の形をとっているので参加することができた。

 「授業改善に向けて」と題された講演は実に充実していた。
 特に感心させられた点を三つ挙げる。

1 つかみの上手さ
  さすがに落語を趣味となさっているだけあり、気の利いたネタと繰り返しの妙が聴衆をぐんと惹きつけていた。
2 バランスのよい構成
  講話だけでなく、映像資料も存分につかい、聴衆に作業や実習をさせ、発表させながら、まとめていく…まさしく授業と呼んでいい内容だった。「授業の大原則」としての20項目を自ら具現化させている姿勢が随所に感じられた。
3 道徳の新しい提案
  玉置先生ご自身の授業ビデオも流されたが、道徳授業に対する一つの提案という意味づけもあった。ある素材(この場合はチェーンメール的なもの)について「とり得る行動」を列挙させ、その価値判断をして、対立点を話し合いによって深めていく手法は、面白いと思うし、高学年以上ならば十分に可能だと考えた。共感できる提案だった。

 少し不満に思った点を述べる。
 演題のサブテーマとして「自分があこがれる授業イメージをもとう」を掲げられ、それが「本時」のねらいなのだと思う。確かに冒頭はそれを強調しておられたが、全体を振り返ってみたときどうだったかなと感じた。
 10年経験者にはヒットするテーマ選択だと思う。だからこそ、もう少し焦点化が必要ではなかったか。私なりに考えれば、次の二つは折り込みたい。
・(参加者)一人ひとりが、自らの授業をふりかえる手立てが必要である。
・すぐれた授業例がもう少し多様に紹介されるべきである。
 むろん、和田裕枝先生の授業ビデオはなかなかのものだったし得るものも大きかったことは否定しないが、少なくてもあと2,3例…と思う。

 もう一つは、資料の「授業の大原則」。
 内容的にもちろん過不足はないのだが、その列挙が整理されていない印象を受けた。
 「授業以前に考えるべきこと」「授業中の行為」「教職全体に関わること」が混在している。もちろん明確に区分できないものもあるが、20という項目数の多さも含めて、吸収・活用していくにはもう少し絞り込むべきではないのか。

 ともあれ、現場教員として、また管理職として、そして今は教育行政に携わる人として、常にその場をリードしていく玉置先生の今後に期待いっぱいであり、生の声を聴くことができて、本当によかったと思った。同世代として今後も益々注目していきたい。